シンクライアントはソフトウェア構成の問題である(旧定義)
「シンクライアント」という概念は、けっして新しいものではない。1996年にオラクルが発表したネットワークコンピュータ(nc)やUNIX環境で利用されるXターミナルも「シンクライアント」であったことを思い出してほしい。
その当時、大手調査会社の定義では「シンクライアントは、ソフトウェア構成の問題であって、ハードウェアにフォーカスしたものではない」とされていた。
すなわち、ユーザーが利用するクライアント端末には、「シン」つまり最小限のシステムソフトウェアを搭載し、ネットワークで結ばれたサーバサイドでアプリケーションを稼働させ、特別なプロトコルでそのアプリケーションが生成する画面(データの入出力)を射影するという、その仕組みそのものを「シンクライアント」と定義していた。
従って、我々が日常利用しているクライアント/サーバ形式とは、処理の分散の仕組みとアプリケーションの所在が異なっているともいえる。同時にこの定義では、ハードウェアとしてのクライアント端末は、従来のPCでも「シンクライアント端末」でもどちらでもよいことになる。
後半で解説するが、ネットワーク環境の発達と「シンクライアント端末」の成熟によって、また情報漏洩の問題が社会問題化される時代になって、はじめてハードウェアとしての「シンクライアント端末」が実用段階をむかえ注目されるようになったといえる。
ハードウェアとしての「シンクライアント端末」の特長
ハードウェアの観点からPCと「シンクライアント端末」との違いを考えてみると、まず記録媒体としてのHDD(ハードディスク)が「シンクライアント端末」には搭載されていないということが挙げられる。このとき「シンクライアント端末」は、基本的に画面転送型とネットブート型とに分けられる。
画面転送型として使われる「シンクライアント端末」は、書き込み禁止にできるCF(コンパクトフラッシュ)またはDOM(ディスクオンメモリ)に、Windows CEや組み込みLinux、Windows XP EmbeddedなどのOSを搭載している。この場合、サーバ上に仮想的に構成されたWindowsデスクトップイメージを、サーバ上のアプリケーションや管理ツールなどを実行するための機能であるターミナルサービスを通じて利用する。
Windowsデスクトップイメージは、あたかもクライアント端末上で動いているかのように表示され、クライアント端末上のWindowsデスクトップを操作するような感覚で、サーバ上のアプリケーションを操作することできる仕組みだ。
このクライアント端末上からWindowsデスクトップイメージを操作する機能は、「リモートデスクトップ接続(RDP:リモート・デスクトップ・プロトコル)」と呼ばれており、「シンクライアント端末」のCFやDOMに組み込まれている。
一方、ネットブート型としての「シンクライアント端末」は、OSをはじめ、その他一切のシステムを端末側に搭載していない。BIOSのPXB機能の設定によって、電源がONされると即座にサーバにアクセスし「シンクライアント端末」の機動に必要なOSをRAM(ランダム・アクセス・メモリ)上にダウンロードする。その後、必要なアプリケーションのプログラムコードが逐次ダウンロードされ、ユーザーはそれを使ってオンメモリで作業することになる。
その際、サーバに仮想デスクトップイメージを作成しコントロールするためには、ArdenceやCitrixなどのソリューションなどを利揺する必要がある。その結果、ネットブート方式では大容量のネットワークとメモリが必要となる。
Sun Microsystemsが提供する「Sun Ray」ソリューションも、この分類に入れてもよいだろう。ネットブート方式は、画面転送型が苦手とするCADなどのI/Oが多く発生するアプリケーションの処理などにむいており、処理の負荷分散という点では従来のクライアント/サーバ方式に近い。
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