エンタープライズに必要な可用性と拡張性で浸透するNoSQL分散DB「Cassandra」 - (page 4)

木本吉信 (DataStax)

2015-04-16 14:54

 Cassandraを利用する方向となるまでは、NoSQLに取り組むのは初めてということもあり、かなりの抵抗がありましたが、最終的には導入が決まって2カ月の準備期間を経てAPIを社内に公開したところ、利用が急増する状況となっており、今ではさまざまなサービスが順次配備されています。

患者の情報をリアルタイムに分析

 Amara Health Analyticsは、臨床医に対し患者の状況から今後考えられる症状の進み具合を予測し、対応できるようにするサービスを提供する会社です。担当医のメモから患者に取り付けられているさまざまなセンサに至るまで、さまざま形の膨大なデータを取り扱えるデータベースとしてCassandraを採用し、リアルタイムでのデータの解析を通じて、医師に有用な情報を提示する仕組みを作って提供しています。

24時間365日の可用性

 Courseraは、世界の大学などの組織とパートナーシップを組み、オンラインで講義を無償で提供する教育プラットフォームです。世界各国の9900万人の受講者に700ほどの講義を提供しています。

 従来RDBで運用をしていましたが、単一障害点により想定外のダウンタイムが発生し、パフォーマンスとスケーラビリティが確保できないことで新機能の追加を見合わせざるを得ない状況が生じていました。

 100%のアップタイム、拡大を続けるユーザデータを格納できるスケーラビリティ、安定した書き込みと読み取りのパフォーマンスを確保する手段としてCassandraが選ばれました。

 結果として、24時間365日の可用性を保証するオンデマンドコースの提供、需要の増大に合わせた複数データセンターへの拡張、そして新機能の提供開始までの期間短縮が実現しました。

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 Cassandraは、活発なコミュニティによって支えられて、具体的な使用事例に示したように企業での利用に十分耐えうるものになっています。そして、実際に新しいビジネス、新しい収益を生み出す基盤となっています。現行は2.1ですが、3.0に向けた開発がコミュニティによって引き続き進められており、結果が楽しみです。

 Cassandraの商用ディストリビューションであるDataStax Enterpriseも、先に述べたように企業にとって有用な多くの機能を取り込んでおり、今後もさらに充実していきます。こちらもまた、Cassandraを選択する場合には有力な選択肢になるでしょう。

 RDBには、これまで積み上げてきた貴重な資産があり、それを有効に活用することも非常に大切です。しかし、あらゆる人やモノがインターネットに接続し、膨大な量のデータがひっきりなしにやり取りされる世界の中で、RDBにはない特性をもったCassandraのようなNoSQLを採用して、これまでにない新しい取り組みやビジネスを創造していくことが、企業や組織のさらなる発展へとつながることを信じてやみません。

木本吉信(きもと・よしのぶ)
DataStax
学生時代から数えるとUNIX、RDBMSの世界に入ってかれこれ25年以上を経ても新しい技術に対する興味は尽きない。現在はApache Cassandraをビジネス展開する米DataStax日本オフィス開設と日本語での技術サポートに奮闘中。日本語での問い合わせ先info-jp@datastax.com
4月21日開催の「Cassandra Summit Tokyo, 2015」がもっぱらの関心事

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