ヴイエムウェアは6月11日、NTTコミュニケーションズが提供するクラウドサービス「Biz ホスティング Enterprise Cloud」(BHEC)の基盤に、自社のネットワーク仮想化技術が採用されたと発表した。顧客が持つデータセンター内にあるリソースとクラウド上のリソースをつなぐなど、オンプレミスのシステムとクラウド間を連携しやすくできる。
今回NTT ComがBHECの基盤に導入したのはヴイエムウェアのネットワーク仮想化技術。顧客の自社データセンターとNTT Comのクラウド環境間を、顧客の既存システムのIPアドレスを変更することなく接続できるようになるのが特徴だ。ERPやCRMなどのアプリケーションが持つデータの多くが、外部に出さず企業側のデータセンターにとどまる必要があるものであるため、こうしたデータをクラウド側の環境といかに連携するかが課題になることがあった。
従来、クラウド環境にあるアプリケーションと企業データセンター内のリソースの連携には、特別なハードウェアが必要になる上、時間とコストの負担も大きいのが一般的なケースだった。
NTT Comは今回、ネットワーク仮想化技術として、ソフトウェアで構築されたオーバーレイネットワークを利用している。オーバーレイネットワークは「コンピュータネットワーク上に構築された別のコンピュータネットワーク」であるため、オーバーレイネットワーク上のノードは、下位のネットワークのトポロジーを意識しなくても通信できるのが特徴。
代表取締役社長、三木泰雄氏
これにより、従来のように煩雑なネットワークプロビジョニングが不要になるため、NTT Comにおける顧客向けの設定、構築プロセスなどを大幅に簡素化できるという。また、運営コストや投資コストも削減できるとしている。
この日は、日本法人設立10周年を記念した記者とアナリスト向け懇談会が開催された。就任後丸8年を迎える代表取締役社長、三木泰雄氏は「導入企業7500社、パートナーは1500社に達した。また、特に重視しているのは技術者の数で、VMware Certified Professional (VCP)の資格を取得した技術者は9000人に上っている」と話し、短期間での拡大をアピールした。