レッドハットは5月19日、日本市場へ新たに投入する製品として「Red Hat OpenShift 4.4」「Red Hat Advanced Cluster Management for Kubernetes」「OpenShift virtualization」についての説明会を開催した。4月28日にオンラインイベントとして開催された「Red Hat Summit 2020」での発表内容を日本国内向けに紹介したもの。
米Red Hatのクラウドプラットフォーム部門で製品担当バイスプレジデントを務めるJoe Fernandes氏は、新型コロナウイルスの世界的流行を受けた取り組みとして、新規顧客向けの有償テクニカルサポートサービス(Technical Account Management:TAM)の50%引きや製品ポートフォリオのプロダクトライフサイクル延長、一時解雇者と求職者向けの無料トレーニングの提供、一般向けの無料オンライントレーニングコースの提供という4つの施策を行っており、顧客企業やエンジニア、ユーザーなどに幅広く支援を提供していることを紹介した。
※クリックすると拡大画像が見られます
ついで同氏は、技術面でのイノベーション例として、同社のKubernetes関連製品のアップデートを紹介した。まず、同社のKubernetesディストリビューションの最新版となるRed Hat OpenShift 4.4のリリースが紹介された。2019年12月にリリースされた安定版のKubernetes 1.17をベースとしている。
大規模環境のサポートを強化するRed Hat Advanced Cluster Management for Kubernetesについては、テクノロジープレビューが間もなく開始される。最後に、コンテナー環境と従来の仮想サーバー環境を統合する取り組みであるOpenShift virtualizationについても説明が行われた。オープンソースプロジェクトとして開発が進められている「KubeVirt」のRed Hatによる商用ディストリビューション版と理解すればよいだろう。
コンテナープラットフォーム自体は仮想化基盤上に構築されていることが一般的であり、仮想マシン(VM)とコンテナーが混在する環境が一般的ではあるが、従来は仮想マシンの運用管理とKubernetesによるコンテナーの管理は全く別物として独立に行われていた。OpenShift virtualizationは、仮想マシンをコンテナーと同様の手法で管理できるようにすることで統合を図るものだ。OpenShiftユーザー向けにテクノロジープレビューとして提供が開始される。なお、OpenShift virtualizationは将来の正式リリースにおいても追加のコストは不要だとされている。
※クリックすると拡大画像が見られます
続いて、日本国内での販売施策について説明したレッドハット 製品統括・事業戦略 担当本部長の岡下浩明氏は、日本国内でのデジタル変革(DX)を加速させていく必要があるとの認識を踏まえ、「アプリケーションの開発と運用の自動化に関して新しいものを提供していく、というのがコンセプトとなっている」と今回の発表を位置付け、今回発表のOpenShift 4.4に含まれるさまざまなアップデートや新機能によって「既存企業のレガシーアプリケーションのモダナイズを加速していきたい」とした。
コンテナー環境と仮想マシン環境の統合については、既にVMwareも取り組んでおり、ホットトピックとなっている。競合状況についての質問を受けたFernandes氏は、OpenShiftのKubernetesへの取り組みは既に5年の実績があり、2000社以上の顧客企業で活用されているのに対し、VMwareのKubernetesへの取り組みは開始されたばかりということもあって、さまざまな環境での運用経験から得られた同社の知見や経験に追いつくのは困難だろうとして自信を見せた。また、VMwareの取り組みが独自のプラットフォームである「vSphere」を中心に構築されるのに対し、OpenSfhitはvSphereを含むさまざまなプラットフォーム上で稼働するオープンソースベースのプロダクトである点も優位点として挙げられている。
※クリックすると拡大画像が見られます