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AIの民主化から汎用AI実現に向けた議論まで--「State of AI Report」著者に聞く - (page 5)

George Anadiotis (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2020-11-20 06:30

因果的推論:AIにおける次なる開拓地

 Hogarth氏はMarcus氏について、「DeepMindやOpenAIといった組織に対するプロの批評家と言ってもよいだろう」と自らの担当部分で述べた。とは言うものの、ハイプサイクルの過度な期待に向かう段階において、批判的な観点に立つ人々がいるというのは極めて健全であり、OpenAIのポリシーはこの点で思慮深いアプローチになっているとHogarth氏は付け加えた。

 Hogarth氏は、規模の仮説の賛同者と批判者の間に基本的な見解の相違があると強調した。しかし同氏は、批判者が間違っていた場合、これらモデルの規模拡大に伴って初期に発生したバイアスの事例で見られたように、スマートだが適応力がそう高くないAGIを手にするのかもしれないと付け加え、以下のように述べた。

 このため、OpenAIといった組織がこのアプローチを追求していくのであれば、いかに安全に進めていくのかを世の中の人々全員に告げる責務が彼らにあると私は考えている。というのも、彼らのリサーチのアジェンダからそういったことが明確になっていないためだ。より多くのデータやコンピューティングを問題に振り向けていけばAGIが生み出されるというこの種のアプローチと、AIの安全性をどのように整合させていくのだろうか。

 この議論はState of AI Report 2020の他の箇所でも言及されている。Benaich氏とHogarth氏が記しているように、一部のリサーチャーらは、MLの成熟した分野では進歩が滞っていると感じているという。また、その他のリサーチャーらは、因果的推論の進歩を呼びかけており、これによってMLは直面している壁を乗り越えられると主張している。

Judea Pearl
MLに因果関係の推論機能を追加することは次のブレイクスルーになり得る。Judea Pearl氏といった先駆者の成果がその道を示している。

 Hogarth氏によると、人類の進歩の中核に因果関係の推論があるのはまず間違いないという。認識論的な観点で見た場合、因果的推論によって科学的な手法がもたらされ、その手法がわれわれの世界をモデル化する上での中核になっているという。このため、MLに因果的推論をもたらそうとするJudea Pearl氏のような人々の先駆的な研究は興味深い。これは、相関関係をベースにしてモデルの規模を大規模化していくという一般的な傾向に対する最大の破壊的変革のように感じられる。

 因果関係を導き出せれば、知識の上に知識を積み重ねるかなりパワフルな足場を構築できるようになり、われわれのナレッジベースと科学的なプロセスに対するマシンの真の貢献が可能になる。これは極めて心躍る話だと私は考えている。ML分野の最もスマートな人々が週末や夜に時間を費やしてこれに取り組んでいるのには理由がある。

 しかし、この分野はまだ揺籃期にあり、商用コミュニティーの関心を引くほどにはなっていないと私は考えている。われわれが知る限り、実際に使用されている例は1つ2つしかない。1つはロンドンに拠点を置くML企業の部門によるものであり、もう1つは今年のレポートで採り上げたBabylon Healthによるものだ。

 このレポートに記されている最先端のAIの研究や応用がこれだけだと考えているのであれば、それは間違いだ。State of AI Report 2020はこの他にもさまざまな内容に触れている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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