座談会@ZDNet

マーケティングは「CEOと取り組むもの」--成果の出しやすいITを:座談会(5) - (page 3)

山田竜司 (編集部) 吉澤亨史

2017-05-26 07:00

 槇氏:日本では多くの大企業が地理的に集中しているため、首都圏では連絡を受けて「今から行きます」ということもできますが、米国ではそれは不可能です。

 また、米国では顧客企業が複数の地域や都市に分散しているため、全てをカバーすることが難しく、テリトリーを決めて販売パートナーを活用して営業活動をしています。


アクセンチュア株式会社 デジタルコンサルティング本部 マネジング・ディレクター 槇隆広 氏

 よって、マーケティングに関しても、初めに営業テリトリーを考慮して活動を計画・実行しないと効率が悪くなってしまいます。日本人が得意としている「営業は足で稼ぐ」というアプローチはとれません。

 日本では営業担当が顧客企業にちょっと顔を出して回るということができますが、米国ではそのようなことをしていたら経費と時間がかかりすぎて非効率なので、限られた訪問回数を最大限有効に活用するために説得力のあるプレゼンテーションが必要なのです。

 顧客のニーズや知りたいことを事前に把握し、訪問に向けてプレゼン資料をカスタマイズして作り、初回訪問から商談をしかけるわけです。この点だけをとっても、マーケティングの役割が全然違います。

 日本企業が海外に進出すると、最初にこのアプローチの違いにぶつかり、日本で培ってきた今までのやり方がうまくいかないとなるわけです。

 私がコンサルティングの現場で感じていることは、「日本国内を対象にしたマーケティング活動は、おおむね販促や営業支援としての活動と同義である」ということです。

 ほとんどの場合、販促や営業支援は営業部門のファンクションの一つです。営業とマーケティングのミッションにおける大きな違いは、営業は今見えている案件をどう刈り取って売り上げを立てるかであり、マーケティングは未来の売り上げをどう作るかです。

 未来のことを考えるということは、今は見えていないことが多く、ぼんやりとしています。もしかしたら想定していなかったところに潜在顧客が存在しているかもしれないのです。

 営業部門とマーケティング部門は、お互いに売り上げ獲得に対するアプローチや考え方、そして評価の基準も全然違うはずなのですが、日本企業においては、それらが明確に整理されていないことが多いのかなと思います。

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