「Azure File Storage」はパブリッククラウドにおけるファイル共有サービスだ。これにより、Server Message Block(SMB)を用いたファイル共有を行っているアプリケーションは、Azure上に容易に移植できるようになる。また、最新のSMB 3.0プロトコルが採用されているため、アプリケーションはセキュアで永続的な接続を維持できるようになっている。なお、Azure File Storageに格納されたコンテンツは、IaaS上に配備されている仮想マシンや、PaaS上でホストされているアプリケーションからアクセス可能だ。
このサービスがターゲットにしているのは、従来のファイル共有メカニズムを採用しているレガシーアプリケーションだ。ちなみに、Amazon Web Services(AWS)も、「Amazon Elastic File System(Amazon EFS)」という同様のサービスを提供している。
「Microsoft Azure IoT Hub」は、クラウドと各種デバイス間の接続やプロビジョニング、アップデート、通信を可能にするサービスであり、複数のサイトに配備された膨大な数のデバイスの管理が可能となっている。また、このサービスはクラウドからデバイスに対する、そしてデバイスからクラウドに対するリアルタイムの通信をサポートしている。さらに、顧客はHTTPやAdvanced Message Queuing Protocol(AMQP)、MQ Telemetry Transport(MQTT)などの、標準プロトコルやカスタムプロトコルを使用できる。
「Microsoft Azure IoT Suite」は複数のAzureサービスをまとめて1つのIoTソリューションにするサービスであり、デバイス同士の統合を容易にするために「Azure DocumentDB」や「Azure Event Hubs」「Azure Stream Analytics」などのサービスを活用する。現時点でこのサービスはリモートアセットの管理と監視にまつわるシナリオをサポートしている。
Microsoftは「Windows 10」とAzureを通じてIoTに投資してきている。Azure IoT Hubによって、IoTのユースケースとシナリオに合致したかたちでのAzureサービスの利用が容易になるとともに、Azure IoT Suiteによって、適切なIoTサービスの統合を実現するための土台が提供される。AzureはIoTプラットフォームの能力を引き出せる最初のパブリッククラウドプラットフォームの1つとなっている。今後はAWSやGoogleも、こういったプラットフォームを用意してくるはずだ。
「Azure Container Service」は、Azure内に配備されたマイクロサービスを管理するためのコンテナ管理およびオーケストレーションサービスだ。これはMesosphereのテクノロジをベースにしており、「Docker」や「Apache Mesos」を活用している。Microsoftは4月に開催した「Build 2015」カンファレンスにおいて、Azure上でMesosphereのデータセンターOS(DCOS)を稼働させるというデモを実施していた。そして今回、同社はホストされたコンテナサービスにより、その関係を次の段階に発展させたと言える。
サービスとしてのコンテナ(CaaS)という調達モデルが勢いを付けてきている。Googleが「Google Container Engine」を発表し、AWSも「Amazon EC2 Container Service」を提供しているため、MicrosoftもCaaSを発表すると期待されていた。その期待に応える際、Microsoftはコンテナオーケストレーションのための自社独自のレイヤを構築するのではなく、Mesosを選択した。また、このサービスは将来的に「Docker Swarm」や「Kubernetes」といったオーケストレーションエンジンを追加でサポートする可能性もある。