クライアントゼロで取り組む最先端のセキュリティ
NTTデータグループは、世界70か国以上へビジネスを展開し、グループ全体で19万7,800人の従業員を抱えるITサービス事業者である。エンタープライズ向けのシステムインテグレーションを中核に、金融・公共・製造など幅広い産業分野へミッションクリティカルなITソリューションを提供することを強みとし、国内ITサービス市場でも最大級の1社である。
近年のNTTデータグループにおけるコーポレートIT部門として、AIの活用・提供を非常に意識している。同社グループのIT戦略を担っているITマネジメント室でシステム開発担当部長を務める川戸祐介氏は、「当社自身がAIを活用しながら、AIを悪用した外部攻撃や情報漏えい等への対策や、AI活用の拡大によって大幅に増大するネットワークトラフィックなど、新たな課題を解決していく必要があると考えています」と述べている。

株式会社NTTデータグループ ITマネジメント室 システム開発担当 部長 川戸 祐介氏
NTTデータグループでは社内ネットワークだけでなく、グループ各社または各事業部の開発プロジェクト向けのセキュアなネットワークや多様なサービスを継続的に提供してきている。ひとたび侵害が発生すれば社内外に多大な影響を及ぼすと認識し、ゼロトラスト、EDRなど、最先端のセキュリティソリューションへいち早く取り組んできた。
また同社では、自社を「ゼロ番目の顧客」と位置づけ、新しい技術やソリューションを自ら導入、運用を実践し、そこで得た知見やノウハウを他の顧客へと還元する「クライアントゼロ」の取り組みを重視している。NTTデータグループの顧客は、同社が保有する最先端のセキュリティに関する知見を活用できるというわけだ。
リモートワークの急増で直面したセキュリティアプライアンスの限界
上述したように、NTTデータグループが運用するネットワークは広大で、約70社の国内グループ企業と700件以上の開発プロジェクトを支えており、利用者は常時10万人以上に達する。同社では、これらの基本的な防御システムとしてチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ(以下、チェック・ポイント)のファイアウォールを導入・運用していた。
転機となったのは、2020年ごろのパンデミックに伴うリモートワークの急増だ。わずか1か月ほどで、VPN利用者は10倍以上に膨れ上がった。既存の次世代ファイアウォールがVPNゲートウェイとしても機能しており、急激な変化に耐えきれなくなってしまったのである。
当時のファイアウォールは、2台のアプライアンスで一般的なアクティブ・スタンバイ構成を採っていた。NTTデータグループでは、急遽2台・1セットを調達して性能を強化するほかなかった。しかし、4台に増強しながらも性能は2台分にしかならず、十分な増強とは言えなかった。
この構成の限界は、日常的なアクセス負荷に表れていた。当該のアプライアンスは認証も担っており、始業時や昼休み明けなどアクセスが集中するタイミングでパフォーマンスが低下する場合があった。「さすがに1か月で10倍以上に増えると、高性能なアプライアンスでも対応は困難です。認証画面を分けるなど、その場しのぎの対応しかできず、エンドユーザーに不便を強いてしまい、クレームも増えていました」と川戸氏は当時を振り返る。
こうした経験を踏まえて川戸氏らは、パンデミックや自然災害など将来起こりうる未知の事態にも柔軟に対応できる、アジリティの高い環境の整備・ファイアウォールの再構築が急務と考えたのだ。
未知の事態に対応できるアジリティを備えたセキュリティの実現
新しいファイアウォールの構築にあたり、選定・導入をリードしたのはNTTデータ先端技術である。同社は株式会社NTTデータグループ100%出資のシステムインテグレータとして社内外のさまざまなセキュリティプロジェクトを手掛けており、チェック・ポイント製品を20年以上にわたって取り扱ってきた実績を持つ。
同社が次期ファイアウォールに求めたのは、大きく2つのポイントだった。
