2月にSatya Nadella氏がMicrosoftの最高経営責任者(CEO)に就任して以来、以前よりも協調的かつ協力的な「新生」Microsoftの様相が大きな話題となっている。
Microsoftが起こしている変化のいくつかは、間違いなく称賛に値する。しかし、そうした変化の一部は、何よりもイメージに関することだ。そして、実際に起きている変化とイメージを区別することは、意外と難しいのかもしれない。
米国時間10月6日、Nadella氏はAdobe Maxカンファレンスの壇上にいた。競争相手でもある両社が「協力相手」にもなり得るというメッセージを強調するためだ。Microsoftはカンファレンスの参加者全員に、「Surface Pro 3」タブレットと、「Office 365」の1年間のサブスクリプションを提供。Adobeは、「Creative Cloud」にいくつか新しい変更を加え、同社のアプリとタッチデバイス、特に「Surface」との連携を強化したことを発表した。MicrosoftはプロフェッショナルのクリエイターたちからSurfaceへの支持を取り付け、Adobeはカンファレンス参加者への素晴らしい景品を手にしたというわけだ。
Adobeは数十年にわたって、MicrosoftのISVパートナーとして第一線にいる。MicrosoftがAdobeの全て、あるいは一部を買収するかもしれないといううわさが流れた時でさえ、両社はパートナーであり、競争相手であった。それは今も変わらない。
Salesforceは、2014年にMicrosoftが新しく輝かしいパートナー関係を築いたもう1つの企業だ。両社の間で連携のとれた発表は、多くの人に強い印象を与えた。
来週にはSalesforceのDreamforceカンファレンスがある。両社が多面的な約束を実現するために取り組んできたことの進捗について、さらに多くのことを聞けるはずだ。
Salesforceが「Windows Phone 8.1」と「Windows 8」向けの新たなアプリの開発を約束したことは分かっている。しかしそれ以外では、特にMicrosoftとのクラウド面でのパートナーシップについて、Salesforceの主張にはやや具体性を欠くところもあった。
Salesforce のCEOのMarc Benioff氏は、Salesforceの「ExactTarget」が「Office 365に組み込まれている」ことを宣伝してきた。しかしそれは実際には何を意味するのだろうか。
ExactTargetはOffice 365やSalesforceの顧客の目に触れるものではない。2014年初めに筆者がより詳しい点を質問したところ、Microsoftの広報担当者は、それが「顧客向けの機能」ではないことを認めた。むしろMicrosoftはExactTargetをOffice 365のマーケティングに使っている。そしてそれと引き換えに、Salesforceは、ExactTargetサービスを動かすために、社内での「SQL Server」の使用を増やすことを約束している。同社はまた、ExactTargetの開発と検証に「Azure」を使っている。基本的に、持ちつ持たれつの関係である。
来週、SalesforceがMicrosoftのOffice 365のAPIを利用することについて、新たな発表がいくつかあるかもしれない。5月にOffice 365とSalesforceの相互運用性についてトップレベルでの話し合いがあったことを考えれば、これが今後実現する可能性はある。そうなったら大したことだ。