SBIホールディングスとSBI BITS、NECの3社は9月14日、ブロックチェーン技術を活用した“顧客確認(Know Your Customer:KYC)”業務の実証実験を14社の金融機関とともに開始すると発表した。
今回の実証実験では、データの改ざんや消失が極めて困難であるブロックチェーン技術の特長を生かし、証券会社間でKYC情報を迅速かつセキュアに共有することで、証券会社での口座開設時における顧客の利便性向上と証券会社の業務効率化を目指す。
具体的には、オープンソースのブロックチェーン基盤「Hyperledger Fabric」、世界の金融機関が参加するブロックチェーンのコンソーシアムであるR3の分散台帳技術基盤「Corda」を活用して3社がKYC情報を共有するためのアプリケーションを開発し、クラウド上にKYC業務基盤として実装する。
3社は今後、実証実験で抽出した技術的課題や導入効果を踏まえ、多くの金融機関が利用可能なKYC業務基盤の実用化を目指すとともに、金融機関における顧客サービスの向上と金融サービス市場の発展に貢献していくとしている。
マネーロンダリング対策などを検討、推進するために設立された政府間会合の金融活動作業部会(Financial Action Task Force Money Laundering:FATF)は2014年に国際的な資金洗浄やテロ資金供与の対策に関する声明を発表。これを受けて、国内での金融機関における口座開設時の本人確認や確認記録の保管が義務化されるなど、金融機関は今後も規制強化が予想される法制度への着実な対応が求められている。
経済産業省資料によれば、ネット銀行やネット証券などで口座開設を希望する顧客のうち、年間約170万人が手続きの煩雑さから途中で口座開設手続きを諦めており、金融機関では口座開設手続きの利便性を高めるためにも、KYC業務の高度化、効率化に向けた仕組み作りが重要になっている。