これまでは、日本のNTT Com本社に製造と販売の機能があるのと同様に海外の現地法人でも、それぞれ製造と販売の機能を抱えていた。同社では従来のこの形態を“フェデレーションモデル”と呼んでいる。
今後進めるファクトリーモデルでは、製造機能を集約し、そこから提供されるサービスを卸して、日本を含めた各国の販売組織がサービスをユーザー企業に販売するという形態にしていく。ファクトリーモデルでは、サービスの開発やオペレーションをグローバルに統一して、取引形態をシンプル化できるという。
ファクトリーモデルでは、オペレーション体制も変更する。具体的には、Bizホスティング Enterprise Cloudのティア1~2のデータセンターをNetmagicに順次統合していく。Arcstar Universal OneのグローバルオペレーションはVirtelaに統合、セキュリティサービスの「WideAngle」はNTT Com Securityに統合していく。
9つの施策
Global Cloud Vision 2014では、さまざまな分野で強化していく。
クラウドの基盤にあたるデータセンターでは、グローバルの共通の品質となりティア3~4に相当するデータセンター「Nexcenter」を新たに日本国内で大阪、海外ではマレーシアや中国・上海、香港、イギリスに開設することを明らかにしている。同時にM&Aを含めてデータセンターを拡充していく。
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クラウドでは、Bizホスティング Enterprise Cloudの拠点を2013年度の9カ国11拠点から11カ国13拠点に拡大させる。機能としても、顧客からのニーズに応じて中核システムにも対応したメニューを拡充させる。Bizホスティング Cloudnも、今秋にシンガポールに拠点を展開。同サービスは5月から値下げする。
ネットワークでは、モバイルサービスの海外展開を進める。M2Mで利用できる「Arcstar Universal Oneモバイル」のメニューを188の国と地域に展開する。
汎用的に提供する情報系SaaSの「Arcstar UCaaS」「Bizメール」「Bizデスクトップ Pro Enterprise」を提供するための拠点をシンガポールや北米、欧州に設置。公衆電話交換回線網(Public Switched Telephone Network:PSTN)のIP化やクラウド化もグローバルで展開する。SaaS型のユニファイドコミュニケーション(UC)であるArcstar UCaaSはすでに海外でも提供されているが、ほかのコミュニケーションサービスもグローバルに利用できるようにしていく。
ユーザー企業向けに2013年10月から提供しているビジネスポータルでは、BizホスティングやArcstar Universal Oneなどのサービスのうち13を接続して、一元的に管理できるようにする。契約状況や故障がどうなっているのかなどを閲覧できるとともに設定もユーザー企業自ら変更できるようになる。
クラウドマイグレーションサービスも強化する。現在70人体制の専門チームを8月までに130人体制に増加させ、スムーズなクラウド移行をグローバルで実現するという。マネージドセキュリティのWideAngleでは、独自開発の新セキュリティ運用基盤と、専門分析官による運用監視体制でサイバー攻撃などのリスクを最小化すると説明している。
運用管理では、これまで日本の顧客向けに個々に対応してきたサービスをグローバルに低価格で展開できるように、新メニューを英語では4月から、日本語では7月から提供する。9カテゴリ48以上のメニューから選択可能として、運用管理業務の60%を自動化し、約30%の運用管理コストを削減できるという。
こうした取り組みによって、2013年度から掲げている、2015年度にクラウド事業売り上げ2000億円という目標達成を目指す。