デジタル人事の時代

デジタル時代のワークスタイル変革--ホワイトカラー領域に侵食するロボティクス - (page 3)

田中公康 平野圭祐

2016-08-12 07:00

ロボティクスの活用

 もう1つの潮流は、利用が広がると思われるロボットによるホワイトカラーの置き換えだ。国内メガバンクにおける顧客対応業務へのIBM Watsonの導入事例などが記憶に新しい。

 ロボティクスの活用は、従来のホワイトカラーでは難しかった価値提供に踏み込める可能性を秘めており、その傾向はFinTech分野が顕著だ。60歳代以上がメインターゲットとされるプライベートバンキングが、ロボティクスの活用により、働き盛り世代も個人向け資産運用サービスを気軽にできるようになった。

 いわゆるロボアドバイザー市場は、Bloombergによれば、2020年までに世界全体で2兆2000億ドルを超えると予測されており 、日本発のスタートアップが立ち上がっている。

 7月にサービス提供を開始した「ウェルスナビ」は、簡単な登録を済ませれば、ロボアドバイザーがリスク許容度を5段階で判断し、リスク許容度に応じた最適ポートフォリオを自動で算出してくれる。

 ポートフォリオに基づき、上場投資信託(ETF)を選択、証券市場へ自動で発注し50カ国1万1000銘柄に分散投資が可能だ。手数料は預かり資産の1%のみとし、運用会社からの手数料や広告料を受け取らないことで、個人投資家に中立的な立場らのアドバイス提供が可能と訴求している。

 Deloitteが導入したRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)では、Outlookで受信した職場からの依頼内容の確認、データ加工、統合基幹業務システム(ERP)への入力まで、複数のアプリケーションにまたがる作業をすべて自動化することが可能になった。定型業務の処理速度の爆発的な加速化が見込まれ、新たなソーシング先としてロボティクスが十分実現可能であることが実証されている(図4)。

図4:ロボティクスの活用事例
図4:ロボティクスの活用事例

 クラウドソーシングやロボティクスの登場により、ホワイトカラーの価値の見直しは始まっている。各企業は競争優位を確保するために、ホワイトカラーの生産性や創造性を高めるための働き方の見直しが求められている。

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