BIの「I」は、CIAの「I」--企業のデータ活用と国家の諜報活動との意外な共通点 - (page 2)

梅田正隆(ロビンソン)

2010-04-22 20:24

時々刻々と変化する現実をいかにしてとらえるか?

 インテリジェンスはインフォメーションから生産されるが、このインフォメーションは「ベーシック インフォメーション」と「カレント インフォメーション」に大別される。

 先にインフォメーションは「移ろいやすい現実を写し取ったもの」と述べたが、ある地域の地形や気象、あるいは文化や歴史など、時間が経過しても変化しにくい性質のものもある。このようなインフォメーションを「ベーシック インフォメーション」と呼ぶ。

 一方、戦争において敵の作戦は一夜にして変わる可能性があるし、政治の世界においても政権交代によって政策が180度、方向転換することがある。こうした時間の経過とともに大きく変化するインフォメーションを「カレント インフォメーション」と呼ぶ。カレント インフォメーションにおいては、よりリアルタイムに近い(新しい)インフォメーションの方が重要視される。

 その理由は「インテリジェンスに基づいて判断し行動する」ということが、「現実に対して働きかける」ことにほかならないからだ。現実は時間とともに変化するため、カレント インフォメーションは、できるだけリアルタイムである方が現実との「ギャップ」が小さく、正しい判断、正しい行動につながりやすいのだ。

 以上、今回はBIの「I」が示す「インテリジェンス」の理論について、その基本的なところをざっと見てみた。ITツールを使った「BI」という言葉を聞き飽きてしまった人もいるかもしれないが、その言葉の由来や背景にある理論を知ると、ちょっと新鮮な気持ちで「ビジネスでのデータ活用」に取り組めるのではないだろうか?

 さて、次回はこの「インテリジェンス」と「戦略」との関係について見ていくことにしよう。

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