Microsoftは、特定の業界向けクラウドパッケージの展開を続けている。同社は米国時間2月24日、金融サービス、製造業、非営利団体を対象とする3つの新たな「インダストリークラウド」(特定業界向けのクラウドソリューション)を発表した。これまでにヘルスケア業界、小売業界向けのクラウドパッケージを発表している。
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Microsoftのインダストリークラウドは、共通データモデル、クラウド間コネクター、ワークフロー、API、業界別のコンポーネントや標準を「Azure」「Microsoft 365」「Dynamics 365」「Power Platform」などの広範なMicrosoftのサービスと組み合わせて構築されている。フロントエンドの生産性タスクとバックエンドのデータ管理をつなぐよう作られているとMicrosoftは説明した。
Microsoftのビジネスアプリケーションおよびグローバル産業担当コーポレートバイスプレジデントAlysa Taylor氏は、「ほかのインダストリークラウドは、ほぼ1つのビジネスプロセス、あるいは1つのユースケースのみを重視している」と述べている。
これに対しMicrosoftは、複数のシナリオを1つの業界別クラウドにまとめている。過去には社内外のシステムインテグレーターが、このような種類のテンプレートとカスタムソリューションを作成していただろう。Microsoftはこれらのクラウドパッケージを拡張、調整する上で、今後もパートナーと連携していく考えだとTaylor氏は述べた。
「Teams」のコラボレーション、「Office」のアプリ、「Power BI」の分析など、Microsoftの業界別クラウド(バーティカルクラウド)すべてで共通する生産性とセキュリティの要素がある。Office、Dynamics、Azureなど、Microsoftのさまざまな部門の技術チームは隔週で会議を開き、インダストリークラウドを拡充させようとしているとTaylor氏は話した。さらに、各業界に特有の機能もある。
金融サービスを対象とした「Microsoft Cloud for Financial Services」には、融資担当者向けの「Loan Manager」や銀行向けの顧客エンゲージメントなどの機能があらかじめ用意されている。パブリックプレビューは2021年3月の予定だ。
Microsoftは製造業向けの「Microsoft Cloud for Manufacturing」について、OPC Foundation、Open Manufacturing Platform(OMP)、Digital Twin Consortiumなどの業界固有の標準やコミュニティへのコミットメントが特にユニークだとしている。パブリックプレビューは2021年6月末までに利用可能になる予定だ。
「Microsoft Cloud for Nonprofit」は、ボランティアの管理や資金の確保などの活動に対応する。パブリックプレビューは2021年6月末までに開始される。
またMicrosoftは同日、すでに発表されている小売業向けの「Microsoft Cloud for Retail」が2021年3月にパブリックプレビューとなることを発表した。また、ヘルスケア業界向けの「Microsoft Cloud for Healthcare」の最初のアップデートは4月に提供されるという。このアップデートでは、新たに8言語に対応するほか、バーチャルヘルス、患者の遠隔モニタリング、介護支援サービス管理、患者のセルフサービスなどの機能が追加される
Microsoftは、今後数カ月中にインダストリークラウドに追加する対象となる業界について、現在計画している段階だとTaylor氏は述べた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。