目指すのはAIが仲間や友人となる世界、新たな価値を創出できる“AIの民主化”の加速

 2000年にアクセンチュアとマイクロソフトのジョイントベンチャーとして、米国シアトルで誕生したアバナード(日本法人は2005年7月に設立)。マイクロソフトの技術力とアクセンチュアのビジネス知見を最大限に活用することで、ワークプレイス、データ&AI、ビジネスアプリケーション、マネージドサービス、アドバイザリー、ユーザー体験(UX)、クラウド、セキュリティの領域において、コンサルティングからシステムインテグレーションまでのテクノロジーサービスを、あらゆるインダストリー向けに提供している。

 昨年来、アバナードが特に注目している領域が「データ&AI」である。アバナード テクノロジーリーダーシップの菅原允氏は、「アバナードでは、生産性の向上、およびイノベーションの推進という2つの側面から生成AIに取り組んでいます。これまでのテクノロジーにおけるイノベーションの変遷は10年単位でした。しかし生成AIのイノベーションは、数カ月、数日単位で変化しています。こうした変革のスピードは、産業革命に匹敵すると言っても過言ではないと思っています」と話している。

インタビュイー アバナード株式会社 テクノロジーリーダーシップ 菅原允氏
インタビュイー アバナード株式会社 テクノロジーリーダーシップ 菅原允氏

生成AIの登場で提供できる価値の範囲がさらに拡大

 アバナードでは生成AIが登場する以前から、画像認識やIoTなど、さまざまな領域でAI活用の取り組みを推進しているが、生成AIの登場により顧客に提供できる価値の範囲がさらに広がった。生成AIの領域においてアバナードは、コンサルティングからカスタム開発、パッケージ導入、ローコード/ノーコード開発など、幅広い領域のソリューションを提供。加えてバックボーンの領域では、AI活用の要となるデータ基盤、プラットフォーム構築やセキュリティ対策などのソリューションも提供している。

 生成AIの領域における他社との差別化について菅原氏は、次のように話す。「アバナードの最大の差別化ポイントは、これまでのAI活用で培った知見や実績、ノウハウに基づく提案力、そしてAIソリューションを構築してきた技術力、開発力です。その他にも、マイクロソフト、アクセンチュアとの強力なパートナーシップがあります。例えば、マイクロソフトの生成AIテクノロジーを最大限に有効活用することで、独自のカスタムAIモデルを開発できるのはもちろん、アクセンチュアがグローバルで培った知見やノウハウを活かし、ユースケースやソリューションなど、お客様に最適なAIソリューションを提供できます」

生成AIに関するすべての領域でエンタープライズの顧客を支援。
生成AIに関するすべての領域でエンタープライズの顧客を支援。

 エンタープライズ領域における生成AI導入のステップとしては、例えばEnterprise Chat環境を構築し、従業員レベルで生成AI適用の可能性を探るところからスタートし、次に具体的なユースケースが見えてきたら部門レベル、全社レベルへと活用の範囲を拡大していく。菅原氏は、「現状、多くの企業では、従業員レベルで使ってみるという段階が終わり、部門利用のためのカスタム開発やパッケージ導入を始めています」と話す。

 具体的には、自社データと生成AIを組み合わせたAIソリューションを構築する企業が増えているという。注意が必要なのは、AIソリューションを構築していく場合、戦略的な導入アプローチが必要になることである。理由は、部分最適でAIソリューションを構築していくと、AIソリューションが乱立する可能性があるためだ。そこでアバナードでは、「AI CoE(センターオブエクセレンス)」を設立することを提案している。

 菅原氏は、「目的や目標を達成するために、AIソリューションの活用をコントロールできる組織であるAI CoEを設立することで、企業として必要となるAIソリューションに優先順位をつけていくことが可能になり、AIソリューションの乱立を防ぐことができます。これにより、AIソリューションを戦略的に活用した新たなビジネスを推進することができます。アバナードでは、AI CoEの立ち上げも支援しています」と話している。

エンタープライズ領域における生成AI導入のステップ。
エンタープライズ領域における生成AI導入のステップ。

自社データと生成AIの組み合わせで新たな価値を創出

 生成AI導入の現状について菅原氏は、「実は世界的に見ても、日本は生成AIの導入が進んでいる国です。アバナードでも、すでに約200社から生成AI導入に関する問い合わせを受けています」と話す。現在、公開できるAI活用の事例としては、アバナードのウェブサイトで紹介されている日清食品グループとデンソーの2つ。まだ公開できないものの、すでに金融、自動車、エネルギー、公共系など、さまざまな業種・業態での実績がある。

 日清食品グループでは、Microsoft Power Platformと生成AIで構築した対話型チャットアプリを約4,000名が利用することで、営業担当者1人あたり年間400時間の労働時間削減を見込んでいる。またデンソーでは、非構造化データを自動で構造化データに変換する仕組みをAzure OpenAIとAvanade Insight Discoveryの組み合わせで構築することで、加工技術の研究開発から量産適用までを加速させる「加工DX」を推進している。

 「エンタープライズ領域で問い合わせが多いのは、自社データの活用で新たな価値を生み出す生成AIの活用です。また自社に蓄積されたナレッジを検索することで業務を効率化するナレッジマイニングに対するニーズも高くなっています。さらに内製化を目指すお客様も増えており、GitHubが提供している開発者向けのクラウド型AIツールであるGitHub Copilotを利用した開発支援による生産性向上もサポートしています」(菅原氏)。

 グローバルのユースケースとしては、例えばエネルギー業界で仮想現実(VR)とデジタルツインを組み合わせることでエネルギー施設の稼働状況を解析、見える化する仕組みに生成AIを使っている事例がある。さらにIoTの観点では、例えば製造業で工場の生産ラインにIoTデバイスを設置して、データを収集、解析することで、生産ラインの稼働状況の把握や予防保全などを自動化するための仕組みに生成AIが活用されている。

 生成AIで目指す効果について菅原氏は、「生産性の向上の観点では、誰かに聞くとか、自分で探すなど、1日1時間以上とも言われる検索のための無駄な時間をなくすことが可能です。一方、イノベーションの観点では、過去の知見を組み合わせ、いかに新しい価値を生み出すかが最大のチャレンジです。しかし生成AIは、あくまでもイノベーションの入り口に過ぎず、画像認識やIoT、基幹システムなどとの連携が効果的です」と話す。

 テクノロジーが重要なのはもちろん、利用者のリテラシーの向上も不可欠な取り組みの1つであり、生成AIに関する教育も重要になる。菅原氏は、「例えば、倫理やガバナンスの問題では、法律の専門家がこれまで以上に重要視されます。法制度も整ってくるので、それに対し、いかに対応していくかも課題になります。アバナードでは、開発者、技術者にかかわらず、全社員がAI活用に関するトレーニングを受講しているので、お客様に最適な生成AI活用のための教育を提供できます」と話している。

AIで目指すのはあの猫型ロボットのようなビジネスのパートナー

 今後、生成AIが、あらゆるビジネスやサービス、製品に組み込まれていくことは疑いのない事実である。例えばマイクロソフトでも、すべての製品に「Copilot(副操縦士)」という概念で、AI技術を組み込んでいくことを明言している。菅原氏は、「例えば、企業の特性に合わせ、Microsoft Copilotのプラグインをいかに有効に活用し、AIソリューションを構築していくかも重要になります。こうしたツールを最大限に活用することで、ユーザー視点でAIソリューションを生み出し、誰もが自由にAIを使いこなし、新たな価値を生み出すことができる“AIの民主化”の実現を目指しています」と話す。

 20年前も、30年前も、時代により働き方は変化しているが、多くの人は働き方の進化の過程を実感していない。AI活用により、本当に産業革命レベルの変革が可能だが、現状の働き方でうまくいっているので変化をためらう傾向もある。「重要なポイントは、固定観念にとらわれないことです。まずはこれまでの常識を疑うことが必要です」と菅原氏は言う。またスピード感も重要で、これまでの重厚長大なシステム構築ではなく、トライアル&エラーをクイックに繰り返すことで戦略のアプローチを迅速に作っていくことが必要になる。

 さらにAIにより、企業横断でいかに協業していくか、企業間の連携がいかに広がっていくかもポイントの1つ。もちろん課題もある。同じようなAIソリューションが乱立することになるので、企業としていかに個性や差別化を実現するかが重要になる。また災害や震災などにより、電力が確保できなくなることもあり、こうした非常事態にいかに対応するか、ハードウェアも含めて検討しておくことも必要になる。こうした課題はAIを導入すれば解決できるものではなく総合的に考えておくことが重要になる。

アバナードが目指す生成AI活用による新しい価値創出の世界観。
アバナードが目指す生成AI活用による新しい価値創出の世界観。

 「私自身は人々と世界をつなぐ架け橋になりたいと思って、いまの道を歩んでいるのですが、それを実現できるのがAIの活用です。目指しているのは、ビジネスやサービス、あらゆる日々の生活で、まったく意識することなくAIを使っている世界です。今後、さらにAGI(Artificial General Intelligence:汎用人工知能)の進化も予想されるので、AIをあの有名な猫型ロボットのように一緒にビジネスをやっていくパートナーとして活用していく世界、AIの民主化の実現を目指しています」(菅原氏)。

アバナードの生成AIソリューション
提供:アバナード株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2024年8月31日
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