IoT関連の新興企業であるJasper Technologiesが3月、Cisco Systemsに買収された。Jasperはこの買収により、IoTの接続性を簡素化してさまざまなモバイル事業者や企業に向けて提供していくための取り組みをさらに推し進められるようになるという。
14億ドルという規模のこの買収が完了したことでJasperは、モバイル事業者が抱えるデータ集配信という問題の解決と、企業向けIoTから複雑さを取り除くという目標の実現に向け、さらに力を注げるようになる。
Cisco傘下のJasperでIoT戦略の責任者を務めるMacario Namie氏は、新生Jasperをひと言で述べると、30社以上のモバイル事業者に対してIoTプラットフォームを提供する「テクニカルインターフェース」であるとした。Jasperは、ある大きな問題を解決するために12年前に創業された。その問題とは、世界中のモバイルネットワーク上にあるデバイスを互いに接続するというソリューションを、企業に対して提供するというものだ。
Namie氏は米ZDNetに対して、「Ciscoの一員になることで、われわれが独立して事業を展開していた時に手にしていた機会が、さらに大きなものになったと確信している」と述べた。
「Ciscoの一員となることについてわれわれが最も心を躍らせたのは、より大きな組織の一員になる結果、より大きな問題に取り組めるという点だ。企業がデータを利用できるよう、あらゆる場所にあるセンサからデータを収集し、クラウドに集積するというのはとても難しい問題なのだ」(Namie氏)
「これはコミュニケーションの問題であり、通信経路の問題であり、専門性の高い問題と言える。このため、ネットワークに関するさまざまなテクノロジが絡んでくる。例えば100台のデバイスがあった場合、そのうちの1台から見れば99のOSを相手にすることになるため、分断化は甚だしいものとなる。少なくとも、そういった接続能力を持ち合わせている企業はほとんどない(中略)さらに重要な点として、企業はそのような能力の獲得など望んでおらず、単にすべてを期待通りに動作させたいと考えているだけなのだ」(Namie氏)
Namie氏は、企業及びモバイル事業者の双方にメリットをもたらせるシンプルなソリューションの提供が、Jasperの大きな目標だと付け加えた。
「われわれはデータ集配信の問題を解決し、顧客にとって手軽な実現方法を見つけ出したいのだ」と同氏は述べた。
「携帯電話回線網か固定電話回線網か、あるいはモバイル機器か固定機器かに関係なく、複雑さを取り除き、可能な限りシンプルにするのがわれわれの使命だ」(Namie氏)