帳票の電子化にあたっては、現場の激しい抵抗が考えられる。これを緩和する方法を前回紹介した。今回は電子帳票化を果たした先に見える世界を紹介しよう。
帳票を紙から電子ベースに移行すると、思っていた以上に開けてくる世界がある。それはデータ活用だ。入力内容のデジタルデータを生かせば、実にいろいろな場面で“使える”のである。今回はその展開例を見ていこう。
再利用できるデータを徹底活用、入力作業を効率化
まずは入力補助だ。帳票は提出先や自社名、部門名、起票者名、作成日などといった基本データを必ず入れる必要があるが、電子帳票ならシステム化によって自動入力させることができる。理想は、システムが起票者や日付を認識して可能なかぎり入力を代行することだろう。入力するそばから候補用語を挙げてくれるオートコンプリート機能があれば、なお省力化につながる。
入力補助を一歩進めて、帳票をテンプレート化してしまうという方法もある。作成すべき帳票を業務ノウハウ的ナレッジも含めて先に用意してしまい、それに従って必要な個所だけ変更すれば、誰でも正しい帳票を完成できる。こうしておけば、新社会人のような皆さんでもとまどうことなく、また間違うことなく帳票を扱うことができ、組織の業務品質を平準化する意味でも有効だ。
システム間のデータ受け渡しでさらに業務が効率化
業務システムから帳票へデータをもらい、逆に帳票から業務システムへデータを自動的に渡すといったことも可能になる。たとえば、商談管理システム内に記入していた顧客情報や案件情報を、受注が決まったのを機に正式な文書へ転記するだとか、現場から回ってきた経費精算帳票を経理部がチェックしたのちに、会計システムへ自動取り込みできるようにしてしまうのである。電子帳票を間に置いた各種のシステム連携の可能性は、非常に高いものがある。
ちなみに、こういった場面でやりとりする情報が膨大な量になってくると、帳票の介在がかえってわずらわしいケースもある。そういうときは、情報の送り先となるシステムと受け手のシステムを直接連携させたり、間に専任のシステムを置いてやりとりすることになる。たとえば、スーパーマーケットなどの量販店が卸売業者やメーカーに発注する商品点数は、数百、数千に上る。そうなると電子といえど帳票では追いつかないので、上記のようなシステムを駆使した取り引きを検討することになってくるだろう。