2020年から継続している新型コロナウイルスへの感染拡大対策、そしてそれに続くニューノーマルの日々に向けて、企業ではリモートワーク環境の整備をすすめるとともに、オフィスの規模縮小やレイアウト変更、フリーアドレス化に取り組んでいる。
そこでは、クライアントのネットワークアクセスに有線LANを使わず、無線LAN(Wi-Fi)を活用することが一般的となっている。場所を選ばずネットワークアクセスが可能な無線LAN(Wi-Fi)を第一の手段とする「ワイヤレスファースト」の考え方が一般的となり、市場も堅調に伸びている。
一方で、レイアウトを変更したことでWi-Fiの電波が届かなくなる「カバレッジホール」ができてしまったり、フリーアドレスにしたことで、これまで座席を前提に割り当てていたVLANが機能しなくなったりするケースもある。
こうした課題を解決し、快適で安定したWi-Fi利用を実現するのが、CommScope社が提供する「RUCKUS」製品である。ここでは、ニューノーマルにおけるWi-Fiの課題と解決策、そして「RUCKUS」のメリットについて紹介する。
ニューノーマルのWi-Fiにおける課題
多くの企業は今、ニューノーマルに向けてオフィスの最適化を図っている。リモートワークを継続する企業が多いことから、これまで数フロアを使用していたオフィスをワンフロアにしたり、決められた座席をフリーアドレスにしたりと、オフィスを縮小、あるいは移転してコストを下げようとする動きが活発だ。
しかし、オフィスのレイアウトを変更したことで、Wi-Fiの電波が届かないエリアに座席を設定してしまい、Wi-Fiを利用できるエリアに従業員が集中し、密になってしまう。さらに、VLANは座席を前提に割り当てていることが多く、フリーアドレスにすると機能しなくなってしまうこともある。
レイアウト変更による弊害
こうした課題に加え、2019年度には「Windows 7」の延長サポート終了に伴い、「Windows 10」への移行に合わせてネットワークもWi-Fiに刷新するニーズも増えている。Wi-Fiを刷新する際には、これらの課題を解決できることが重要であり、そのためには最新のWi-Fi規格に対応し、電波が干渉するエリアを最小化するとともに、場所を選ばず高速で安定した通信が可能である機器を選ぶ必要がある。
「RUCKUS」が快適なWi-Fi環境を提供
電波は光と同じで、たとえばパーティションのような遮蔽物があると大きく減衰し、その先まで届きづらくなる。だからといって、やみくもにアクセスポイント(AP)を増設しても、電波の干渉が増えるだけで効果は期待できない。「RUCKUS」のAPは、独自の特許技術によって広域なカバレッジと安定した高いパフォーマンスを実現している。
独自の特許技術は「BeamFlex」と呼ばれるもので、スマートアンテナとダイナミックビームフォーミング技術により実現している。一般的なAPは、常に360度のエリアに電波を送信するオムニアンテナが採用されているが、「BeamFlex」ではクライアントの位置に合わせて電波の向きを自動的に調整する。方向を絞ることで電波が強くなるので、離れた場所でも快適な通信を実現できる。なお、クライアント側にエージェントなどの導入は不要だ。
「BeamFlex」とオムニアンテナのカバレッジの違い
「BeamFlex」はノイズにも強い。たとえば、Wi-Fiで通信可能な通信能力が10あったとすると、一般的なオムニアンテナのAPでは6程度になる。さらにノイズが2あったとすると、実質4程度の通信しかできない。「BeamFlex」ではフルに10の通信が可能なので、ノイズで2下がったとしても8のパフォーマンスで通信できる。一般の2倍というわけだ。
ニューノーマルでは、ノートPCやタブレット、スマートフォンも活用されるようになり、これらのスマートデバイスは向きが頻繁に変わり、アンテナの向きも変わることになる。しかし、「BeamFlex」では水平方向と垂直方向の2つの偏波アンテナを内蔵し、PD-MRC(偏波ダイバーシティ最大比合成)という機能を利用して受信しているため、スマートデバイスでも常に安定した通信が可能。一般的なAPと比較して5倍のパフォーマンスを実現している。通信エリアも一般的なAPの2~4倍で利用できる。
ノイズが高い環境でも安定した通信が可能
リモートワークに適した管理機能も提供
ニューノーマルでは、システム管理者が企業に常駐しているとは限らないため、Wi-Fiの監視や保守もリモートで行える必要がある。「RUCKUS」では、APの管理機能としてクラウドも提供しているが、ネットワークコントローラ「SmartZone」を利用しても、管理者はリモートからウェブブラウザ経由でAPの状況を把握できる。管理機能では、APに接続している端末のリストの確認や、端末ごとの通信状況、リソースの状況も把握できる。端末を「健全性」で見ることも可能だ。
たとえば、ログインの失敗を繰り返す端末を特定したり、業務時間帯以外のアクセスを把握したりでき、リモートからの対応も可能だ。通信状況はログとして保存されるため、原因調査にも活用できる。さらに、AIと機械学習を搭載した「RUCKUS Analytics」の併用で、リモートから障害状況を把握し、トラブルシューティングに加えトラフィックやCPUリソースが普段と異なる状況かを把握することもできる。ニューノーマル時代のネットワークを運用するための強力な製品だ。
すべての接続端末の状況を把握
Wi-Fiには、「エアタイム・フェアネス」という、ユーザーの利用時間を細かく分けて公平に割り当てる技術がある。しかし、Wi-Fiクライアントは接続性を良くするためにプローブという管理フレームを常に送信し、APからネットワークの情報を含むレスポンスを受信している。スマートフォンでWi-Fiをオンにした際に接続可能なSSIDを表示させるためのものだが、これがエアタイムを圧迫し、通信状態を悪化させる要因にもなる。
そこで「RUCKUS」では、信号の強さのしきい値やタイマーを設定することで、応答する管理フレームを削減できる。たとえば、単にオフィスの前を通過するだけの人の管理フレームを無視できるので、エアタイムへの影響を最小化できる。なお、エアタイムの状況は管理画面のヘルスモニターで確認できる。
エアタイムの把握と対応が可能
こうした多彩な機能により「RUCKUS」を管理できるため、リモートワークのために従業員の自宅や工場、あるいは各拠点に設置した「RUCKUS」をどこからでも一括管理でき、個別の設定による最適化も可能だ。「RUCKUS」の名前は聞いたことがなくても、世界で3位のシェアを持ち、特にフリーWi-Fiでのシェアはトップである。たとえばハイブランドホテルのWi-Fiは、ほぼ全てが「RUCKUS」と言っても過言ではない。
実績も高く、常に最新のWi-Fi規格に対応しているため、多くの機能により最適なWi-Fi環境を構築できる。日本向けの機能やモデルが用意されていることも特長だ。日本では代理店経由での販売となるが、サポートも充実しており、トライアルが可能なケースもあるので、ぜひ問い合わせて欲しい。
「RUCKUS」製品のラインアップ