被災地向け支援制度検索システム、2カ月で稼働--Windows Azure上に構築

田中好伸 (編集部)

2012-07-25 17:36

 震災復興で府省や自治体が個人や事業主に提供する支援制度を検索できる「復旧・復興支援制度データベース」が公開されている。同システムはPaaS「Windows Azure」上に構築されている。日本マイクロソフトが7月25日に発表した。

 東日本大震災後、復旧と復興を支援するためにさまざまな支援制度が整備され、その数は岩手、宮城、福島、茨城の被災4県、府省が整備したものだけでも現在約500件に上るとされている。だが、これらの支援制度は府省、県、市町村から個別に提供、告知されているため、被災者や被災事業者、自治体職員などが、それぞれの被害状況に対して最適な情報を知ることが難しいという課題があった。

 課題を解消するため、経済産業省は復興庁や各府省、被災自治体と連携して、整備された約500件の支援制度すべてを横串で検索できる同システムが1月17日に公開された。登録された支援制度は「個人向け」と「事業者向け」に大別されている。

 利用者はフリーワードで検索できるほか、市町村名、「給付」や「貸付」といった支援の種類、「住まいを移転したい」など利用者のニーズに沿った項目を選択するだけで、必要な支援制度を簡単に見つけられるという。同システムを利用することで、被災地の住民や企業はもちろん、自治体の窓口担当者、弁護士や行政書士などの専門家が被災者から相談を受ける際にも素早く、正確に回答できるようになる。

 震災後、支援制度情報をまとめた冊子が配布されたが、紙媒体のため情報をタイムリーに追加することが難しく、「詳細は各市町村にお問い合わせください」と記述することが多かった。市町村の窓口では、県や各府省が発行している支援制度の最新情報も把握できなかった。

 ここで経産相が中継役となって、東日本大震災復興本部をはじめとする各府省と連携して同システムの構築に着手。早急なシステム構築が求められたことから当初からパブリッククラウドを意識していた。三菱総合研究所の提案が落札され、マイスターが実際にシステムを構築している。

 府省間の調整が終わり、実際にシステムの構築が開始したのが2011年10月末。第1段階のサイト公開が完了したのは2カ月後。データの登録は、ExcelファイルからXMLとCSV形式に変換するツールを用意して、入力作業を簡略化させている。

 少しでも早く公開するために、検索機能を基本的なものに絞った1次リリースと、2月の2次リリースに分けて公開している。2次リリースの段階でAPIやRSSの機能を追加して、サービスの向上を図っている。2012年中に3次リリースを予定している。3次リリースでは、ウェブからPDF出力などで冊子を打ち出せるような対応も考慮している。

図 API活用イメージ
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