HPE、HCI製品にAMD搭載モデルなど投入

渡邉利和

2019-09-25 10:42

 日本ヒューレット・パッカード(HPE)は9月24日、ハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)ソリューション「HPE SimpliVity」の新製品2機種と、クラウドベースの人工知能(AI)主導型運用サービス「HPE InfoSight」のHPE SimpliVityへの提供を開始したと発表した。

 新機種は、AMD EYPCプロセッサーを搭載したエントリーモデル「HPE SimpliVity 325 Gen10」と、バックアップ用途向けの「HPE SimpliVity 380 Gen10 Backup and Archive node」。HPE SimpliVity 325 Gen10は、SimpliVityとして初となる1Uサイズ、1CPUモデルになる。プロセッサーはAMD EPYC 7000(第1世代のNaples)で、1CPUで32コア、メモリは最大2TB、従来モデルの2CPU搭載機種と同等のコア数を1CPUで実現されることから、同等性能の機器をより低価格で提供可能なエントリーモデルに位置付けられる。

AMC EPYCプロセッサー搭載の1U/1CPUモデル「HPE SimpliVity 325 Gen10」の概要
AMC EPYCプロセッサー搭載の1U/1CPUモデル「HPE SimpliVity 325 Gen10」の概要

 SimpliVity 380 Gen10 Backup and Archive nodeは、SimpliVityの用途としてバックアップ機能の活用例が多いことに対応する、バックアップ向けに企画されたモデル。SimpliVityの高速バックアップ機能を利用するにはバックアップ先もSimpliVityである必要があり、従来のSimpliVityは全て「オールフラッシュモデル」だったため、高速かつ高価なフラッシュストレージをバックアップ用として使わざるを得ない状況になっていたという。このためSimpliVity 380 Gen10 Backup and Archive nodeは、ストレージメディアをSSDとHDDのハイブリッド構成とし、物理容量ベースにおけるTB単価としては約36%低価格化したという。

HPE SimpliVity 380 Gen10 Backup and Archive nodeの概要
HPE SimpliVity 380 Gen10 Backup and Archive nodeの概要

 またHPE InfoSightは、元々はNimble Storageが開発・提供していたAIを活用した運用管理サービス。障害予測などの機能がある。HPEによるNimble買収後、段階的に適用製品が拡大しており、今回はHPE SimpliVityにも対応した形になる。サービスの提供開始時期は10月の予定で、既存ユーザーもHPE SimpliVity用ソフトウェア「HPE OmniStack 3.7.8」以降にアップデートすることで、InfoSightを無償利用できる。

 同日の記者会見で取締役 常務執行役員 パートナー営業統括本部長の西村淳氏は、「SimpliVityをHCI分野の戦略製品と位置付け、パートナーエコシステムの加速でシェアトップを目指していく」と述べた。SimpliVityの日本市場投入は2017年6月で、HCI市場への参入時期としては後発になる。競合ベンダーに先行されたが同氏は、「成長率ではHPEがトップで競合を猛追している」と強調し、この勢いで競合をキャッチアップし、獲得シェアで逆転を狙うとした。

日本ヒューレット・パッカード 取締役 常務執行役員 パートナー営業統括本部長の西村淳氏
日本ヒューレット・パッカード 取締役 常務執行役員 パートナー営業統括本部長の西村淳氏

 新製品などについてHPE総合エバンジェリストの山中伸吾氏は、SimpliVityユーザーからの評価が高いというポイントに「属人化の解消」「秒速バックアップ」の2点を挙げた。属人化は、IT運用管理ができる人材が不足して、特定の人材がいないと業務が回らなくなってしまう状況を指す。技術に明るい人材がIT運用管理に縛られてしまうことで競争力の低下も懸念されるが、SimpliVityでは「仮想マシン中心型管理(VM Centric Management)」によって、物理システムの構成を理解することなしに運用管理ができることで担当者の負担を軽減しているという。

 一方の「秒速バックアップ」は、データ重複排除などを活用したSimpliVityの高速なバックアップ機能の特徴とする。ユーザー事例では、従来3時間以上を要した仮想マシン(VM)のバックアップが1分で完了したり、12時間以上を要した遠隔バックアップが3分になったりといった成果が報告され、このバックアップ機能のためにSimpliVityを導入するユーザーも少なくないという。

 競合のHCI製品では、VMをバックアップする際に対象のVMがどの物理ストレージを使用しているかを把握してからストレージレベルでバックアップを行う必要がある。このためHCI内部の物理構成を理解していなければならず属人化をもたらしていたが、SimpliVityではバックアップの観点からも脱・属人化を果たせられるという。

 また、従来のSimpliVityは重複排除機能を高速処理するハードウェアアクセラレーターを搭載していたが、今回のエントリーモデルでは、ストレージサイズが「XS(5TB)」または「S(7.5TB)」と小型に限定され、プロセッサーコア数も増えたことで、同機能をソフトウェアベースでも実装可能になったとしている。

 新機種の最小構成での販売価格は、「HPE SimpliVity 325 Gen10」が411万6000円から、「HPE SimpliVity 380 Gen10 Backup and Archive node」が898万円からとなる。

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