テレワークを軸に野田聖子氏などが女性の就労支援を議論--マイクロソフト - (page 3)

大河原克行

2018-04-24 07:00

 一方、ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授は、「Empowered Woman」と題して講演を行った。


ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授

 グラットン教授は、「AIやロボットなどのテクノロジが、仕事を変えていくことになる。これによって生まれるメリットは、人間が単純作業をしなくてすむという点だ。人間らしい仕事ができるようになる。社交力、問題解決力、認知能力、状況適応力といった人間らしい仕事だけをすればいい」とした指摘。

 日本は寿命が長い国であり、それだけ人生の時間が多く、子育てが終わっても、60年間働く時間がある。教育、仕事、引退という3ステージのモデルから、今後は、マルチステージの人生が生まれ、どんな年齢でも、さまざまな経験を積む機会が増える。それがテクノロジによって実現されることになる。これは、人間であることを軸に置く生活を促すものになると話した。さらに、人口の半分が生産的な活動に関わらないのは理にかなっていないと述べる。

 「これから女性の活躍の機会が広がることになる。1960年代には男性が外で働き、女性が子育てをする時代から、女性が働く時代になった。だが、いまは、男女がいずれもキャリアを形成するようになってきた。誰が賃金を得るのか、誰が子育てをするのかということを夫婦が決め、男性が週に4日間働き、女性が3日間働くといった関係も生まれている」という。これは人間的な働き方ともいえ、企業が多様性を持つことにもつながる。ダイバーシティは企業や国のイノベーションには不可欠である。日本はダイバーシティを築くことが大切であるとしている。

 さらに、今後10年間で、途上国から8億6500万人の女性が労働市場に入ってくることや、高齢者の雇用が増え、英国では65〜69歳の人口の22%がすでに雇用されていること、世界人口の6分の1がフリーランスで働いていることなどのデータを示す一方、「今後広がっていく柔軟な働き方を実践するには、文化を変えることが大切である。日本では長時間働きすぎるという課題がある。これはロボットであればうまく行く仕組みである。日本は、労働集約型の製造業が発展したためにそうした意識が浸透しているが、いまでは知識集約型の仕事が中心になっており、クリエイティビティを重視しなくてはならない。そのためには、長時間労働は最適ではない。長時間労働では、日本の企業や、日本の国そのものが発展することにはつながらない。そして、日本の政府は、自らがフレキシブルな働き方の模範になり、新たな働き方を支援する必要がある」と指摘した。

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