本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、米ServiceMaxのDavid Yarnold CEOと、応用電子の矢野正博 代表取締役社長の発言を紹介する。
「フィールドサービス支援は最も未開拓のエンタープライズソフト市場」 (米ServiceMax David Yarnold CEO)
米ServiceMaxのDavid Yarnold CEO
フィールドサービス支援クラウドサービスを手掛ける米ServiceMaxが先ごろ、同サービスの日本語版を提供開始し、日本市場へ参入すると発表した。Yarnold氏の冒頭の発言は、その発表会見で、フィールドサービスを支援するIT化の現状について語ったものである。
同社のフィールド支援クラウドサービス「サービスマックス」は、図に示したような幅広い業種に向け、顧客・契約・設置機器の管理から作業指示、部品管理、スケジュール管理および蓄積された履歴データ(作業員稼働率、初回解決率、SLA遵守率など)といった一連のフィールドサービス業務を可視化できる機能を備えている。
「サービスマックス」の対応業種
さらに、モバイルデバイスの活用によって作業報告や見積もり、検収作業のデジタル化や情報共有などを迅速に行えるようにした。これにより、フィールドサービス現場での生産性を大幅に向上させることができるとしている。
同社は米サンフランシスコで2007年に創業し、Salesforce.comのプラットフォーム上でこのサービスを提供開始。これまでにグローバルで約500社の導入実績を持つ。その中には、GEやソニー、Coca-Cola Enterprisesなどの大手企業も相当数に上るという。
Yarnold氏によると、同社は当初からグローバル展開を図り、現在では売上高の4割以上を米国外から上げている。今回、日本市場への参入にあたっては、日本企業のフィールドサービスへのニーズに対応するため、1年以上にわたって市場調査などを行い、十分な手応えを得たとしている。
同氏の説明で興味深かったのは、フィールドサービス支援のIT化に目をつけた点だ。「製造業をはじめ幅広い業種にわたって、グローバルでおよそ2000万人のフィールドサービス技術者が日々活動しているが、その業務を支援するためのIT化は他の業務に比べて遅れていた。業務内容が複雑なことも足かせになっていたが、私たちはクラウドやモバイルを駆使することによって業務を整備し、この分野のIT化を大幅に進展させるサービスを提供しようと考えた」と同氏はいう。
さらに、「これまでエンタープライズソフト市場において、フィールドサービス支援という分野が個別に存在感を持つことはなかった。ただ、私たちの試算ではグローバルで180億ドル規模の潜在市場があると見ており、最も未開拓の分野だ。これは非常に大きなビジネスチャンスだと捉えている」と説明した。冒頭の発言は、このコメントのエッセンスである。