ServiceNowは、アプリケーションモニタリングと可観測性(オブザーバビリティ)のプラットフォームを手がけるLightstepを買収すると発表した。ITおよびAIOps向けのワークフローの自動化と、ソフトウェア開発を組み合わせたい考えだ。
Lightstepのアーキテクチャー
Lightstepがサービスを提供する可観測性およびアプリケーションモニタリング市場は既に、Dynatrace、BMC、Datadog、Sumo Logic、Splunk傘下のSignalFx、New Relicなど、多数の企業がひしめき合っている。
ServiceNowは、DevOpsエンジニアが、クラウドネイティブなアプリケーションを構築、デプロイ、実行、モニタリングできる能力を強化できるよう支援していくとしている。同社の最高製品責任者CJ Desai氏は米ZDNetに、「私たちがITを変革させたように、ソフトウェア開発を変革すること」が目標だと説明した。
Desai氏によると、Lightstepの魅力は、プラットフォーム間を行き来することなく、ソフトウェアスタック全体を可視化できる点だ。ServiceNowは、同社のAIOpsおよびITワークフローの自動化ツールを組み合わせて、「デジタル顧客体験の提供に関わる全てのツール、人々、プロセス全体で、知見と行動をシームレスに結びつける」という。またDesai氏は、「この買収により、可観測性はもはや、DevOpsだけに限定されなくなる」と述べた。
ServiceNowにLightstepのエンジニアリングの人材が加わる。Lightstepのチームは、オープンソースの「OpenTelemetry」プロジェクトに貢献したほか、Googleの分散型トレーシングシステム「Dapper」や、「Monarch」の開発に関わった。Lightstepは2015年に、最高経営責任者(CEO)のBen Sigelman氏と、最高執行責任者(COO)のBen Cronin氏、チーフアーキテクトのDaniel Spoonhower氏が共同設立した企業だ。これまでに7000万ドル(約76億円)の資金を調達しているという。
ServiceNowはLightstepとともに、同社のデジタルエンタープライズファブリックを自社の製品ポートフォリオ全体(ITBM、ITOM、DevOps、SecOps、ITSM)で拡張したい考えだ。さらにLightstepの技術により、可観測性を広範な顧客に提供していく。
Lightstepのプラットフォームには、コミュニティー向けの無償版とチーム向けの従量課金性モデルのほか、エンタープライズ向けの年間サブスクリプションとボリュームディスカウントのプランがある。
LightstepとServiceNowは、以下のように統合される。
- Lightstepのツールを、ServiceNowのITワークフローポートフォリオに統合する。
- Lightstepのソリューションは、システム全体のメトリクスとトレーシングデータをリアルタイムで分析し、アプリケーションパフォーマンス、信頼性、開発ベロシティの変化の原因と結果を把握する。「Now Platform」は、技術的な対応とチームの対応を調整し、デジタル変革を推進する上で必要なアクションとインサイトを結びつける。
- ServiceNowは、Lightstepの技術を企業のほかの部門にも拡張する。LightstepのCEO、Sigelman氏は、「可観測性は今日、主にミッションクリティカルなアプリを構築、運用するDevOpsチームにとって有益なものだ」とし、「可観測性の価値が企業全体に広がるべきだと常に考えてきた」とコメントしている。
- Lightstepの技術はGitHub、Twilio、Spotify、Grubhubなどで採用されている。ServiceNowは同社製品をより広範なエンタープライズ企業にクロスセル可能になる。
買収は第2四半期に完了する見通しだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。