5.CIOの位置づけを、周辺的な役割から中核的な役割へと移していく
GartnerのCIO & Executive Leadership ResearchチームのバイスプレジデントAndy Rowsell-Jones氏によれば、同社がCIOを対象として実施した年次調査で、欧州のITリーダーの4分の1は、CIOの仕事は今後、よりビジネス指向のものになると予想していることが明らかになった。同氏は、規模が小さくフットワークが軽い組織は、事業部門がデジタル変革に関与するアプローチの利点を証明していると述べている。
「破壊的改革を担う企業は、実験的なアイデアに対して小規模に取り組むことで成功しているが、大企業が同じことを大規模に行うことは、それとはまた異なる難しい命題だ」とRowsell-Jones氏は言う。
Gartnerは、CIOはテクノロジ主導の変化がもたらす恩恵を、周囲に明確に理解してもらう方法を見つける必要があるとしている。これは、アイルランドの公的医療を提供する機関Health Service Executive(HSE)のCIOを務めるJane Carolan氏の意見とも一致する。
「私は、デジタルソリューションの導入を通じて、健康と医療に影響を与える方法を見つけようとしている」と同氏は述べている。「私のアドバイスは、小さく始めて、いくつかの成功事例を作り、影響を与えたい人々にプラスの面を示してみせるべきだというものだ」
6.CIOの役割を超えた成長のチャンスを追求する
Gartnerは、CIOは組織の成長を促す役割も担い始めていると述べている。変化を求めるCIOの声は大きく、高い業績を上げているCIOの95%は、デジタル化はCIOの役割を変えつつあると考えているという。
Nunno氏は、デジタル化の開拓者として活動するCIOは、収益の増加を目指すようになり、新たなビジネスモデルを生み出す責任を負うと述べている。それらのCIOの一部は、別の組織を経営する最高経営責任者(CEO)として、組織からスピンオフする場合もあるという。「そうなれば素晴らしい進化だ」と同氏は言う。「多くのCIOにとって、それは天国だろう」
そういった人物の1人が、北欧を中心に事業を展開している建設業大手NCC Industryでビジネス変革の責任者を務めているAnders Torell氏だ。同氏には、NCC Industryのために、複数の新たなベンチャー事業を立ち上げる役割が与えられている。Torell氏はもともと同社のIT分野の責任者だったが、起業家マインドに目覚めたことで、ビジネスリーダーに変わった。
同氏は「新たな機能を立ち上げる能力を持っているなら、何かを生み出していると言える。利益を生み出す新たな事業を持っているのだ」と述べている。同氏のチームはすでに、新事業のアイデアを15種類生み出したという。「これは適切なものの見方だ。私が取り組んでいるのは、顧客により多くの価値を提供することだ」
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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。