NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は10月28日、記者会見を開催し、米国のデータセンター事業者RagingWire Data Centersと、ネットワーク事業者の米Virtela Technology Servicesの2社を買収すると発表した。RagingWireの株式80%を3億5000万ドル(約340億円)、Virtela の100%を5億2500万ドル(約515億円)で取得する。
NTT Comは2012年度に990億円だったクラウド/データセンター事業の売上高を、2015年には2000億円に押し上げるとの目標を掲げている。代表取締役社長の有馬彰氏は、2010年から3年で2倍の規模に伸びているという米国のデータセンタービジネスを強化することで、それを現実に引き寄せたいと説明した。
NTT Comの社長、有馬彰氏は今後データセンター事業をRagingWire側に寄せていくと話す
RagingWireは米国内に3つのデータセンターを保有し、2013年度は8500万ドルの売り上げを見込む。買収の主な狙いはキャパシティの拡大にある。NTT Comはすでに米国8都市でデータセンターサービスを提供しているが、需要は現在のキャパシティを超えており、新たな販売機会の獲得を模索していた。
NTT Comが現在提供するデータセンターの面積は143拠点17.1万㎡で、うち日本が10.2万㎡、海外が6.9万㎡。これが、買収により、計画中のものを含めて152拠点23.1万㎡に拡大する見込み。内訳は日本が10.5万㎡に対し、海外がRagingWireの2.3万㎡を含めて12.6万㎡となり、海外が国内を面積で逆転する。
さらに、RagingWireは米業界団体TUI(The Uptime Institute)が定めるデータセンターの評価制度で最高水準である「TierIV」を取得しており、NTT Comはこの運用ノウハウや特許技術を国内を含めたデータセンター全体に展開し、品質向上を図る考えだ。
現状はNTT Comのブランド「Nexcenter」として提供していく予定だが、有馬氏は「データセンターの新規拡大はRagingWireをベースに進める。われわれが米国に持つデータセンターは店じまいする可能性がある」と話し、RagingWireに米国でのデータセンター事業を寄せていく考えであることを明らかにした。
Virtelaとオペレーション、サービス、ネットワークを統合へ
一方のVirtelaは、マネージドサービスやネットワーク機器の仮想化技術などに強みを持つ米国の大手ネットワーク事業者だ。NTT Comとほぼ同様のビジネスを展開している。すでにVirtelaのネットワークサービスとNTT Comの「Arcstar Universal One」を相互接続することにしており、オペレーションを統合することで、エリア拡大、拡張性の高い帯域の確保など規模の利益を追求する。
さらに、ファイアウォールやWAN高速化装置などネットワーク機器の機能を仮想化する技術「NFV(Network Functions Virtualization)」を利用したクラウド型マネージドネットワークサービスの拡充などにより、サービスの統合も図る。バックボーンの効率利用も進めることで、ネットワークを統合。提供地域を160から196に増やすことも視野に入れている。