Amazon Web Services(AWS)のハイブリッドクラウドプラットフォーム「AWS Outposts」の一般提供が開始されてからほぼ6カ月後、Outposts上で稼働するMySQLとPostgreSQLをサポートするリレーショナルデータベースシステム(RDS)である「RDS on Outposts」の一般提供が開始された。これは、顧客のデータセンター内で稼働する初のベンダーによるマネージドDBaaS製品の1つとなる。なお念のために記しておくと、類似の製品はOracleの「Oracle Database Exadata Cloud@Customer」となる。
RDS on Outpostsの初期リリースでは、「MySQL 8.0.17」と「PostgreSQL 12.2-R1」がサポートされているという。
「AWS Outposts」のハードウェア
提供:Amazon Web Services(AWS)
AWS Outpostsは、ベンダーがハードウェアとソフトウェアをバンドルした製品を提供し、プロビジョニングやデータベース設定、パッチ適用、バックアップといった作業を管理するという、従来からあるターンキーシステムというなじみある形態をとったハイブリッドクラウドプラットフォーム、すなわち顧客のデータセンター内で稼働するAWSクラウドだ。これは、近傍のAWSリージョン内のAWSアベイラビリティーゾーン(AZ)で利用できる「AWS CloudFormation」や「Amazon CloudWatch」「AWS CloudTrail」「AWS Elastic Beanstalk」などの管理および設定ツールに接続したかたちで運用される。今回のリリースは、このプラットフォームに「Amazon Relational Database Service(RDS)」のいくつかのデータベースサービスを追加したものとなっている。
この初期リリースは、クラウドベンダーによるフルマネージド型のデータベースを使用しつつ、オンプレミス上やオンプレミスの近傍で本番データベースを稼働させて限界までレイテンシーを引き下げたいというユースケースを要求する顧客に向けたものだ。またこれは、製造設備の稼働や、リアルタイムのIoTデータを用いた作業、その他のローカル環境での作業で用いられるデータベースといったユースケースにも適用できるだろう。
しかし現在のところOutpostsは、すべてのデータをローカル環境に保存しておいたり、高可用性/災害復旧といった戦略で複数のリージョンをまたがってデータを複製/管理するなど、ハイブリッドクラウドで考えられるいくつかのユースケースをサポートしていない。現時点ですべてのデータバックアップ/復旧処理は、顧客のOutpostsシステムにひも付けられているAZ内で実行される。また、異なったAWSリージョンに接続された2台(あるいはそれ以上の)Outpostsシステムをタンデムで運用することもできない。