Googleの企業向けクラウドサービスを大小さまざまな企業が活用し、大きな成果を上げている。一様に聞こえてくるのは「コスト削減は当たり前。業務改革が一気に進んだ」という驚きの声だ。
大きな負担となるソフトウェアの更新
エンタープライズ担当社長
「多くのITベンダーは『クラウドコンピューティング』という言葉を、幅広いテクノロジを表すのに用いていますが、その多くは真のクラウドがもたらすものではありません」
クラウドコンピューティングがITサービスの広範な領域で広がりを見せるなか、米国Googleのエンタープライズ部門担当社長であるデイブ ジルアード氏はこう一石を投じている。マーケティングの側面からも注目され、キーワードのみが独り歩きしがちな「クラウド」だが、ことビジネスアプリケーションの分野で「真のクラウドではない」ものが多いというのだ。
例えば具体的に、
- データセンターにシングルテナントのサーバー製品をホスティングするもの
- 顧客側で大量のクライアントソフトウェアのインストールが必要なもの
といったソリューションなどを挙げている。
ジルアード氏は「これらは数年ごとの製品リリースサイクルで顧客をロックインしソフトウェアの管理に大きなコストをかけざるを得ない状況にさせ、大切な情報がセキュアでないデバイスに置かれる状態を引き起こしている」と指摘する。
確かにクラウドを冠した様々なサービスが提供され始めたいま、「予想していたより内容や効果が乏しい」といった幻滅が一部ユーザーに出ているようだ。「結局は既存のアウトソーシングサービスと何ら変わらない」「ビジネスそのものを変えていくという本来ITに期待されたメリットを発揮できない」といった例も徐々にではあるが、聞かれるようになっている。
100%ウェブだから、ビジネスを変えられる
ではGoogleは、こうした現状にどのような回答を示し、具体的にビジネスをどう変えるというのか。ジルアード氏が強調する答えは「100%ウェブ」の考え方だ。Googleが定義するクラウドとは、サービスすべてがウェブで提供され、ユーザーも100%ウェブ経由でサービスを活用できることを指し示すと同氏は語る。
「100%ウェブの世界では、ビジネスアプリケーションはインターネットから提供され、ブラウザでアクセスできます。アプリケーションやデータは集中的に保存され、拡張性が高くセキュアで、かつ高い信頼性を確保したマルチテナント型のインフラから提供されるようになっています」
結果として、個別のPCに依存せず、ノートブックやタブレット、スマートフォンといったモバイル機器をより有効に使える。そのうえ、最新の革新的な技術を手に入れるのも、ただブラウザをリフレッシュすれば実現するというわけだ。
「企業はもはや、サーバやクライアントソフトウェアを所有したり、管理したりする必要はないのです。外部から統合されたアプリケーションや開発プラットフォームを購入し、貴重な時間は競争力を得るためにビジネスのロジックや内容そのものに費やすことができるのです」(ジルアード氏)
システム上の課題を雲散霧消させる力を持つGoogleのクラウド
「100%ウェブ」がもたらす具体的なビジネスの革新を、もう少し詳しくみていく。
実際にGoogleのエンタープライズサービス「Google Apps for Business」を導入し、変化の手ごたえを感じているユーザーは、大小さまざまな規模の企業や団体に及ぶ。Gmail、Googleドキュメント、Googleカレンダー、Googleビデオ、Googleグループ、Googleビデオ、Googleサイトといったツールを積極利用し、短期間でコスト削減、業務効率化を達成した成功事例も数を増しているのだ。
日本国内でGoogleエンタープライズ部門のシニア プロダクトマーケティング マネージャーを務める藤井彰人氏が強く訴えるのは、Googleのクラウドが持つ、システム上の課題を雲散霧消させる力だ。