紀陽銀行は4月12日、既存のオンプレミス環境をパブリッククラウド環境に順次移行する「リフト&シフト」プロジェクトを開始したと発表した。日本マイクロソフトおよびFIXERと連携して進める。
今回のプロジェクトは、既存のIT設備をクラウドに移すことにより、IT資産のオフバランス化を目指すというもの。サーバやネットワーク機器を自前でそろえるオンプレミス型のIT資産管理から、ITリソースを必要に応じて利用するクラウド型への移行(リフト)を目的としている。
さらに、銀行業務に必要なソフトウェアをパブリッククラウドで稼働させ、FinTechサービスとの親和性を高めるほか、次世代の銀行サービスへと進化(シフト)させる効果も期待するという。
移行プロセスを通じて、紀陽銀行はクラウドを前提にシステムを開発、運用する体質へと変革を進める。2019年中の完了を目指す。ハードウェア管理の負担をなくすことで、ソフトウェアの機能拡張に集中できるようになる。パブリッククラウド「Microsoft Azure」のPaaS環境や開発ツールを利用することで、ITコストの削減とセキュリティレベルの強化も図る。
システムの設計構築は、クラウドサービスベンダーのFIXERが担当する。Azure向けのフルマネージドサービス「金融機関向けcloud.config」でシステムの開発を進める。クラウド移行後の保守運用も行う。
昨今、基幹システムや各種サービスをクラウド環境に移行する企業が増えており、金融業界においても重要な戦略となっている。金融情報システムセンター(FISC)が定める「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書」(FISC安全対策基準)も2018年3月に第9版が発行されるなど、行政機関のクラウド利用に関するガイドラインも次々に更新されている。地方銀行においても今後の戦略的な事業展開やセキュリティ強化などの観点から、迅速で安全なクラウド化が求められているという。