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2020年にOSSは主流に、LinuxはWindowsを逆転する--レッドハット廣川社長 - (page 2)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2014-12-04 07:00

 私が約7年前にレッドハットに入社して、挨拶回りをしたときに、ある企業で「どうしてオープンソースの会社に行っちゃったの。俺大嫌いだよ」と言われたんです。なぜ嫌いなのかを聞くと、責任の所在がわからないからと言うんです。何かが壊れたときに、オープンソースでない製品ならそこの責任者を呼んで直させればいいけど、オープンソースはそれがわからない。それに値段が安いっていうけど、ベンダーも頑張って値引きしてくれるので価格のメリットはないと言われました。

 それが3年経ったら、「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」のユーザーになって、「やっとユーザー会に入れたよ」と連絡してくれたんです。3年でそれだけ意識の変化があったわけです。オープンソースは、従事している人が圧倒的に多いこと、また、ソースコードがオープンであるため誰とでもつながれることが大きな特徴です。誰がどこを直したかがすぐに調べられますし、もっといい修正方法を公開する人もいます。

 前バージョンの「RedHat Enterprise Linux 6」を3年前にリリースしたときには、1万4000を越えるアプリケーションがサポートしました。

 大手銀行のCIO(最高情報責任者)から「RedHat Enterprise Linux 6には39のバグがある」と言われたことがあります。そのときには、その39のバグをリストでいただければ、すぐに直しますと答えました。というのも、RHELはウェブ上に3万項目のテスト結果が掲載されていて、誰でも参照することができます。もちろんソースコードも公開されていますし、どのバージョンのどこにバグがあるか、どのパッチを適用すればいいかなども公開しています。

 それでも、すべてが公開されているオープンソースは嫌だという方がいます。そういうところに対してレッドハットがあるわけです。バグがあればパートナーとパッチを作成して、適用を呼びかけます。また、Red Hatのワッペンがあるソフトウェアはちゃんとわれわれが保証しているということです。ワッペンがなかったり、バグのあるバージョン、サポート切れのバージョンを使ってしまうとリスクがあります。

 つまり、オープンソースはソースコードが明確であることと、従事している開発者がトップソフトウェアベンダーよりも何十倍もいるということが特長で、そのため安く速く良い物が作れるのです。

--最近はオープンデータなど、“オープンに取り組む”いう考えの影響が大きくなりつつある。それはなぜだと考えるか。

 データをオープンにすること、活用することによって、さまざまな価値が生まれます。それで社会が活性化させますし、(情報を公開したほうが)イノベーションが起きやすくなります。イノベーションは1人の机上ではなく、多様な人が良い情報と刺激を与え合うことで起こります。シリコンバレーがITのメッカになったのは、さまざまな会社の開発者たちが昼食をともにして意見を出し合ったからだといいます。ソフトウェアの開発で起きたイノベーションがオープンソースというわけです。

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