Microsoft 365、Teamsをアドオンでもっと便利に マイクロソフトを熟知したビービーシステムが語るログ活用術

 昨今企業では、「Microsoft 365」(以下、M365)や「Microsoft Teams」(以下、Teams)などのクラウドサービスを活用した新しい働き方が定着している。デスクトップワーカーのワークスペースがクラウドに移行し、オフィスに縛られずに労働生産性が高まった一方で、組織の視点では今までできていたのにできなくなってしまった、或いは新たに手を打たなければならなくなったという困りごとも、少しずつ明らかになってきている。

 そこで今回、マイクロソフトテクノロジーに特化したSIとパッケージ製品開発で国内企業の問題解決を続けてきたビービーシステムで営業をリードする世儀 新一郎氏と、マイクロソフトサービス向けSaaS型アドオン製品群「Lookシリーズ」の販売促進を担当する岡田明子氏に、テクノロジーのトレンドが移行する端境期のなかで、日本企業がM365やTeamsを便利に使いこなしていくためのポイントを聞いた。

インタビュイー

株式会社ビービーシステム
営業本部 東日本営業部
Group Leader
世儀 新一郎氏
株式会社ビービーシステム
営業本部 販売促進部
販売促進チーム Team Leader
岡田 明子氏

コロナ禍で導入したクラウドアプリ活用を見直す動きが高まる

ビービーシステムではこれまでマイクロソフトテクノロジーに特化したITサービスを35年間展開されてきた中で、マイクロソフトの最新技術に精通しつつ、直接ユーザーニーズやその変化を最前線で体感されていますが、昨今の国内企業を取り巻く環境や働き方の変化についてどのように感じていますか?

世儀氏このコロナ禍で、お客様の働き方は大きく変化しています。特に最大の変化が、リモートワークが普及したことです。実際に当社に対するお客様からの問い合わせやコミュニケーションも、Webミーティングが主流になっています。

岡田氏業務アプリケーション自体も、クラウドアプリ化が進み、マイクロソフトの製品ではMicrosoft 365とくにTeamsの利用がひろがっています。マイクロソフトの2022年の発表では国内で日経225企業の94%がTeamsを利用といわれています。ただし企業の中では、それらの新しいデジタル環境の導入が一巡したものの、運用段階になって新たな課題も生じています。一般的には、「同僚や部下の顔が見えない」「勤務状態がわからない」という物理的な問題が指摘されることが多いですが、それに加えてもうひとつ、クラウドという新しい環境へ移行した際の管理面に起因する問題も発生しています。

具体的にどのようなことでしょうか。

世儀氏テレワーク経験がない企業が急遽テレワークを始めようとすると、まず基盤整備の段階で管理者側が情報漏洩を抑えるために余計な機能を使わせないようにします。その結果、せっかくクラウドサービスを入れても、会社のポリシーで機能が制限されて働き方改革には至りません。一方エンドユーザー側では、新しい働き方やアプリケーション活用に慣れてくるに伴い、「あれもしたい」「これもやってみたい」という要求が高まっていきます。

 さらに働く場所の多様化によって、セキュリティ対策も従来の境界型からゼロトラスト型への移行が求められるようになりました。そこで今、情報システム部門の担当者は、会社のセキュリティポリシーを考慮しつつも、現在の環境の中でクラウドサービスをどう活用させるかに目を向け始めています。「あれもこれも駄目」という状況だと、せっかく契約しているクラウドサービスの利用率も社員の労働生産性も上がらないということに情報システム担当者が気付き、真の働き方改革に向けてクラウドサービスの有効な使い方を意識するようになったのです。それが最近の目立った動きだと感じています。

クラウドサービスは日本企業のニーズに合わせてはくれない

実際ユーザーの環境ではどのようなことが起きているのでしょうか。

岡田氏例えば多くの企業が導入しているM365は、マイクロソフトが長年提供してきたオフィススイートの機能を踏襲しつつ新しいテクノロジーも採用し、ニューノーマルの働き方に対応したワークスペースを提供する優れた製品ですが、利用する企業によっては機能面での不足や、使い方次第で働きにくさが生じてしまいます。Teamsには、社内での予定の共有や、画面にメンバーを表示する際に役職順に表示するといったような日本の企業文化に則した機能も実装されていません。

世儀氏そういった問題が生じる理由は、M365やTeamsだけでなく、Microsoft Azureや他のクラウド製品も含め、デファクトとなっているクラウドサービスが海外製であるということに起因しているのです。海外製のグループウェアやアプリケーションは、開発側の仕様に併せて使うことが前提で、ユーザーに寄り添った形にはなっていません。日本の企業が気にするポイントは、価格や操作性の他にも自分たちがこうしたいと思った機能に対応できるかという部分が大きいので、昨今のクラウドサービスとの間に意識のギャップが生じることがしばしばあります。

 そのほかにも、M365の仕様として監査ログの保存期間は原則90日間(M365 E5を除く)という制約があり、ログを長期保存する場合は、定期的にエクスポートするなどの手動運用やサービスプラン変更に伴う追加コストが発生します。その結果、オンプレミス時代のサーバー管理をはじめとする運用負荷軽減のためにクラウドサービスを導入したはずが、結局運用で手間がかかってしまっているというジレンマを抱えているお客様が多いのが実情です。

120万ユーザーが利用するM365アドオン「Lookシリーズ」

ユーザー企業は新たなデファクトとなったM365を活用する際の課題に対し、どう対処していくべきでしょうか。もしくは、楽に対応できる手段はあるのでしょうか?

岡田氏そこで当社では、日本企業がM365を活用する際に足りていないと感じる部分の機能を、アドオン型SaaS「Lookシリーズ」として提供しています。それらを既存の環境にアドオンすることで、様々なニーズや課題に簡単に対応できるのです。100人規模の中小企業から数万人のエンタープライズ企業まで、シリーズ全体で120万ユーザーにご採用いただいています。

 我々はこれまで、マイクロソフトが新しい技術やサービスを発表した際、技術や製品面でスピード感を持って対応し、クラウド領域でもM365を「BPOS」として提供していた頃から独自のSaaSを開発してきた歴史があります。Lookシリーズは2009年から販売しており、ユーザーニーズを踏まえて旧Office 365、M365に足りていない部分のアドオン機能を揃えてきました。現在は13製品をラインアップ(下図)し、特にここ2年間はTeamsの利用増加に伴って、年に2製品以上のペースでTeams連携製品を追加・バージョンアップしている状況です。日本マイクロソフト社からも、2年連続で「マイクロソフト ジャパン パートナー オブ ザ イヤー」を受賞しています。

デジタル環境の変化でニーズが高まる「LogLook+」

デジタル環境の変化でニーズが高まる「LogLook+」

昨今特にニーズが高い領域、サービスは何でしょうか。

世儀氏ユーザー数ベースでは階層型アドレス帳の「AddressLook Online」が最も多いのですが、昨今ニーズが急激に伸びているのが、M365各機能のログを収集し、レポート化できる統合ログ管理ツールの「LogLook+(ログルックプラス)」です。M365のログに対する課題を抱えるお客様が多く、監査ログを溜めておくことと、それらを見える化したいというニーズが高まっています。

 LogLook+では、ログの収集・保存に加えて収集したログを可視化するためのレポートテンプレートを提供しています。お客様独自に可視化したいログがある場合は、「Power BI」で追加開発が可能です。またマイクロソフトのクラウド製品に加え、オンプレミスのサーバーや、BoxおよびSalesforce、AWSなどAPIが公開されているクラウドサービスであれば、カスタイマイズしてそれぞれのログを統合管理することもできます。

ログ収集と可視化の目的として多いケースは?

世儀氏最も多いのが、「従業員の働き方を可視化したい」というニーズです。テレワークの普及でリモート会議やチャットという新たなコミュニケーションが増えましたが、1日のWeb会議の数や時間、チャットをしている回数、ファイルのダウンロード等のログが全て取れるため、リモート環境下で見えづらくなった働き方に関して追えるようになります。

 次が「セキュリティ対策」です。Teamsではゲスト招待機能により社外の人とのチャットや情報交換ができるようになりますが、チームに所属しているメンバーにゲストユーザーがいるかどうか、いた場合にどんなデータのやり取りをしているか、外に出してはいけないファイルを公開していないかがわかります。

 3つめが、「M365ライセンスの棚卸」です。ある程度の規模の企業では、例えば従業員の役職や職務内容に応じてM365のE3ライセンスとE5ライセンスを分けて付与しています。その際にユーザーや部門単位などで利用状況を定期的に確認し、現在のライセンスの割り当てが適切か調べることができ、コストの最適化を図ることができます。またそれらの他に、エンタープライズ企業では、先ほどお話しした複数利用しているクラウドサービスのログ収集環境を統合したいというニーズも目立ちます。

ログを楽に管理したいというユーザーニーズに対応

LogLook+導入企業の傾向や具体的なユースケース、ユーザーの声があればお聞かせください。

世儀氏LogLook+は現在、約30万ユーザーにご契約いただいています。企業規模は数百人から数万人、業種も様々で高いレベルのセキュリティを求められる金融業界への導入実績もあります。使い方としては、基本的にログを長期保存することを主目的に導入されるお客様が多いのですが、副次的な効果としてログを可視化したことで様々な新しい気付きを得られたという声を頂くことが多いですね。

 他にも、数万人規模の企業で情報漏洩対策や時間外勤務の実態調査としてメールの送受信ログからチャットのログまで全てを取れるようにしたいというお客様に対応したケースもありました。自社でスクラッチ対応するとなるとなかなか大変な作業だと思いますが、それらのニーズは、デジタル社会の世の中においても、ログを手元に置いて楽に管理・活用したいという企業が多いことの証だと思います。我々もそのようなお客様のニーズに合わせて、これからも機能を開発していきます。

LogLook+を含めたLookシリーズの今後の展開について伺えますか。

岡田氏現在LogLook+のテクノロジーを活用して、Teamsの利用が進んだ企業向けにTeams管理に特化した「TeamFactory」という新ラインアップをリリースしています。第一弾としてチームを効率的に棚卸しする「SHIWAKE(仕分け)」、第二弾としてチームの作成を自動化する「SHINSEI(申請)」をリリースし、今年度内に第三弾として利用状況を確認する「BUNSEKI(分析)」をリリースする予定です。このようにログを活用し、M365管理を弊社の製品に頼ってもらえるようラインアップを拡充していきます。

 Lookシリーズではほとんどのサービスで無料トライアル期間を設けていて、誰でも実際に導入して試していただけるようになっています。他にもWeb会議でデモンストレーションも行っていますので、まずは体感していただきたいですね。

世儀氏コロナに突入する前の年にLookシリーズのユーザー会を初開催し、それがとても好評でした。お客様とお話しすると、「またやって欲しい」という声が多いので、時期を見てコロナ禍をまたいだLookシリーズの新たな活用方法を紹介し合えるような企画も検討したいと考えております。

提供:株式会社 ビービーシステム
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