現在、企業のシステムインフラとしては、かつて主流だった物理サーバーから仮想化基盤、さらにはパブリック/プライベートクラウドまで、様々な環境を選ぶことが可能だ。より新しいシステム環境を積極的に使っていく企業がいる一方、今なお従来型のシステム環境を使い続ける企業がいる。前者と後者の差はどのようなものか、その差を埋めるにはどのような取り組みが有効か。仮想化およびクラウド技術のエキスパート3名に、それぞれの立場から語ってもらった。(聞き手:朝日インタラクティブ プロデューサー 川鍋干城)
古いインフラが「塩漬け状態」で残っている
――従来型のインフラを使い続ける企業と、クラウドを積極的に活用する企業では、どのように違っているとお考えでしょうか。
宮原氏 「クラウドファースト」を実践するのは、やはり先進的な企業や、過去のレガシーを持っていない新しい企業です。クラウドを積極的に活用し、初期投資を抑えて、スピード感あるインフラ運用を実現しています。一方、ボリュームゾーンの企業や公共系組織などは、従来型のインフラを使い続けています。両者は、インフラの世代で言えば、2周りか3周りくらいの差があると言えるでしょう。

日本仮想化技術株式会社
代表取締役社長 兼 CEO
宮原徹氏
従来型のインフラといえば、物理ハードウェアからアプリケーションまで一括で構築されたような基盤。かつて「OA化」「システム化」といっていたような時代から、基本的には変わっていません。アプリやサービスを使い続けるため、同じ基盤を5年や7年など、長期間使うのが基本です。古いインフラが「塩漬け状態」で残っているケースも少なくありません。
――従来型のインフラが残る企業、その中の人たちはクラウドをどのように考えているのでしょう。
宮原氏 このような現場で働くエンジニアたちも、やはりここ4~5年で、クラウドを意識している方が多いと感じます。Windows Server 2008サポート終了のようなタイミングで更新が必要となるので、将来的に今まで通りのサービスやアプリを使い続けるためにも、クラウドについて考えるようになってきているようです。
横山氏 でも、今はまだ「現行システムが動いているから触らない」という考えの方が有力なのかな、とも思います。クラウドを意識していても、そもそも使ったことがない、必要性をあまり意識しない、そして検討できていないという感じではないでしょうか。
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