海外コメンタリー

BoxのレヴィCEOが今、考えていること(後編)--デジタル変革のあり方 - (page 4)

Michael Krigsman (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2018-05-25 06:30

——CIOは新しいテクノロジへの投資と既存テクノロジへの投資をどのように考えるべきでしょうか?

 そうですね、3年くらい前にはアーキテクチャまわりで今ほどデータに関する疑問を考える必要はありませんでしたから、私はとても興味深いと考えています。

 人工知能(AI)に向けた基礎として、どのようなデータが未来の業務をけん引していくうえで重要になると考えているのかを理解しなければなりません。というのも、そういったデータは機械学習(ML)や、データの種類によっては何らかのAIでさらに良いものになる可能性があるためです。

 そのようなデータに対するMLの適用がアーキテクチャ設計によって阻まれている、あるいはそのようなデータに対してMLやAIを適用できると確信させられるベンダーを採用していないのであれば、今後の5〜10年でテクノロジ上の大きな負債を抱えるという意思決定をしていることになります。

 その情報でどのように作業できるのか、また、その情報の裏に潜むデータを用いてどのように作業するかというアーキテクチャを完全に理解し、最終的にAIを適用可能にする方法を作り上げられるようにすることです。それは会社によって違ったものになるはずです。産業分野の企業であれば、顧客が有しているインフラのヘルスチェックといったものを向上させるために、IoTデータにMLを適用する方法について考えたいと思うかもしれません。これには、アーキテクチャを作り出す際の特定の意思決定一式を用意することになります。

 小売業界にいるのであれば、「じゃあ、このコマースデータすべてはどこに移送されるんだろう?私の顧客に関するデータはどこに移送されるんだろう?」と考えるのがよいでしょう。データがブラックホールに吸い込まれ、作業の妨げになるようなことがない点を確認しておくとよいかもしれません。

 業務のどの部分がMLやAIによって最も影響を受けるのかをしっかり考えられるようになるとともに、どのような形式のデータであっても、あるいはどのような形態の業務プロセスであっても、AIやMLを適用できるようにするうえで邪魔立てしないITアーキテクチャを確実に持てるようにすることは、この種の自動化において最も重要となるはずです。

 時の経過に耐えられるアーキテクチャを設計する--これがやるべき最初の作業になります。こういった話はあまり聞こえてきませんが、おそらくわれわれはこの点を踏まえて設計に取り組むことになるはずです。私は「時の経過に耐えられる」という言葉が十分に浸透しているとは思っていません。

 設計手法にはさまざまなものがあります。例えば、提案依頼書(RFP)もその1つです。われわれがIT上の意思決定を行うこうしたやり方は、極めて後ろ向きです。これは、今までのIT調達方法であり、RFPが通常もたらすものです。われわれには、このテクノロジによって向こう6カ月や12カ月にもたらされる成果を記した短期的なロードマップではなく、長期的な未来にもたらされるものに重点を置いたRFP設計やマインドセットが必要なのだと私は考えています。このテクノロジが5年後や10年後に何をもたらせるのかというのが本質的な疑問となります。

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