変化のペースはますます速まっており、それとともにITリーダーの活動領域も広がっている。
調査会社のGartnerは最近、バルセロナで欧州の最高情報責任者(CIO)を集めたシンポジウムを開催したが、同社はそこでITリーダーの将来像を示した。そこに込められたメッセージは、デジタル化による破壊的改革を受け入れる企業幹部は、今後さらなるチャンスをつかむことができるというものだ。
この記事では、Gartnerのアナリストや登壇したCIOの主張に基づいて、全組織的なデジタル化の取り組みを促し、主導していくテクノロジリーダーのための、6つのベストプラクティスを説明する。
1.幅広いエコシステムを認識し、エコシステムを広げる
Gartnerは、成功するCIOの下では、今後2年間で信頼できるパートナー企業が提供するテクノロジの利用が2倍に増えると予想している。Credit Suisseのグループ最高技術責任者(CTO)Patrick Maes氏は、自分たちは単独では何もできず、さまざまなパートナーと協力しながら物事を進めていることにあらためて気づいたと述べている。
テクノロジ分野の責任者がデジタル化の恩恵を最大限に受けようとするなら、部門横断的な、事業の垣根を越えたパートナーのエコシステムを構築すべきだ。Maes氏は、「わが社はほかの銀行やスタートアップ、研究者、インキュベーターらと関係を深めている」と述べている。
「デジタル化はエコシステムの中でこそ起こる。そして対外的に協力しながら物事を進めるには、社内でも同じアプローチを取る必要がある。組織内の人間が、ハッカソンなどの革新的なプロジェクトを進めていてこそ、協力は真の力を発揮する」(Maes氏)
2.レガシーを足手まといだと捉えるのではなく、上手に生かす
CIOの間ではデジタル変革が話題になっているが、既存のテクノロジに対する投資を止められるわけではない。Gartnerは、現在使われているアプリケーションの90%は、2023年になっても使われ続けていると予想している。
同社によれば、デジタルプラットフォームは、CIOがこれまでに構築してきた強力なIT基盤の上に成長する。つまりレガシーな技術は依然として重要だ。企業が現在使っているテクノロジは、近代化されることで、将来のデジタルビジネスの要件を満たす基礎となる。
GartnerのCIO ResearchグループのバイスプレジデントTina Nunno氏は、「レガシーは必ずしも悪いものではない。レガシーは誇りを持って後に引き継ぐべきものだ」と述べている。