Dreamforce 2015:ベニオフCEO、IoT市場への参入姿勢を明確に - (page 2)

鈴木恭子

2015-09-18 17:31

 Benioff氏は「IoT Cloudで1対1でのプロアクティブなエンゲージメントが可能なる。Marketing Cloudなど、ほかのプラットフォームとの連携で『いつ、どの顧客に、どのようなコンタクトをすべきか』といった知見を得ることができるからだ」と強調する。

 Thunderは、同社の開発者向けプラットフォームやリソースを統合して提供する「Salesforce App Cloud」の一部として提供される。米国でのリリースは2016年上半期を予定しているが、日本でのリリースは「その後」(同社関係者)とのことだ。

機械学習で「CRMが秘書代わり」に

 基調講演のもう1つの目玉は“秘書のように業務タスクの優先度を指南してくれる”「SalesforceIQ」のリリースだ。ベースとなっているのは、2014年に3億9000万ドルで買収した機械学習のベンチャー企業、RelateIQの技術である。

 同社最高技術責任者(CTO)であるParker Harris氏は、「中堅小規模企業を対象にした『SalesforceIQ for Small Business』は、導入も簡単ですぐに利用できる。例えば、CRMはメールやスケジュールを管理しているカレンダーとの連携が可能なので、自分やチームと顧客に関する情報をさまざまなソースから収集して分析し、“最適解”を提案をしてくれる」と説明する。

Salesforce.com CTOのParker Harris氏(左)。昨年とほぼ同様の格好だ
Salesforce.com CTOのParker Harris氏(左)。昨年とほぼ同様の格好だ

 SalesforceIQ for Small Businessは顧客の関連情報を自動的に取り込み、過去の行動履歴(いつ頃、何回メールしたかなど)を分析したうえで、ユーザーにとって最も重要だと判断したアクションをユーザーに提供する。Harris氏は、「過去においてCRMは『ロギング』の機能を提供していたが、(SalesforceIQによって)今後は『知見』を提供する『カスタマーリレーションシップインテリジェンス』へと進化する」とその違いを強調した。

 SalesforceIQの日本市場への投入は未定となっている。その理由は、日本語対応に時間がかかるためだ。

 同社幹部は、「特定言語のコンテキストを理解、学習させることは単なるローカライズではない。これは日本語だけの課題ではなく、欧州言語でもリリース時期は不透明だ」と語る。9月17日時点では米国、カナダ、オーストラリアのみの提供で、料金はユーザーあたり月額25ドルからとのことだ。

SalesforceIQの画面。日本でのサービス開始スケジュールは決まっていない
SalesforceIQの画面。日本でのサービス開始スケジュールは決まっていない

Azureで収集→IoT Cloudで分析→顧客を獲得

 今回のコンファレンスでは、MicrosoftのCEOであるSatya Nadella氏も単独での基調講演に登壇する。Benioff氏の講演では、SalesforceとMicrosoftとの提携強化が発表された。具体的にはMicrosoftのオフィスクラウドである「Outlook 2013」や「Office 365」などをSalesforce上で利用できるための統合ツールを提供する。さらに、Microsoftの音声通話ソフトである「Skype」をSalesforce上で利用できるようにしたという。

SaleforceとMicrosoftの連携一覧。コンファレンスを通してWindows 10とSaleforceの“相性の良さ”が強調された
SaleforceとMicrosoftの連携一覧。コンファレンスを通してWindows 10とSaleforceの“相性の良さ”が強調された

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