エンタープライズクラウドサービス G2を核にシステムやデータの主権を守り、社会インフラを支えるクラウドとしての成長をめざす

株式会社日立製作所(以下、日立)はエンタープライズクラウドサービス G2(以降、G2)を中心にHitachi Cloudのサービスと組み合わせ、さまざまな場面に幅広く対応するクラウドサービスを提供する。日立は2022年6月に「VMware Sovereign Cloud Initiative」に日本で最初に参画した。G2は手厚いサポートサービスとポータルサービスを使い分けることで、手軽に効率よく必要なクラウドサービスの利用が可能だ。日立製作所 マネージドサービス事業部 プライベートクラウドサービス本部 クラウド基盤サービス第1部 統括主任技師 木下 順一氏と技師 高橋 正範氏に日立のクラウド戦略などについて聞いた。

VMware Sovereign Cloud Initiativeに日本で最初に参画

 日立はエンタープライズ向けのクラウドサービスを核に、クラウド関連サービスを拡充してきた。2007年、「SecureOnline」でVMware 製品を初めて採用し、IaaSを提供。2015年にはフェデレーテッドクラウド戦略に伴うメガクラウド連携を強化、「エンタープライズクラウドサービス」を開始した。2017年にはVMware とのミッションクリティカル分野の協業を拡大。2020年には「エンタープライズクラウドサービス G2(第2世代)」の提供を開始した。翌2021年6月には「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)」にもとづいたクラウドサービスリストに登録。そして、2022年6月には「VMware Sovereign Cloud Initiative」に日本で最初に申請し、参画を認められた(図1)。

図1.日立のクラウドの歩み
図1.日立のクラウドの歩み

 G2は手厚いポータルサービスとサポートサービスを使い分けて、手軽に効率よく必要なクラウドサービスを利用できる(図2)。「ポータルサービスでは、お客さまがクラウド統合管理ポータル『VMware Cloud Director』を使って、仮想サーバーやネットワークをリアルタイムに設計、運用できます」と木下 順一氏は語る。

株式会社日立製作所 マネージドサービス事業部 プライベートクラウドサービス本部 クラウド基盤サービス第1部 統括主任技師 木下 順一氏
株式会社日立製作所
マネージドサービス事業部 プライベートクラウドサービス本部
クラウド基盤サービス第1部 統括主任技師
木下 順一氏

 サポートサービスではモニタリングやメンテナンス、運用作業や障害対応をワンストップで実施すると共に、お客さまへのサービス契約時の導入サポートからその後の技術サポートまでを行う。「さらに、ソブリンクラウドを構成するオプションサービスとして、クラウド環境移行準備サービス、リージョン間接続オプション、バックアップサービスを提供しています」と高橋 正範氏は説明する。

図2.エンタープライズクラウドサービス G2の全体イメージ
図2.エンタープライズクラウドサービス G2の全体イメージ

ハイブリッドクラウド環境や運用サービスの組み合わせで顧客の課題を解決

 G2では、監査対応やお客さまハウジング機器とのクラウド接続、監視や運用の一元化などの要望に応じて、ハイブリッドクラウド環境や運用サービスとの組み合わせを提案する。例えばセキュリティへの配慮や監査対応のため、データ保管場所や運用の透明性を確保し、極力閉域網でシステム環境を組み立てたいという要望がある。これに対して、Sovereign Cloud Initiative参画やISMAP認証、各種ISO認証情報を開示すると共に、監査対応を行う。加えて、閉域網接続や、センタ内でお客さまハウジング環境とクラウド接続を実施する。

 また重要データは手元に確保しながら、ハイパースケーラーのサービスも活用したいというニーズもある。これに対して、マルチクラウド環境をワンストップで提供。接続環境や運用監視、ハウジングなど関連サービスを組み合わせた環境も提供が可能だ。

 さらにシステムの繁忙期に万一のトラブルを避けたいので、クラウド基盤のメンテナンスは実施しないでほしいという運用面での要望がある。これに対して、専用ホストで運用するDedicatedサービスやプライベート環境を採用いただくことで、メンテナンス時期の調整を可能にしている。

エンタープライズクラウドサービス G2のユースケース

 G2のユースケースを紹介する。会計データや個人情報はセキュリティを重視した環境で保持したいが、最新のクラウド関連技術で用いられているデータ分析基盤を利用し、業務の改善に生かしたいと考える場合だ。日立では本番環境をG2、開発/検証環境をAWSやAzureなどのハイパースケーラーで構築。拠点・クラウドとは専用線を使わずにEdge GatewayによるIPsec設定で、即時接続する。マルチクラウド環境から運用/監視まですべてのIT環境をワンストップで提供し、安定稼働を支援する。

図3.エンタープライズクラウドサービス G2のユースケース
図3.エンタープライズクラウドサービス G2のユースケース

ハイブリッドクラウドを強化し、高信頼・高可用なクラウドを提供

 日立はG2を中核に、お客さまの要件・要望に合わせて日立のクラウドの商材を組み合わせて導入した多くの実績を持っている。

【事例1】は大規模Webシステムで、冗長化・ハイブリッド構成による負荷分散により、安定稼働とコスト低減を両立させたある公共機関だ。同機関では1年の中で、通常期と繁忙期があり、トラフィックが大きく異なる。そこで、機微な情報を扱うサーバーは専用区画化し、繁忙期は業務専用にG2を利用することで、トラフィックをスケールアウトした。

【事例2】は遠隔地バックアップを実現した大手企業D社だ。日立のクラウドサービスを最適に組み合わせたハイブリッド基盤で、現行環境からの移行を短期間かつスムーズに実現。大規模災害に備えたベアメタル環境での遠隔地へのレプリケーションの仕組みを構築した。

【事例3】は高いセキュリティが求められる仮想ブラウザーシステムを構築したG銀行である。日立の豊富な設計ノウハウを盛り込んで、セキュリティやシステム監視などの関連商材を一括して提供、高セキュリティ・高性能な4600ユーザー利用の大規模な仮想ブラウザーシステムを実現した。

株式会社日立製作所 マネージドサービス事業部 プライベートクラウドサービス本部 クラウド基盤サービス第1部 技師 高橋 正範氏
株式会社日立製作所
マネージドサービス事業部 プライベートクラウドサービス本部
クラウド基盤サービス第1部 技師
高橋 正範氏

 日立はパブリッククラウドとオンプレミス/プライベートクラウドを適切に連携し、パートナーエコシステムで迅速・柔軟、適切なコストで、安心・安全、脱炭素化をめざすクラウドを提供していく(図4)。

図4.ハイブリッドクラウドへの取り組みを強化
図4.ハイブリッドクラウドへの取り組みを強化

 日立はクラウドの運用や構成についてポリシーガイドでオープンにすると共に、暗号化などの対応も進めている。機密性の高いデータを扱う公共機関や企業は日立にぜひともご相談ください。

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