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パートナー連携が加速!AWSが語る、クラウド移行やDXの取り組み本格化で重要性が増すAPNのいま

基幹システムのクラウド移行やデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みの本格化などにより、アマゾン ウェブ サービス(AWS)への期待が年々高まっている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、企業にとって今後のIT活用の方向性がまだ定まらない中、AWSはパートナーとの連携をどう深めていくのか。アマゾン ウェブ サービス ジャパンのパートナーアライアンス統括本部 執行役員を務める渡邉宗行氏に、ZDNet Japan編集長の國谷武史が話を聞いた。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
パートナーアライアンス統括本部 
執行役員 渡邉宗行氏
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
パートナーアライアンス統括本部
執行役員 渡邉宗行氏

國谷:AWSのパートナービジネスを統括する立場として、これまでのキャリアを含めて渡邉さんの横顔を教えてください。

渡邉氏:私は2018年にAWSに入社し、パートナーアライアンスを担当しています。われわれのパートナーアライアンスやパートナービジネスは、物販ビジネスとは少しイメージが異なります。クラウドサービスは、顧客がご購入されるだけで対価が発生するものではなく、実際に利用されることで成り立つビジネスですから、継続してご利用頂くことが重要です。

 われわれがパートナーと真剣に向き合う理由は、顧客にご利用いただくためのより多くのテクノロジーパートナー(ISV)のアプリケーションが、AWS上で稼働している、連携しているということが重要だからです。例えば、鍵を握るセキュリティーソリューションが、「AWS上でサポートされていない」という理由によって、既存顧客やそれを使う顧客がクラウド導入に踏み切れないといった事態は絶対に避けなくてはいけません。既に多くのパートナーのアプリケーションがAWS上で稼働できるようになっていますが、お客が利用したい全てのソフトウエアをAWS上で稼働できる環境を準備できるよう日々取り組んでいます。

 その上で、システムインテグレーター(SIer)であるコンサルティング パートナーが、エンドユーザーにシステムを導入します。われわれから直接、「AWSのサービスを優先して使ってほしい」とパートナーや顧客に依頼することはありません。SIerが独自にアプリケーションを開発するケースもあるでしょうし、テクノロジーパートナーのアプリケーションや、AWS上で稼働するサービス(SaaS)と連携させたりしてシステムを構築します。このような顧客のさまざまなビジネスニーズに対応していくために、インダストリーやテクノロジーを問わず、パートナーコミュニティーを広げ、強化していくのが、AWSのパートナーアライアンスチームの仕事です。

 私は、「選択と集中」という言葉を使いません。その理由は、市場が大きく成長している中で、なぜ「選択しなくてはいけないのか」と考えるからです。「やらない」という判断をしてから5年、10年後に市場が大きくなってしまうかもしれません。つらく、人が足りてなくてもやるのが私の基本理念です。これまでのキャリアでも常に新しいことにチャレンジしてスケールさせてきましたので、その経験をAWSでも実践しています。

最初のユーザーが気付いたAWSの価値

渡邉氏:クラウドの黎明期は、クラウドを必要とする企業が使っていました。サーバーや運用を担うIT部門を持たないスタートアップ企業がITを活用したいというときに、「自らワンクリックで」使い始めたのです。それはAmazonの理念でもあります。

 使っているうちに、今度は顧客が「クラウドサービスの様々な価値」を経験するようになり、さらに裾野が広がりました。トランザクションの急増に自動的に対応できる「オートスケール」機能や、所有を前提にすると使えないような高性能なサーバーを使える機能など、コストだけではないメリットの存在に気付いたのです。

 世界各地に広がるAWS のインフラストラクチャを活用して、グローバルで同時展開できるなどのメリットもあり、オンラインゲーム事業を展開する顧客などがファーストユーザー群になっていきました。オンラインゲームは、ヒットするか否かが出してみないと分からないという特性があります。ヒットするなら無理なくキャパシティーを増やしたいですし、駄目ならやめたいわけです。実情に応じて機能はもちろん、コストも伸縮するというこのニーズを満たせるのはクラウドだけです。

 AWSの最初の数年間はこうしたニーズを持つ顧客が中心でした。次第に、それを見ていた大企業が「クラウドも選択肢としてあり得る」と考え始めたのです。ただ、日本企業は概ね保守的でしたので、最初はテスト環境や新規のアプリケーションでのみAWSを利用するという判断でした。

 そして次第に、アーリーアダプターといえる大企業が基幹業務システムをAWSに移そうとし始めます。同時に、DXの重要性が浸透し始めます。様子を見ていた顧客も、オンプレミスのシステム更改時に、クラウドを検討しない理由がなくなってきました。クラウドファーストを掲げている大企業も増えてきています。それが最近の向です。

新型コロナウイルス感染症で変わる顧客のニーズ

國谷:クラウド化の流れが強まってきている中で、今回のCOVID-19は顧客のクラウド活用にどのように影響があると考えますか?

渡邉氏:私たちは、コストの最適化だけではなく、テクノロジーを使って競争力を身に付けることを顧客に提案しており、COVID-19の影響でそれが加速すると考えています。中には実際に、「IT予算を半減させる」と話す顧客もいます。そんな時にシステム更改の必要性があれば、「なぜクラウドじゃないのか」という話が当然出てくるでしょう。従来ならば、保守も含めた5年間のランニングコストなどで比較していました。しかし、COVID-19でビジネスも影響を受けるなか、「念のためキャッシュを残しておこう」という意識が生まれ、これまで通り基幹システムへのイニシャルコストを支払おうという判断が難しくなるのではないかと考えています。

 もう1つ重要なのは、顧客がDXの実現を同時に考えているということです。私たちは、顧客の国際競争力の向上を常に意識しています。コスト削減とDXの両立を本気で提案する時期が来ています。

國谷:クラウド移行とDXへの対応が鍵ということですね。その時、パートナービジネスのミッションやビジョンが変化するでしょうか。

渡邉氏:パートナーの重要性はさらに増すでしょう。顧客が大規模なシステム改革をしたい時に、最初に相談するのはSIerなどのパートナーです。特に、日本ではアプリケーションの運用を他社に任せる傾向があります。その時に、パートナーが最適な提案をしているかは、AWSにとって極めて重要です。AWSはパートナーの最適な提案活動を支援し、パートナーも自社の強みをどんどん訴求しています。

國谷:昨期からAWSの戦略は、ソリューションとインダストリーの両面の重要性を強調しています。今期もパートナー戦略ではそこが重要になりますか。

渡邉氏:その通りです。私は3月に開催したAWS Partner Summit Tokyoで、「金融、製造、公共に注力します」と話しました。これは、私がこの業界をやりたいからというわけではありません。ここに挙げたような業界の顧客がまさにクラウドに取り組もうとしているのです。「パートナーの皆さん、一緒に最適なソリューションを提供しましょう」というメッセージなのです。クラウド移行の波は確実にやって来るでしょう。しかし、移行だけでは不十分です。DXを絡めて提案していきたいところです。

國谷:クラウド移行に始まり、引いては パートナーとともにDXまで手掛けたといった事例はありますか。

渡邉氏:DXに向けた取り組みを始める段階からというケースが多かったのですが、最近になり顧客も変わりつつあります。ある顧客は、SAPからの移行が出発点でした。最初から基幹システムをクラウド化し、そこでAWSを導入したいという顧客も多くなっています。なぜか地域特性があり、関西はSAPなど基幹システムからのクラウド移行が多いという手応えを感じています。


國谷:関西は製造の大手企業が多いことも影響しているのかもしれませんね。

渡邉氏:関西圏にはもともと製造業が多いです。また、本社を大阪に置く企業が多いことも特徴でしょう。製薬業界も同じような傾向があります。

國谷:COVID-19におけるDXという意味で、コールセンターの改革が話題になることがあります。1つのフロアに100人近くが密集し、高層階のため窓を開けられないなどの条件がそろったときに、コールセンターは「3密」の職場と言われることがあります。こうした課題への解決を求められるパートナーも多そうですね。

渡邉氏:非常に多いです。弊社では、Amazon のコールセンターのテクノロジーを活用した、Amazon Connect というコンタクトセンターのサービスがありますが、短期間でシステム構築ができスモールスタートできることから、対応しきれないくらいの問い合わせがあります。コールセンター向けには、AWSの経験と専門知識を持つAPN コンサルティングパートナーを見つけられる「サービスデリバリープログラム」がAWSにあります。

AWSのカバレッジは全国、さらには世界のソリューションも

國谷:日本国内なら企業はどこでもAWSパートナーのサービスを受けられるようになっているのですか?

渡邉氏: 47の都道府県のうち40都道府県に、パートナーがいます。県をまたいでサポートすることも想定しているので、ほぼ全国をカバーしています。万一近くにいない場合は、全国をカバーする大手企業の支社にお願いするといった対応をすることもあります。

 また、昔なら米国の良いソフトウエアが出てくると、商社系のパートナーが米国に常駐し、販売権をもらってから日本で展開するといった取り組みをしていました。いまも実施しており、成功事例もあるでしょう。しかし、インターネットの時代は、成功すると直接日本で展開するケースが増えています。ただ、米国企業が日本に来ても、商売のやり方が分からないというケースが出てきています。そうした企業が、AWSのパートナーネットワークに加入してくれれば、支援します。

 「こういうテクノロジーをお持ちなら、こういうインテグレーターさんを紹介しましょう」という風にです。それも、パートナーコミュニティーそのものです。顧客がリーチしやすいネットワークを作り、Go To Marketも含めて支援するのも私たちの仕事です。いろいろな形の支援をしながら、顧客がストレスフリーに選択できるようにすることが、役割だと考えています。

國谷:いま、これだけリモートに焦点が当たってくると、国や地域などの物理的な障壁が取り払われる世界が来るのでしょうか。

渡邉氏:もともと、米国は事業拠点が離れて点在しているため、全てリモート対応が前提でした。一方、日本は距離的に近く直接訪問をすることも少なくありませんでしたので、今後リモート化の影響は日本で顕著に出てくるかもしれません。私たちのビジネスはあくまでもITインフラの提供です。パートナーから見たときに、オンサイトでやる必要があるかというと、あまりないのです。リモートで大部分のことはできるという話になるでしょう。

國谷:クラウドを使う中では、コンプライアンスやレギュレーションへの対応も重要なテーマだと思います。例えば、FinTechにおけるFISC(財団法人金融情報システムセンター)が定める条件などがあると思います。こうしたガイドラインへの対応やユーザーサポートをどのように実現していくのでしょうか。

渡邉氏:日本は比較的うまく対応していると思います。各種セキュリティーガイドラインへの対応を示すホワイトペーパーなどを出したりしています。ただし、日本の場合は、特に顧客が直接話をするのはパートナーであることが多い状況です。アプリケーションを絡めたデータセキュリティとなると、インフラだけでは語れないのが実情です。

 そのため、パートナーの知見も欲しいと思っており、関連する協業も進めています。実際にホワイトペーパーを出すことによって、あるパートナーさんの関連する引き合いが増えるというケースもよくあります。


國谷: AWSがホワイトペーパーを出していて、パートナーも了承しているということで、顧客が安心するのですね。DXなどを含めて動きが激しい中で、まだとまどっている顧客や、パートナーもいると思います。特に新しい技術を扱うために、AWSとしてパートナーをどのように支援していくのでしょうか。

渡邉氏:お客様が、なにもない状況からDXを実現するには多大な時間とコストがかかってしまいます。例えば、人口知能(AI)や機械学習(ML)を企業がサービスとして導入する際に、1から作ることは、多くの場合現実的ではないと思います。パートナーの場合も同様で、お客様のニーズにいち早く対応するためには、クラウドサービスを活用してソリューションを迅速に開発することで、時間とコストを大幅に削減し、それがお客様への提供コストを下げることになります。

 AWSのビジネスを単純に表現すると、ボリュームゾーンをいかにローコストで提供するかが基本です。ハイエンドゾーンを高単価で使ってもらうというモデルではないのです。そのため、SIerなどのパートナーのビジネスモデルと競合はしません。SIerが持つ価値を、低コストなパーツであるAWS上に実装することで、高いコストパフォーマンスを提供できるのです。

 AWSはその考え方に立って、データとプロセスを徹底的に分離しようとしてきました。その理由は、プロセスは新しくなる一方、データの重要性は変わらないからです。そこで、データを扱うインフラ部分をAWSが低コストで提供します。

 つまりAI、MLの大前提は、いかにボリュームゾーンのデータを扱うかにあります。それをいかに低コストで、扱いやすくするかに注力することがAWSの一義的な役割なのです。パートナーにはそれを最初に理解していただきます。例えば、移行が終わった際に、今度はデータレイクを作ってほしいということになります。データレイクがあれば、その後、高度なアプリケーションを顧客とパートナーが創り出すことができます。この時、データ自体は変わりません。そこがAWSのサービスの基本的な価値なのです。

國谷:パートナーも、AWSが自ら出すデータレイクなどの最新ソリューションを意欲的に吸収していくということですね。

渡邉氏:その通りです。AWS自身もパートナーが持つ質の高いソリューションをどんどん取り入れています。切磋琢磨の関係ということですね。

國谷:ここまで、AWSのパートナーへの取り組みについて、詳しくお話を聞きました。クラウドマイグレーションやDXが進む中で、AWSがパートナーの支援を大胆かつ細心の戦略を持って進めていることがよく分かりました。本日は、ありがとうございました。


APN・・・アマゾン パートナー ネットワーク(APN)のこと。日本国内においては、2020年6月時点でコンサルティングパートナーが299社、テクノロジーパートナーが373社にまで拡大した。

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