(1)の単体サポートサービスは、OSSを活用したシステムの新規構築・再構築を検討する企業やSIer向けに、システムインフラの設計、構築やテストなどを支援するというものだ。リリース後の保守サポートサービスも提供している。設計、構築フェーズは自社で行い、保守サポートサービスのみNRIに委託することも可能だ。
(2)の救急センターとは、すでにOSSを導入している企業を対象としたものであり、OSSの保守サポートサービスに入っていない企業のシステムで、障害が発生した際の緊急対応として、障害復旧・業務再開を支援するというサービスだ。
寺田氏は「われわれは、そのようなサービスを提供することで、エンジニアをバックエンドでサポートし、オープンソースの普及・発展を支えていきたいのです」と語る。
システムインフラはコモディティ化
また、アプリケーション系のエンジニアに比べて、インフラ系のエンジニアが少ないことも、課題のひとつだ。インフラ系の知識は体系化されておらず、属人的なノウハウになっていることが多い。まさに“職人技”の世界だ。RDBMS「MySQL」やJava Server Pages/Java Servletのエンジンによるアプリケーションサーバ「Apache Tomcat」などのOSSのミドルウェアが普及したとしても、それを適切に設計できるエンジニアが不足していると、OSS普及の足枷になる。
これについて寺田氏は、「システムインフラはコモディティ化してきています。今後は“設計”自体が必要なくなると考えています」と話す。
寺田氏によれば、2000年以前の方式設計では「どのようなハードウェアに、どのようなRDBMSやAPサーバ、ミドルウェアを載せればいいのか、さらにそれらのパラメータはどうあるべきか、設計するのは難しかった。その設計の良し悪しがプロジェクトの成否を握っていました」という。しかし、2000年を境に、システム設計はある程度「パターン化されてきました」(同氏)。
つまりは、ウェブサーバ・APサーバ・DBサーバというウェブ3階層方式で、開発言語にはJavaを利用するといった具合だ。「パターン化されているにもかかわらず、毎回同じような設計書を、一から作成しているケースも多く非常に非効率です。IT人材の不足が言われている中で、このような作業に優秀な人材をアサインしている状況は、とても“もったいない”と感じています」(同氏)。
このような問題に対する、NRIの答えが、OSSスタック「OpenStandia/Application Server」である。OpenStandia/Application Serverは、実際にOSSでシステムを新規構築・再構築しようとする企業やエンジニアに対して、OSSのミドルウェアスタック(検証済みのミドルウェアの組み合わせ)と、スタックに含まれるOSSの年間保守サポートを提供する。性能や信頼性を考慮したインフラの設計要素がパッケージされており、10分程度で必要なOSSのインストールと、パラメータの設定作業が、自動的に完了する。