「サブスクリプション型 Let's noteの働き方改革支援サービス」
誕生の背景にあるパナソニックの働き方改革

パナソニックでは、情報システム部門が長年にわたって試行錯誤しながら、セキュリティを担保しつつ柔軟な働き方の実現に取り組んできた。その舞台裏を聞く。

 2019年4月1日から「働き方改革関連法」が順次施行され、企業には時間外労働の上限や年次有給休暇の確実な取得などの対応が求められている。他方では、デジタル変革(DX)を推進しなければビジネスの成長を見込めず、企業の存否を賭けた状況と言っても過言ではない。多くの企業がこの状況に直面する中、パナソニック コネクティッドソリューションズ社(以下、CNS社)傘下で国内における販売・SI・施工・保守・運用サービスを手掛ける、パナソニック システムソリューションズ ジャパン(以下、PSSJ)は、自社の働き方改革で得た知見を活用し、企業の働き方改革を支援する「サブスクリプション型 Let's noteの働き方改革支援サービス」のパッケージ提供を開始した。

 PSSJが働き方改革へ本格的に取り組み始めたのは、働き方改革関連法が施行される5年前の2014年だ。さらに、さかのぼる2010年から定時退社日や在宅勤務制度、フレックスタイム制勤務を導入してきたが、その当時はまだまだ在宅勤務を容易に取得する風土が醸成しておらず、投資対効果の観点からまずはモバイルワークを可能にするe-Janネットワークスの「CACHATTO」を導入決定した。

 社員へ配布していた携帯電話端末で、移動時間にメールやスケジュールが容易に見られるようになったことで、会社としての機動力は格段にアップした。また、「CACHATTO」はセキュアブラウザを使い、端末にデータが一切残らない仕組みのため、BYOD(個人端末の業務利用)も許可した。その仕組みのおかげで、端末を紛失しても情報セキュリティ事故にならないことや、個人端末には生体認証が付いているものも多く、パスワードに指紋認証や顔認証が使えることも、社員にも受け入れられ、BYODでの「CACHATTO」利用者が急増した。

モバイルワーク導入時のポイント

モバイルワーク導入時のポイント

 導入当初はメールやスケジュール、ワークフローなどのシンプルなアプリケーション構成だったが、利用者が増えるにつれて勤怠管理、旅費精算、名刺管理とソフトウェアを拡大していった。

 PSSJでIT側からの働き方改革に取り組む経営革新部 ICT総括の藤井宏之氏は、導入効果について、「1年後には社員の7割が「CACHATTO」を利用しており、社員がBYOD利用を選択できるようにしたことで、『自ら変わる』という企業風土が育った。また、我々、情報システム部門としても、社員の7割が使う働き方改革の基盤を、短期間で安価に手に入れることができた」と語る。

 2015年には、パナソニックグループ全体でOffice 365を導入し、翌2016年には会議室不足の状況を解決するため、内田洋行の「SmartRooms」を導入して、会議室の利用状況を可視化できるようにした。働き方改革の取り組みでは、2017年4月にCNS社社長に就任した樋口泰行氏の存在も大きいという。

 CNS社では樋口氏のリーダーシップでビジネスモデルをソリューション型に変革するため、まず社員の意識改革から取り組んだ。その本質は、お客様の価値向上につながらない業務や時間を徹底して排除することにある。例えば、服装の制約の排除やフリーアドレスの導入、チャットコミュニケーションツール(Skype)の導入や部門別の利用率の公表、週報の廃止といった施策が代表的である。

 「チャットコミュニケーションツール(Skype)の当初の利用率は低く、『隣席の同僚にインスタントメッセージを打つの?』といった声もあったが、フリーアドレスの導入で常に同僚の居場所を把握できるという訳にはいかなくなったこともあり、現在は利用率が9割にまで高まっている。トップダウンによる働き方改革で一気に加速できた」(藤井氏)

 IT側の取り組みと並んで、人事部門も在宅勤務のガイドラインを見直した。例えば、従来は育児や介護をせざるを得ない社員、若しくは通勤が困難な社員を対象に在宅勤務日の取得可能日数を制限していたが、現在は全社員が制限なしに取得できるようにしている。

 だが、PSSJの働き方改革は必ずしも順風満帆ではなかったという。2017年には、パナソニック全社で「月間80時間以上の残業、20時以降の残業を禁止」する社長通達が流れ、業務の現場はさらなる努力を強いられた。セキュリティの観点から長年シンクライアントを利用しており、当時は約8割がデスクトップ、2割がノートPCでシンクライアントを使用していた。シンクライアントPCの場合常にネットワーク接続が必要であり、テレワーク環境の構築に苦しんでいたという。

 その結果生まれたのが、「PCデータ削除サービス(通称:自己防衛PC)」だ。パナソニックは、Let's noteのBIOSを自社開発しているため、遠隔消去サービスであるワンビの「TRUST DELETE Biz」と組み合わせ、PCの電源を入れた段階でBIOSがパスワード入力を求め、規定した回数を打ち間違えるとストレージを消去する仕組みを構築した。さらに、BitLockerによるドライブ暗号化やActive Directoryを用いたパスワード入力で、PC内のデータを保護することで、シンクライアントと同等のセキュリティレベル、ファットクライアントと同等の利便性を備えつつ、シンクライアントと比べて10分の1のコストを実現した。

PCデータ削除サービス(自己防衛PC)の仕組み

PCデータ削除サービス(自己防衛PC)の仕組み

 「かつては、例えば紛失したPCのデータを遠隔で消去しようとすると、通信回線が必須だった。自己防衛PCはローカルワイプができるので、運用コストが大幅に抑制できる」と藤井氏は話す。PSSJの働き方改革は、風土(チャットなどのツールを活用する現場)、制度(在宅勤務制度など)、IT(自己防衛PC活用によるテレワークの加速)の三位一体の取り組みで成功した。なお、自己防衛PCはハードディスクの暗号化とTRUST DELETE Bizのインストールで実現しているため、既存のLet's noteでも導入可能だ。

 2018年からは、長時間労働抑止に着手した。テレワークが加速したことにより、新たな課題が発生したからだ。テレワークが浸透していくと、夜間や土日にも容易にPCが使えてしまうため、勤務時間を正確に把握することが難しくなる。また、厳しく管理しようとすれば “隠れ残業”も起こりかねない。そこで強制をすることなく長時間労働を抑止する仕組みを検討した結果、「長時間労働抑制ソフトウェア」を開発した。

 「長時間労働抑制ソフトウェア」は、PCの起動、終了時間に加え、勤怠管理システムの勤務時間、入退出時間を並べて表示する。社員への平日20時のポップアップ表示(PC画面80%に表示)による注意喚起とその後どうしても残業で業務を継続したい場合の上司への残業申請によってPCの継続利用を可能にする。仮にポップアップを閉じても1分後に再表示し、PC利用時間の延長を上長に申請するよう促す。基本的には就業時間内に事前に残業の申請をすることになるため、「上長は残業してまで行う業務かどうか判断でき、部下とのコミュニケーションも活発になる」(藤井氏)ため、残業の抑止と業務の適正化や業務品質の向上につながる。

 顧客のLet's note導入を支援するPSSJのICTサービス部でも、こうした社内での取り組みに注目した。ICTサービス部は、顧客企業の情報システム部門が円滑にPCを導入したり運用したりできるよう支援を行っているが、「この苦労はどこの企業にも共通するものではないだろうかと感じ、当社のノウハウで働き方改革を支援する提案をしていた」(PSSJ サービスインテグレーション本部ICTサービス部長の小倉利章氏)という。その後、「長時間労働抑制ソフトウェア」を「Chronowis(クロノウィズ)」として顧客に提供している。

 PSSJ社内の効果としては、例えば、20時に約1000人がPCを利用していた場合、約350人が残業を事前に申告し、約650人にポップアップで残業の注意が表示された。そのうち約270人が急いで申請した一方、約380人は業務を止めて帰宅した。つまり、約6割の社員が無理に残業をしなかったということが言える。社員の声としては、「20時までに仕事を終わらせるにはどうしたらいいのか、を考えるようになり、効率化への意識が高まった」(システムエンジニア)や、「残業時間に部下が何をしているか分かるようになった」(営業課長)と社内でも非常に好評だ。

現場と制度、ITによる三位一体の取り組みでテレワークの環境が急速に普及した

現場と制度、ITによる三位一体の取り組みでテレワークの環境が急速に普及した

 このように、PSSJの長年に及ぶ働き方改革の取り組みから生まれたのが、2019年11月27日より提供を開始した「サブスクリプション型 Let’s noteの働き方改革支援サービス」だ。企業の状況に応じて働き方改革に必要な代表的な機能をまとめて、パッケージメニューにし、提供しているところに特徴がある。

 例えば情報システム部門は「ベーシックパック」「テレワークパック」「PCLM(PCライフサイクルマネジメント)パック」の3つから選択できる。これらをもとにして、さらに必要な機能やサービスを追加することも可能だ。

 「まずLet's noteを安心して使いたいという企業は『ベーシックパック』が適しており、VPN接続を必要とせずにシンクライアントのようにPCを活用したい場合は『テレワークパック』を選んでいただきたい。『PCLMパック』は、キッティングなど情報システム部門の業務を代行するビジネスプロセスアウトソーシングになる。この3つを基本に目的に応じたオプションを追加していけるプログラムとなっています」(小倉氏)という。さらに、今後も技術革新や社内の試行錯誤から生まれた結果に応じてメニュー構成を拡充させていく方針だ。

 SaaSなどクラウドの分野では一般的となったサブスクリプションだが、「サブスクリプション型 Let’s noteの働き方改革支援サービス」パッケージのサブスクリプションは、契約期間をもとにした従来のPCリースなどのサービスとは異なる。上述した働き方改革を支援するサービスを利用できるだけなく、PCの利用期間についても3年もしくは4年間を選択可能だ。利用期間が2~3年ではまだPCが新しいが、5年では古くなって性能面で厳しいといったことが背景にある。

 小倉氏は、「お客さまが当社の担当者にご要望を伝えていただくだけで、お客様企業の働き方改革にとって必要なことをワンストップで提供できる」と話す。

 藤井氏も、「最初からPCを購入してしまうと、例えば、OSのサポートが終了しても予備機として残されるケースもある。使用していないPCが社内に残り、セキュリティの観点から見ても、コスト効率という面でも、IT部門にとっては悩ましい問題になり得ますね。2年でPCを入れ替えると、データやアプリケーションの移行作業は面倒と現場から反発されることもあるが、3、4年周期なら高性能な新しいPCに入れ替えた方が業務効率の向上とコストの抑制につながるので現場の理解も得やすい」という。「サブスクリプション型 Let’s noteの働き方改革支援サービス」パッケージは、既に顧客反応も上々だとのことだ。

パナソニック システムソリューションズ ジャパン サービスインテグレーション本部ICTサービス部長の小倉利章氏(左)と本社 経営革新部 ICT総括の藤井宏之氏

パナソニック システムソリューションズ ジャパン
サービスインテグレーション本部ICTサービス部長の小倉利章氏(左)と
本社 経営革新部 ICT総括の藤井宏之氏
提供:パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2020年5月31日
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