トップインタビュー

リスクも利益も顧客と分かちあう―アクセンチュア程社長

大西高弘 (NO BUDGET) 怒賀新也 (編集部) 山田竜司 (編集部)

2014-09-11 07:00

 アクセンチュアは、経営コンサルティングからシステムインテグレーション、 アウトソーシングなどのサービスをグローバルに提供している。アクセンチュアの日本法人で代表取締役社長を務める程近智氏はデジタル化などの時代の潮流や、企業の現状をどのようにとらえているのか。話を聞いた。

トップ企業も破壊され得る


アクセンチュア日本法人代表 程近智氏

 程氏は、エレクトロニクスメーカーや各種製造業、通信系企業へのコンサルタントとしてキャリアを築き、2006年から現職に就いている。ここ数四半期を通じて二桁成長を続けるなど好調な業績を収めている一方で、強い危機感も持っている。

 その理由はITの影響力が経営に関わるところまで強くなり、既存のビジネスモデルを破壊しているためだ。「ITは30年前から重要だったが、FacebookやAmazonなどの新興企業が既存の事業モデルを破壊し、顧客接点を奪うほど影響力が強くなってきた。既存のビジネスモデルでトップを走っていても、新興企業のバリュチェーンに組み込まれてしまうかもしれない。顧客接点を奪われてはアクセンチュアでも破壊されてしまう可能性がある」

 ITが力を増すことによりアクセンチュアもまた、デジタル部隊を強化している。2013年からグローバルでアクセンチュア・デジタルの設立を発表、機構改革が進んでいるが、日本法人でも1月に「デジタルコンサルティング本部」を新設した。

 ソリューション開発のほか、業界ごとでのデジタル化への対応を強化する必要があるとの考えがあり、あらゆる企業がデジタル化の恩恵を受けるステージに入ったことが背景にあるという。

 「これからの企業は、新たなデジタル化の波に遅れを取ってはいけない。SNSなどであらゆる製品、サービスについて顧客や消費者が情報発信するようになってきた。スマートフォンが普及し、さまざまな情報を非常に粒度の細かい形でリアルタイムでとらえられるようになっている。ビッグデータを解析して素早く着実な戦略を打ち出す企業も増えてきている。このようなトレンドをとらえることなく、将来の戦略を策定することはできない」

 程氏は、さらにクラウドの普及やセンサ技術とインターネット技術の融合により、さまざまな機器から情報を取得しやすくなっていることなどを挙げ、デジタル化という新しい波の重要性を主張した。

 アクセンチュアでは、こうしたデジタル化の波を「SMAC+S」というキーワードにして、今後の戦略立案に必要な柱としている。「SMAC+S」のSはSocial、MはMobile、AはAnalytics、CはCloud、SはSensorである。「デジタル化に対抗するのではなく、いち早く社内に取り込むべき」


デジタル化に対抗するのではなく、いち早く社内に取り込む

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