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社内IT人材を育成Dell Technologiesの中堅・中小企業向けDX支援

 新型コロナウイルスによって各企業とも厳しい経営環境におかれているものの、日本の中堅・中小企業のデジタル化への投資意欲は、積極さを維持している。緊急事態宣言解除後の6月にDell Technologies(以下、デル)が実施した調査結果では、42%が「デジタル化に積極的に投資する」と回答し、人材を育成し内製化を重視する企業は76%にも達している。こうした中堅・中小企業市場に対してデルでは、さまざまな支援施策を展開。本稿では、そのうちDX人材の育成に関する取り組みを紹介する。

コロナ禍においても、デジタル化に対する投資意欲は旺盛

 デルでは、2017年から毎年「中堅企業IT投資動向調査」を行っている。4月に公表された2020年版では、「デジタル化に積極投資する」と回答した企業は49%と約半数を占め、人材を育成し内製化を重視するという企業が73%に達した。

 その後コロナ禍を経て、緊急事態宣言解除後の6月にあらためてIT投資動向を調査したところ、「デジタル化に積極投資する」と回答した企業は、前回より7ポイント下まわったものの42%と相変わらず高い数値となり、内製化を重視するという企業は3ポイント上まわり76%に達した。一方、「デジタル投資を引き締める」と回答した企業は10%という結果となっている。どの企業も先行きが見えにくい状況で、しかも、外部環境に投資マインドが大きく左右される中堅・中小企業の中で、投資引き締めの判断を明確にしたのが1割程度だったことに驚く読者も多いだろう。

 この背景には、デジタル化投資はもはや「待ったなし」であり、とくにリモートワークをはじめとした働き方改革を素早く進めていかなければ、市場からの撤退を余儀なくされるという意識があるのかもしれない。コロナ禍が続く中で、自社の事業を継続し、さらに新しい事業を進めていくには、「デジタル化」や「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が必要という結論に達した企業も多いはずだ。

図1:Dell Technologies「中堅企業IT投資動向調査」(2020年6月調査)
図1:Dell Technologies「中堅企業IT投資動向調査」(2020年6月調査)

中堅・中小企業にとってのデジタル化とは?

 では、今回の調査に回答した中堅・中小企業は「デジタル化」というワードに対して、具体的にどのようなイメージを持っているのだろうか。2020年版で「2020年に注目するIT戦略に関するキーワード」についてたずねたところ、OSやネットワークの刷新、既存システムのクラウド移行などの「大プロジェクト」や、RPA導入、ワークスタイル変革といったアプリケーション導入中心の試みも意識されている。そして、そのなかに、AIの導入やビッグテータ分析、IoTへの取り組みといった、まさに「DX」と呼ぶにふさわしいワードも入っている。

 Dell Technologies 上席執行役員 広域営業統括本部長の瀧谷貴行氏は、「日本の中堅・中小企業をDXという切り口でとらえると、人材育成と内製化というキーワードが浮かび上がってきます」と分析する。

 「注目するIT戦略にはインフラ、バックアップセキュリティ、クライアントPCなど多種多様なものが登場しますが、デジタル化戦略については『社内人材を育成して内製化していきたい』という回答が目立ちました。一方、回答企業のIT部門の現状を見てみると、最新の調査でも回答企業の7割が『IT担当者は3名以下』で、増員計画がある企業は1割程度です。さらにIT基盤の保守運用については外部リソースを活用すると6割以上の企業が回答しています。しかし、デジタル化、DX推進についてはまったく違う方向性を打ち出しているのが印象的でした」(瀧谷氏)。

 人材育成と内製化、という意向の背景を考えると「DXといってもうまくいくとは限らないし、外部企業に発注して大きなプロジェクトとして動かす余裕はない」という見方もあるかもしれない。しかし、理由はそれだけでなく、「DXは自社の業務に精通し、経験もある程度積んだ人材でなければうまくいかない」という考え方がかなり浸透してきていると言えるのではないだろうか。

オンラインによる人材育成の場、「中堅企業 DXエンジニア養成講座」を開催

 中堅・中小企業のデジタル化の障壁について瀧谷氏は、「まず、何から始めるべきなのか情報交換する場が少ない、そして具体的な技術を学ぶ環境が少ない、ということが調査から浮かび上がってきました。そこで当社としての支援策を策定することにしました」と話す。

 この支援策は「共有」「学習」「育成」「実践」「支援」の5分野に分かれ、それぞれの施策が推進されている。そのうち「育成」の分野においては、奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)と連携し、「中堅企業 DXエンジニア養成講座」を7月から開催している。プログラミング言語「Python(パイソン)」を活用してAIやディープラーニングの実装ができる社内エンジニアの育成を目指す講座だ。

図2:中堅企業デジタル化元年に向けた5つの施策
図2:中堅企業デジタル化元年に向けた5つの施策

 「中堅企業 DXエンジニア養成講座」では、Web会議システムに加えて、プログラミング授業システムの「カメレオン」を活用するのが大きな特徴となっている。第1回の講座では、NAISTの博士研究員であり、dToshの代表取締役でもある平尾俊貴氏の機械学習などに関する座学的な解説の後、同システムを活用しAIの開発にも使われるプログラミング言語「Python (パイソン)」の演習を行った。受講者は、数名のグループになりコミュニケーションをとりながら学習していくスタイルで、グループ内でのチャットによる会話も活発に行われていた。また、同システムを商用提供しているdToshのスタッフ数名が受講者の様子を見ながら遠隔サポートしており、臨機応変に適切なアドバイスができるできるため、完全オンラインであってもきめ細かい指導が行える。

 平尾氏は、「カメレオンはオンラインのみで共同してプログラムを構築できます。教育システムとしてだけでなく、グループワークで実際のプログラムを構築できるツールなので、教材として使い方を習得するためだけでなく、現実のビジネスにも生かせます」と、その特長を紹介する。

 なお、この講座は9月初旬まで8回行われ、最終的には機械学習を用いたデータ分析結果について発表することになっている。1回の講座は1時間30分程度だが、次回の講座までに予習しておく課題が与えられるため、受講者の意欲次第では高いレベルのスキルの習得が期待できそうだ。

図3:プログラミング授業システム「カメレオン」の画面
図3:プログラミング授業システム「カメレオン」の画面

講座を利用して得られるさまざまなメリットと今後の可能性

 こうした講座について、Dell Technologies 広域営業統括本部 デジタルセールス本部長の木村佳博氏は次のように話す。

 「個人としてのスキル向上も目的の1つですが、グループ内の他の受講者と作業をしていくことで、緊密な関係を築くことができます。DXについて何から始めるべきなのかなど、情報交換する場になるのです。中堅・中小企業のお客様の多くは、他社との結びつきが強く、さまざまな情報交換を活発に行う傾向があります。DXは比較的新しい話題なので、なかなか率直に意見交換をする機会が少なかったので、それを解消する場としても大いに利用していただきたいと考えています」

 さらにデルでは、「実践」の場として、NAISTと共同で、「中堅企業DXアクセラレーションプログラム」も進めている。これは、中堅企業のDXにかかわる技術の実装、定着化を支援するもので、AI、IoT、ブロックチェーンの各カテゴリーにおいて、プロジェクト開始から1年程度で実装可能なビジネスプランを募集し、コンテスト形式で評価を実施するというものだ。上位入賞者には、NAISTの研究員がメンターとして支援するとともに、カゴヤ・ジャパンのAI開発向けGPUサーバや、ミライコミュニケーションネットワークのクラウドサーバがそれぞれ1年間無償提供される。単に専門家が評価、表彰するだけでなく、ビジネスプランを実際に稼動させるところまでサポートするものとして注目されている。

 個々の企業でITコア人材のレベルが上がっていくことで、同じDXの取り組みでも高い成果を上げるケースが増えていく可能性は高まっていく。国内の中堅・中小市場が活性化していくことは、IT企業だけでなくさまざまな業界にも波及効果があるだろう。そうした意味でも、DX人材の育成、実践の場を支援するデルの取り組みには、大きな意義があると言えそうだ。

提供:Dell Technologies
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2020年12月31日
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