日本マイクロソフトは4月3日、都内で熊本市との共同記者会見を開催し、同市が展開する「クラウドソリューションを活用した働き方改革基盤構築プロジェクト」において連携と発表した。
2016年4月に発生した熊本地震からの復興加速を目的に、Microsoft 365を活用した市内および地域連携のICT基盤を構築し、働き方改革を推進する。日本マイクロソフト 代表取締役社長 平野拓也氏は、本件について「全国自治体でも類を見ないパブリッククラウドの導入事例となった。日本のデジタルトランスフォーメーションを推進するため、他の自治体へも積極的に紹介する」と意気込みを語った。
日本マイクロソフト 代表取締役社長 平野拓也氏
日本マイクロソフトは2011年3月に発生した東日本大震災被災者に対する支援として、政府・自治体やNPO(非営利団体)、パートナー企業と共に同社製品・ソリューションを用いた活動を続けている。2016年4月に発生した熊本地震に対しても早期から同様の取り組みを実施し、2016年4月末時点で256カ所あった避難所と物資拠点の職員、市役所間の円滑な情報連携を実現するため、パートナー企業やNPOとともにタブレットを熊本市の指定避難所へ展開。Office 365による情報共有を実現してきた。
このような背景を持つ日本マイクロソフトと熊本市は、これまで築いた協力関係を発展させ、「クラウドソリューションを活用した働き方改革基盤構築プロジェクト」を開始する。同企画について熊本市長 大西一史氏は、「(災害支援を通じて)クラウドシステムの利便性を体感した。災害時にも使えるクラウドのメリットは大きい」と語る。
熊本市長 大西一史氏
熊本市は庁内ネットワークを含めたクラウドソリューションとデバイス導入予算として5年間で約47億円を確保し、既存のオンプレミスサーバによる運用環境を刷新して、市職員や教職員間の情報共有・交換の活性化を目指す。
同プロジェクトは日本マイクロソフトが蓄えた働き方改革に関する知見を熊本市に提供する一方で、熊本市は災害に強いICT基盤を実現するため、Windows 10、Office 365、EMS(Enterprise Mobility+Security)を統合したMicrosoft 365の導入に至った。
前述した配備済みタブレットデバイス約600台において、Microsoft 365を先行利用し、市民からの問い合わせ対応などにはSkype for Businessを利用した活用シナリオの検証。メールの送受信結果や会議回数など可視化し、AI(人工知能)によるアドバイスで働き方を見直すMyAnalyticsを用いた市職員の働き方改革検証と実現を目指す。また、現行システムの業務改善を目的にしたチャットボットを開発・検証も予定し、将来的には外国人向けの多言語化も予定している。2019年4月からは、庁内ネットワークに接続するモバイル端末約7000台でMicrosoft 365が利用可能になるという。