変革を迫られる、
デジタル化時代の基幹系システム
加速するオープン化に「高信頼プラットフォーム」がもたらす価値

11月13日、14日の2日間、都内で開催されたヴイエムウェアの年次カンファレンス「vFORUM 2018 TOKYO」で、日立製作所とVMwareが提供する「高信頼プラットフォームソリューション」が紹介された。日立製作所 ITプロダクツ統括本部 ハードウェア開発本部主任技師 渡辺光昭氏が行った講演内容をもとに同ソリューションの価値を探る。

加速する基幹系システムの「オープン化」と「仮想化」

日立製作所 ITプロダクツ統括本部 ハードウェア開発本部主任技師 渡辺光昭氏
日立製作所
ITプロダクツ統括本部
ハードウェア開発本部主任技師
渡辺 光昭氏

 企業の基幹系システムのあり方がここにきて大きく変化している。従来、こうした基幹系システムは、システムが止まれば事業が止まるミッションクリティカルなシステムとして、堅牢で強固な性質を備えることが絶対的な条件だった。だが、今日は、そうした条件を備えることは当然で、さらにビジネスのスピードや変化に柔軟に対応する性質を備えることが求められるようになった。

 例えば、製造業において生産管理や製造設計を担うシステムはデジタル化の流れのなかで、ITとOTを融合させて新しい価値を生み出す基盤としての役割も求められるようになっている。同じように、金融業の勘定系システムでは、リテール向けのクラウドサービスやスマホアプリ向けにデータをスムーズに連携できるような仕組みを備えることが求められている。

 このように、デジタル化やクラウド化といった時代の要請のなかで、高い堅牢性や可用性に加え、スピードや柔軟性も合わせて備える必要がでてきたわけだ。実際、IDC Japanの調査レポート「IDC Directions Japan 2018:エンタープライズインフラ市場の成長機会を再考する」には、これを裏付ける調査結果が如実に示されている。

 調査のなかで「ミッションクリティカル度が高い基幹業務システムで最も重視する要件」を聞いたところ、「信頼性/可用性」は37.8%と依然高いのに加え、「オープン性/システム間連携の容易さ/クラウドとの親和性/AIなどの新技術との親和性」が15.9%、「セキュリティ機能/機密性」が15.3%とそれぞれ高い数字を示していたのだ。

 渡辺氏はこうした現状に触れながら、日立のユーザー企業の間でもこうした「オープン化」の動きは加速していると指摘する。

 「基幹系システムにメインフレームやUNIXを採用する動きは減少し、x86サーバを使った高可用、高信頼なプラットフォームを構築する動きが活発化しています。その際には、x86サーバ移行とともに仮想化基盤を採用するケースが一般的です。仮想化基盤は、システム連携、クラウドとの親和性、AIなどとの新技術の親和性が高く、スピードと柔軟性を確保しやすいためです」(渡辺氏)

デジタル化で顕著になる仮想インフラ基盤の課題

 日立はかねてよりVMwareと協業し、顧客向けに高信頼なプラットフォームを提供することに力をいれてきた。2006年には日立x86サーバにVMware vShpereを搭載して提供を開始。以降、協業関係を深め、ニーズに応じてさまざまなソリューションを提供してきた。

 「デジタル対応が進む中で、ミッションクリティカルシステムのインフラ構築についてもお客様からさらなる期待が寄せられるようになりました。それは大きく『性能の安定性に対する期待』『業務継続性に対する期待』『ライフサイクルに対する期待』の3つに整理できます」(渡辺氏)

 1つめの性能の安定性というのは具体的には、「仮想化でサーバリソースを共有することは便利だが、1つの業務の処理が増大した時に他の業務の処理スピードが低下することは避けたい」といったことだ。仮想化でコスト効果を高めるには基盤への集約度を高める必要がある。だが、集約度が高くなることでリソースを共有する他の仮想マシンの影響を受けやすくなるという課題がある。特に止めることが許されないミッションクリティカルシステムでは、そうした共有リソースの奪い合いはビジネスに致命的なダメージを与えかねない。

 2つめの業務継続性は、具体的には「1つのハードウェア障害が全仮想マシンひいては全業務に影響を与えないようにしたい」「障害発生時のダウンタイムをもっと短くしたい」などだ。渡辺氏によると、これらが課題になる大きな原因は、仮想マシンのI/Oが仮想化基盤を構築するためのハイパーバイザーのホストドライバに依存することにあるという。ホストドライバを共有するため、そこに障害が起こると影響がシステム全体に及ぶ可能性が高まるのだ。

 3つめのライフサイクルは、サポート期限の長さだ。オープンシステムはメインフレームなどの10年超サポートなどと比べると期間が短い。「基幹業務の更新には数年かかるので、プラットフォーム基盤のサポートは5年程度でなくもう少し長くしてほしい」という要望が寄せられることが多い。

 こうした課題は、仮想化基盤そのものに備わる課題でもあるが、デジタル対応でスピードと柔軟性に対するニーズが高まるなか、より顕著に課題になってきているという。

高信頼プラットフォームソリューションがもたらす3つの価値

 こうした課題や期待に応えるために日立がVMwareとの協業のもと2018年9月にリリースしたのが高信頼プラットフォームソリューションだ。日立のサーバ製品「RV3000」とvSphereで仮想化環境を構築したうえで、日立独自の高信頼化機能と長期サポートを追加。ITシステム投資の最適化やデジタルビジネス拡大を支援するプラットフォームとして展開している。

 「特徴は大きく3つあります。それは性能の安定性、業務継続性、ライフサイクルという3つの課題を日立がこれまでに培ってきたノウハウを使って解消していること。それぞれ『リソースの占有割り当て機能』『局所化と冗長化』『メインフレーム並みの10年サポート』がカギです」(渡辺氏)

 1つめのリソースの占有割り当て機能は、仮想マシンへのPCIカードの占有割り当てを可能にする「VMware vSphere DirectPath I/O」と、日立が独自に実装したI/O占有により、I/O仮想化のオーバヘッドを低減し、仮想マシン間のI/O性能干渉を抑止する。

 「ワークロードの変動がシステム全体の処理速度へ影響することが防げます。個々の仮想マシンの性能が安定することでシステム全体が安定稼働するようになるのです」(渡辺氏)


 2つめの局所化と冗長化というのは、障害が発生したハードウェアの部位をファームウェアのレイヤで切り離し、仮想ゲスト上の業務ダウンを防ぐ仕組みだ。PCIカードに障害が発生した場合は、PCIカードを切り離し、予備PCIカードへ切替えることでシステムダウンを回避する。

 「ソフトウェア/ハードウェアの全階層で、確実な障害検知と迅速な系切り替えを可能にする冗長化を実現しています。止まることが許されない社会インフラの基盤システムとして活用できます」(渡辺氏)



 3つめのメインフレーム並みの10年サポートは、文字通り、保守サポートの期間を延長して最長10年の長期サポートを標準で提供するものだ。サポート期間中は、VMwareから特別に技術的な支援を受けられることに加え、VMwareに日立のエンジニアが常駐して対応するためハイレベルなテクニカルサポートを受けることができる。標準ライフサイクル終了後でも顧客の業務に影響するレベルの重要不具合に対しては、VMwareと連携して対策版を提供する。これらは「日立サポート360」のメニューとして提供される。


信頼性を保ちながら新しいビジネスやサービスを創造する

 このように高信頼プラットフォームソリューションは、基幹系システムのオープン化を目指す企業にとって、大きな助けとなるものだ。こうした付加価値を持つソリューションを提供できるのも、日立の長年にわたるミッションクリティカルな顧客システムのサポートと、自社製品開発の知見があるからにほかならない。これらは機能開発や独自実装はもちろん、サポートやトラブルシューティングにも生かされている。

 例えば、OS障害時にメモリダンプに加えてカーネルログも採取して行う「メモリダンプ解析」、SYSLOGへのメッセージ出力の制御や高信頼ログRASLOGを使って迅速な原因特定を行う「ログ解析」、カーネルの詳細な動作履歴を採取し、アプリケーションやカーネル内部の詳細な動作を正確に把握する「カーネル解析」などだ。

 「高信頼プラットフォームソリューションは、万一の障害発生時にも、高速な系切り替えで業務を継続します。また、基幹データと部門データを活用することで運用を効率化するとともに、豊富なアプリケーション/フレームワーク/パッケージを利用して、ビジネス拡大も支援します」(渡辺氏)

 冒頭でも触れたように、企業はいまデジタル対応が進むなかで、勘定系と情報系の一体運用や、ITとOTの融合、AIやビッグデータの活用などが求められている。そんななか、高信頼プラットフォームソリューションは、基幹システムの信頼性を保ちながら、オープン化を加速させ、新しいビジネスやサービスを創造する重要な基盤の1つとなるものだ。

 渡辺氏は「企業が社会的な意味でもイノベーションを進め、豊かな社会を実現することを高信頼プラットフォームソリューションで支援していきたい」と重ねて強調した。

提供:株式会社日立製作所
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2019年2月28日
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