第3のステージは、サービタイゼーションの最終形です。米国では「Outcome-Based Service Model(成果型サービス事業モデル)」とも呼ばれており、代表的な事例としてボーイング社がよく取り上げられます。
このモデルでは、製品そのものの販売だけで利益を上げるのではなく、製品から得られる価値や成果物(ボーイング社の航空機エンジンの場合には、航空機の飛行時間)に対して顧客から対価を得るという考え方です。ここで難しいのが、顧客が対価を支払ってもいいと考える価値や成果物をどう理解するかです。
ここでも有効なのが、IoTの有効活用です。予知型保全をはじめ、製造業でのIoT利用の本質はここにあります。IoTにより、顧客が製品をどう利用しているかを正しく理解し、そこで得られた知見を次期製品に反映させ、それに対する顧客の反応を理解し、さらなる改善へつなげる――。まさに「お客様との価値共創」です。このサイクルは、スマホアプリの成功から多くを学べるかもしれません。
次回以降は、どうすればこの3つのステージをステップアップし、自社のサービス事業を進化させることができるのかを、事例を交えながら解説します。
- 垣貫 己代治
- サービスマックス日本法人代表
- 外資コンピュータメーカーで製造業を中心とした営業に従事し、シスコシステムズ、ネットワーク・アプライアンス(現ネットアップ)、富士通を経て、国内ITセキュリティ・コンサルティング企業の立ち上げに参画。2007年にナイスシステムズに入社し、日本法人代表取締役に就任した。2010年からアスペクト・ソフトウェアの日本法人代表を歴任後、2015年5月より、米ServiceMax日本担当バイスプレジデント兼日本法人代表。