「マイデータ」の時代

個人主導データ流通を担う「CustomerTech」--消費者が優位に立つテクノロジ - (page 2)

伊藤 直之(インテージ)

2017-07-03 07:00

スマートフォン利用者情報の適切な取り扱いに課題

 生活者が自らのどのような情報がどのように取得・利用されているのか、最も理解が進んでいないのがデジタルマーケティング領域であり、個人が関与する仕組みが必要と考える。

 米国の広告市場は2016年にデジタル広告がテレビ広告を抜き、その中でもスマートフォン向けのモバイル広告が最も成長している。特にスマートフォンの位置情報を活用できるようになったことが最大の要因だ。

 日本でも位置情報などのオフライン行動とオンライン行動を統合したデジタルマーケティングソリューションが徐々に出てきている。

 スマートフォンの位置情報を利用した広告や計測サービスの多くは、そのサービスを提供する企業が開発したGPS情報を取得するSDKなどの情報収集モジュールを各パートナー企業がアプリケーションに組み込んでいる。

 ユーザーがそのアプリを利用している間に位置情報が収集・蓄積され、各種マーケティングに利用される。

 位置情報は個人特定性が高いため、「ユーザーからの事前同意を経て収集している」としているサービスが多いが、その同意取得方法はベンダーによっては適切ではないと思われるものも散見される。

 常時GPSを利用するようなアプリでなくても、初回起動時に位置情報の常時取得許可を求め、明らかに“ユーザーより企業にメリットが多い”広告や計測などへの利用が主目的であろうアプリも存在する。

 総務省が提言するスマートフォンに関する情報取扱指針である「スマートフォンプライバシーイニシアティブ」では、透明性や利用者関与の機会、適正な手段による取得の確保などが盛り込まれているが、この指針に準拠したアプリは多くはないのが実情だ。

 アプリケーション利用のために取得されていると思っている位置情報がCookieやADID/AdIDといったオンライン識別子と共に第三者へ送信され、IDに紐づく他の情報と結合し、広告などのマーケティングに利用されていることを知らないユーザーは少なくないのが現状だ。

生活者のためのテクノロジ登場


ジャーナリストのDoc Searls氏

 「インテンション・エコノミー~顧客が支配する経済」の著者で、顧客が企業との関係を構築するVRM (Vendor Relationship Management)の提唱者であるジャーナリストのDoc Searls氏は、生活者のためのテクノロジが登場するという。

 5月に開催されたマーケティングテクノロジの世界最大級のカンファレンス「Martech」の基調講演で、”CustomerTech“によって顧客がマーケティングにおける企業との関係性で優位に立つ時が来ると説いたのだ。

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