日立製作所と田辺三菱製薬、AI活用の新薬開発で協業を開始

NO BUDGET

2018-03-27 09:31

 日立製作所と田辺三菱製薬は3月26日、人工知能(AI)を活用した新薬開発における臨床試験の効率化に向け協業を開始すると発表した。

 両社は2017年初めから共同で、臨床試験関連の情報検索・収集の自動化を検討してきた。その中で、日立の医療向けの自然言語処理やディープラーニングなどを活用し、熟練者のノウハウに依存していた従来の作業と比較して、情報収集の時間を約70%短縮できることを確認した。また、収集・整理されたデータの正確性も検証し、十分に活用できる見通しを得たという。


臨床試験領域における協業の概念図

 国内の新薬メーカーは、薬価の引き下げやジェネリック医薬品の大幅なシェア拡大に伴い、有効な治療方法のない疾患に対する医療ニーズ「アンメット・メディカル・ニーズ」に応える新薬の早期開発に必要なプロセスの見直しを進める。

 特に、新薬を人体に投与することにより有効性や安全性を検証する臨床試験は、新薬開発の成否を左右する重要なプロセスだが、精緻な実施計画の立案が求められるため、多大な時間と熟練者の知識・経験を元にしたノウハウが必要だった。

 そこで両社は臨床試験の計画段階において、医学論文や医療関連データベースであるClinicalTrials.govなどからの専門的な医学情報の検索・収集に多くの時間を要していることに着目し、このプロセスの効率化に取り組むこととした。

 両社は今後、日立のIoTプラットフォーム「Lumada」などを活用し、臨床試験の効率化に向けた取り組みを共同で進める。さらに将来的には協業の範囲をを拡大し、さまざまな実証実験を行う予定。

 日立は協業を通じて開発したソリューションをベースに、第一段階として、Lumadaを活用し、医学文献などからの情報収集自動化技術を汎用化し、2018年度から順次、国内外の製薬業向けに広く提供していく。

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