「真のチームワーク」を実現するためのフレームワーク
日本企業には業務をチームで進める“チームワーク”文化があるが、必ずしも効率的とは言えない。たとえば、プロジェクトの目的や成果の指標が十分に共有されないまま、上長から指示のあった作業を進めてしまうケースがある。その結果、業務の方向性を見失って手戻りや無駄な作業が発生する。また、個人の経験や暗黙知に依存しがちになるという属人化の問題を抱えている組織も少なくない。
しかし、業務効率化・属人性排除を目指したくとも、情報の分断が大きなハードルとなっている。特に現在はリモートワークの浸透によって働く場所が多様化し、クラウドサービスの流行によって適材適所で異なるツールを使うようになった。そのため情報共有がいっそう困難になり、チームの密な連携が難しくなっているのだ。
そもそも日本企業の言う“チームワーク”とは、多くが上長から与えられた作業を分担するだけの「グループワーク」にとどまってしまっている。チームワークとは本来、メンバー全員が目指すべきゴールを正しく理解して、主体的に行動しながら、成果を最大化する働き方のことである。グループワークの考え方から抜け出せなければ、いかにコラボレーションツールや情報共有ツールを導入しても大きな効果は期待しにくい。そこで、アトラシアンが提唱する「System of Work」という考え方に注目したい。
「AppleしかりMicrosoftしかり、常識を覆すような成功の背景には強固なチームが存在していました。しかし、特に現在のビジネス環境でイノベーションを生み出すには、適切な方法論によるチームワークの強化が欠かせないのです。System of Workとは、アトラシアンが23年の歴史で培ってきた経験・ノウハウを生かし、効果的なチームワークを実現するためのフレームワークです。組織全体でゴールを可視化し、共通の認識をもつこと、計画と進捗を細やかに管理してリアルタイムに共有すること、ナレッジを蓄積し、容易に活用できる仕組みを作ること――これらを統合的に実現する仕組みであり、企業の競争力を高めて繁栄していくための哲学とも言えます」と、アトラシアンでマーケティング統括マネージャーを務める朝岡絵里子氏は述べる。

アトラシアン株式会社
マーケティング統括マネージャー
朝岡絵里子氏
旧来の日本企業は、「全員が目の前の仕事を計画どおりに進めることで組織が成長する」という成功体験を積んできた。しかし、現代のビジネス環境は激しく変化するため、より柔軟に対応できる力を身に付ける必要がある。それには組織の目標を明確にして共有し、情報を伝達し合いながら、効率的に業務を遂行するための仕組みが欠かせない。
System of Workのポイントはゴール、計画・進捗、ナレッジ
チームがチームとして稼働するには、ゴールを共有することが肝要である。System of Workではゴールの可視化と共有を重視しており、組織全体のゴールを明確に設定し、それを各チームや個人の目標へとブレイクダウンすることで、企業活動全体の方向性を統一するアプローチを推奨している。これにより、経営層が掲げる戦略目標と現場のタスクが一貫性を保ち、全員が同じ方向を向いて業務を進めることができる。
より具体的には、組織の最上位に位置する事業目標が、開発、営業、マーケティングなどの各部門に細分化され、さらに各個人の業務目標へと紐づける。さらにこの構造を可視化することで、自分の業務が企業全体の成果にどのように貢献しているのかが明確になる。
「自分が今取り組んでいる業務が、最終的に組織のゴールにどうつながっていくのか、一目で分かる環境が重要です」と、朝岡氏は述べる。目標がわからないタスクは、単なる作業にすぎない。ゴールがわかっていれば、優先順位を付けたり、修正・改良したりと、自律的に活動できるようになる。
アトラシアンが提供する統合プラットフォームでは、ゴールやその依存関係を可視化し、ツールのどこからでも確認できるようにしている。業務に応じてJiraやConfluenceを使い分けつつ、チーム全員が目標を意識しながら業務を遂行でき、状況の変化にも柔軟に対応しやすくなるというわけだ。単に目標を可視化するだけでなく、リアルタイムに追跡し、必要に応じて調整できるような仕組みを設けることが生産性の向上につながるのである。

チームワークの基礎となる原則
ビジネスプロジェクトを成功に導くためには、異なるチームが密に連携しながら業務を進める必要がある。この連携には計画・進捗の管理が欠かせず、誰が・何を・いつまでに・どのように行うかという情報を整理し、統合的に把握できるようにすることが必要だ。当初の計画は完全なものではなく、ビジネス環境の変化やトラブルの影響を受けやすい。そのため最新の進捗情報をリアルタイムに共有し、変化の影響を把握できることが不可欠である。
「開発や営業、マーケティングが異なるシステムを利用していると、情報が分断され、迅速な判断が難しくなります。System of Workでは、部門ごとの目標やタスクを統合的に管理し、可視化することを理想としています。統一されたプラットフォーム上で進捗を管理することで、チーム間の連携がスムーズになるのです」(朝岡氏)
アトラシアンのJiraは、柔軟性の高いプロジェクト管理ツールであり、ソフトウェア開発だけでなく営業やマーケティングなど多様な業務に活用されている。Jiraの進捗管理機能は、各業務の特性に合わせたテンプレートが用意されており、ニーズに合わせてカスタマイズすることも可能だ。System of Workの実装として重要な点は、チームごとの作業プロセスを最適化しつつ、プロジェクトの全体像を俯瞰し、他のチームやメンバーがどの作業をどれほど進められているか、変化が自分のチームにどのような影響があるのかをリアルタイムに把握できることである。
このような仕組みがあれば、チームリーダーやマネージャーがプロジェクトの状況を正確に把握し、適切な判断を下すことができるようになる。さらに、業務遅滞の原因となりがちな状況確認や進捗会議が必要なくなるというメリットも大きい。
「アトラシアンが提供する計画と進捗を統合的に管理する機能は、組織全体の働き方を最適化するソリューションと考えています。チームのコラボレーションが強化され、企業の生産性向上につながる仕組みなのです」(朝岡氏)
チームのパフォーマンスを向上するには、個々の知識や経験を共有し、それらを必要とするメンバーが適切かつ迅速に生かせられるような仕組みが必要である。System of Workでは、「ナレッジの構築」「ナレッジの共有」「ナレッジの発見」という3つの視点で、組織内の知見を最大限に活用できる環境を整えることを必要とする。
組織内の知識や経験は、単なる文章だけでなく、動画や音声などリッチコンテンツで記録されているほうが望ましい場合もあるだろう。データベース化することで、さまざまに参照できる情報も多い。ホワイトボードに描いたブレインストーミングの内容やマインドマップが、重要なナレッジとなるケースもあるはずだ。これらを統合的に記録し、メンバーが自由に参照できる仕組みが望ましい。
リモートワークが浸透してワークフォースが分散されたことで、リアルタイムなコミュニケーションが難しくなっていることも課題の1つである。そこで、非同期コミュニケーションツールも組み合わせたい。ビデオレターのような仕組みがあれば、勤務時間の異なるグローバルチームであってもスムーズな情報連携が可能となる。
最後に、こうして蓄積されたナレッジをどうやって活用すればよいかという点が最大の課題だ。組織内にナレッジがあっても、すみやかに発見・活用できなければ意味がない。そこでポイントとなるのが生成AIである。ユーザーが必要な情報を適切に理解し、社内のナレッジを横断的に検索、必要なものをすばやく発見・整理するのに適した技術である。
すでにアトラシアンでは、これら3つの要素をエンタープライズWikiの『Confluence』、非同期コミュニケーションツールの『Loom』、企業内に眠れる知識を解放するAI『Rovo』といったソリューションを通じて提供しており、ナレッジ活用をいっそう強化することが可能だ。

System of Workを実現するアトラシアンのポートフォリオ
常に進化を続けるアトラシアンのSystem of Workプラットフォーム
アトラシアンの各種ツールには、System of Workを実現するためのあらゆる機能が備わっている。しかし朝岡氏によれば、同社はベスト・オブ・ブリードの考え方を重視しており、ユーザー企業が自社のニーズや業務プロセスに適したツールを組み合わせて、最良の環境を作ることが重要だとしている。その際も、アトラシアンが多様なツールをつなぐハブとして機能し、“System of Workプラットフォーム”へと統合するのに役立つ。
「さらなる進化のため、特にAI技術が重要だと考えています。新技術であるRovoの中核には、アトラシアンのツールや他のSaaSアプリからデータを収集し、組織にいる人やチームがどのように活動しているのかを正しく学習・理解する”チームワークグラフ”という独自のデータモデルが組み込まれています。これにより、組織的な活動を前提とした情報が 提供できるのです。将来的には、計画立案や進捗管理の段階においてもチームを理解して参謀のように機能するRovoの実現を視野に入れています。今後もアトラシアンは、System of Workの実現を支援し、企業の成長を後押しする技術の開発に努めます」(朝岡氏)

