デル・テクノロジーズが語る
DXやAI、ESG経営を後押しするストレージの最新動向

DXやAI、情報活用、データ保護、ESGといったビジネスや経営を取り巻く要素は多岐にわたる。その支えとなるストレージがさらなる進化を遂げていることをご存知だろうか。本稿では、2024年1月18日に開催されたWorld of Storage Circusにて取り上げられた、IT投資の動向からAIを活用した最新ストレージ、サイバー攻撃対策、ネットオフ実現などのテーマについて、デル・テクノロジーズとアイ・ティ・アールの見解を交え解説していく。

サービスの付加価値向上に注力する「外向きのDX」へのシフトが加速

 トークセッションの「ビジネストレンドとストレージの切っても切れない関係」では、株式会社アイ・ティ・アールからシニア・アナリストの入谷 光浩氏、デル・テクノロジーズ株式会社から執行役員 ストレージプラットフォームソリューション事業本部長 松田 吉史氏、データ保護ソリューション事業本部長 芳澤 邦彦氏、非構造化データソリューション 事業本部長 五十嵐 修平氏が登壇した。

 まず入谷氏は、「『IT投資動向調査2024』から見えてくる企業のIT戦略の動き」というテーマで解説。アイ・ティ・アールが2,259社のIT責任者・決裁者に対し実施した調査によると、IT予算は増加傾向となっており、過去最高値の2006年に迫る勢いとなっている。

 DXのテーマ別取り組み状況を見ると、これまで企業が取り組んできたワークスタイルの変化や業務自動化といった「内向きのDX」が頭打ち気味となり、他社との共創・エコシステム構築、新製品・サービスの創出、製品・サービスの付加価値向上といった「外向きのDX」へのシフトが進んでいる。

多くの企業が付加価値向上やサービスの創出に目を向け始めているのがわかる
多くの企業が付加価値向上やサービスの創出に目を向け始めているのがわかる

 また、昨年世界中に多大なインパクトを与えた生成AIをはじめとするAI関連製品・サービスへの投資が、2024年にさらに加速すると予想される。事実、「2024年に新しく投資・導入するIT領域」としてトップに挙げられたのは、AI/機械学習プラットフォーム、次いで生成AIであった。このことから、AIをマーケティングや営業、財務などに積極的に活用する動きが見て取れる。

 IT戦略で積極的に進めるテーマを調査した中で、前回の調査から急激に上昇したのが、デジタル人材の育成だ。企業では、DXやAIを実現できる人材の不足が深刻化しており、早急な対策が求められている。さらに、システム開発ではコストとスピードを重視し、ベンダーと対等な関係でモダナイゼーションを進める姿勢も見える。その他、ゼロトラストセキュリティへの移行、従業員の誰もがデータにアクセスできるデータ民主化、サプライチェーン全体でのCO2削減といったESG推進などに注目が集まっている、と入谷氏は述べた。

多くの企業が「外向きのDX」を実現するための施策を重視
多くの企業が「外向きのDX」を実現するための施策を重視

「マルチクラウドデザイン」でDXやAI活用を後押し

 続けて松田氏は、従来はデータの増え方を予測でき、5年先を見据えたインフラの準備が可能だったが、DXやAIの登場でデータの増え方が予測できなくなったと指摘する。オンプレ、クラウドに限らず、データ増加に応じたスケールアウトが今後のインフラの肝となるという。

 さらに五十嵐氏は、データの活用方法では非構造化データが加速し、テキストに限らず、画像や音声などの活用も進んでいると語る。しかし、構造化データと非構造化データを使いこなせるソリューションを活用する企業が増えた一方で、部門間でのデータ分断やサイロ化が障壁になるという。これを解決するためには、エッジやクラウド、データ管理をどうデザインしていくかが重要となる。これにより、部門の垣根を超えたデータモビリティを実現でき、DXの新たなデータ活用のシナリオが描けるようになる。

 このように、クラウドはデータの利活用に欠かせないものになっているが、しばしばオンプレミスと対立する構図で語られることが多い。これに対し松田氏は、スピードやスケーラビリティを重視するならクラウドの利用は有力な選択肢となっている、と見解を述べている。一方で、クラウドでは中長期のコストやセキュリティ、クラウドサイロという言葉に代表される運用の非統一性や、複数クラウドでのデータ移行といった問題も発生する。この課題の解決に役立つソリューションとしてデル・テクノロジーズは、マルチクラウドバイデザインという考え方のもと、ストレージが有す機能をクラウド上で活用できる「Dell APEX(エイペックス)」といったソリューションを提供している。

 デル・テクノロジーズでは、クラウドからオンプレミスに戻す際のソリューションも提供しており、クラウドと遜色ない形でグランド(オンプレミス)側に移行し、ガバナンスやセキュリティ、パフォーマンスが担保できる形で提案できる。サーバー、ストレージのブロック、ファイル、HCIのみを部分的にハイブリッド化するのではなく、データを一元的に管理し、使いたい場所で自由に使える提案ができるのが、デル・テクノロジーズの強みだと松田氏は強調する。

デル・テクノロジーズが掲げるAIビジネス4柱

 続いて「デル・テクノロジーズのAIビジネス」をテーマに昨今の取り組みについて、五十嵐氏が解説した。主に「AI on」「AI for」「AI in」「AI with」の4柱を打ち立てており、AI forとAI inに関しては内部向けで、AI onとAI withは外部(顧客)向けの柱となっている。

AIを生かしたビジネス展開で一つのエコシステムとして成長を目指している
AIを生かしたビジネス展開で一つのエコシステムとして成長を目指している

 AI forに関しては提案資料や統計、将来予測といった領域でも使う予定ではあるが、テスト段階で顧客からの問い合わせに対するAIサポートはすでに実装化している、と松田氏は語る。AI inに関して、デル・テクノロジーズのハイエンドストレージはAIという言い方をしてはいなかったが、データの書き込み・読み込みに関するパターン予測による先読み機能を20数年前から搭載している。現在はデータ配置を含めたパフォーマンスの最適化や、消費電力や温度の管理等にもAIを活用しているという。

 外部向けのAI onやAI withに関しては、デル・テクノロジーズが提供するサーバーやストレージを通じて生成AIを導入、提供するためのサポートが可能だ。生成AIの実現にあたっては、生成AIに特化したパートナー企業とのコラボレーションで価値を届ける。

 また、特に注目している技術が「データの仮想化」だ。仮想化によって、データを動かすことなくデータをまとめ、例えばAIにデータを取り込み、データ分析のBIで表示することが可能となる。デル・テクノロジーズは、旧Facebook(現・Meta)のエンジニアが開発した「Starburst(スターバースト)」という仮想化ソフトウェアで独占契約を結んでおり、Starburstでデータレイクハウスを構築し、AIに連携するソリューションを開発中だと、五十嵐氏は語る。デル・テクノロジーズは、このように製品ポートフォリオを増やすだけでなく、ソフトウェアやクラウドのベンダー、SIerとの協業により、一つのエコシステムとして提供することを目指している。

 加えて、AIに取り込み、AIにより生成されるデータの価値や機密性が必然的に高まることから、サイバー脅威にも対策をより考慮していく必要がある、と芳澤氏は指摘する。サイバー攻撃を100%防ぐことは現実的に難しく、被害後のデータ復旧能力は必須の検討課題となっている。ポイントは、「データ防御(イミュータビリティ)」「データ隔離(アイソレーション)」「データ衛生(インテリジェンス)」の3つだ。データ防御とは、バックアップストレージに保管するデータに対するサイバー攻撃耐性(レジリエンス)を持たせること。またその「データ防御」が突破された有事を想定し、通常のバックアップシステムとは別にデータ送付時だけオンライン化するヴォルト領域を設け、復旧用データを隔離状態で持つことが「データ隔離」だ。加えて隔離したデータの健全性をチェックする「データ衛生」機能を付加することで、被害後のデータ復旧に求められるレジリエンスが担保されるのだが、最も難関な「データ衛生」にもAI技術がふんだんに活用されている。

 また、デル・テクノロジーズではブロックストレージである「Dell PowerMax」、非構造化データソリューションの「Dell PowerScale」といった各ソリューションの中でもデータ保護を実現している。

2050ネットゼロ実現に向けて製造業が直面するScope3の壁に挑む

 上述したようにIT投資に対する取り組みも必要であるが、持続可能な社会の実現に向けた取り組みも企業の重要なミッションとなっている。特に対応を求められているのがESG経営であり、喫緊では温室効果ガスの削減に取り組む必要があるだろう。

 もちろんデル・テクノロジーズでもIT製造機器メーカーとして、製造と使用段階で発生する温室効果ガスの削減に注力していると、Corporate Sustainability & ESG, Customer & Partner Collaborations Lead – Japanである松本 笑美氏は強調する。

 デル・テクノロジーズは、2050年までのネットゼロ実現のロードマップを描いている。Scope1とScope2では2030年までに50%の削減、2030年までに75%、2040年までに100%を再生可能エネルギー化するといい、現在では59%を達成しているとのこと。Scope3に関しては、製造段階で発生するものを2019年度比で約45%を2030年までに削減し、顧客先で使用される製品も2030年までに30%削減。これらの目標を達成すれば、SBTI値をもとにパリ協定の基準を守って責任を果たせると松本氏は言う。

温室効果ガス削減の目標値を達成するには、製造段階だけなく消費電力そのものの削減など、運用面にも目を向けなければならない
温室効果ガス削減の目標値を達成するには、製造段階だけなく消費電力そのものの削減など、運用面にも目を向けなければならない

 一般的な製造業と同じように、デル・テクノロジーズが排出する温室効果ガスの約9割以上はScope3にあたる。ここをクリアしなければ、ユーザーの削減目標に貢献できない。そこでデル・テクノロジーズでは、製品のパフォーマンスを落とさず、より温室効果ガスの排出量を抑えた部材への切り替えを進めている。また、サーバーやストレージの省電力化にも10年以上前から取り組み製品ポートフォリオ全体の8割弱の製品エネルギー強度を削減。電気消費量や温室効果ガス排出量の見える化により、ユーザーへの情報提供も行っているという。デル・テクノロジーズでは、このような環境問題にかかわる情報提供とともに、ユーザーが抱える課題を把握していくことも重視している、と松本氏は述べ話を締めくくった。

提供:デル・テクノロジーズ株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2024年4月22日
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]