ファームウェア更新やESXi更新も自動化!進化しつづける「日立HCIソリューション」の全貌

HCIの利用が進む中、HCIに対する期待と現実のギャップが明らかになってきた。また、これまで見えていなかった新たな課題に直面するケースも増えてきた。そんななか日立製作所は「日立HCIソリューション for VMware vSAN」の機能強化を継続的に実施。ユーザーの要望を汲み取りながら、業務効率の向上とシステムの安定稼働を支援している。進化し続ける日立HCIソリューションの強みとは。

3人に1人が運用に課題を感じている現実

 ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)を採用する企業が増加している。IDCの調査によると国内ハイパーコンバージドシステム市場は平均18.1%(CAGR)で成長し、2023年には約701億円に達する見込みだ。

 HCIのメリットは「構成のシンプルさ」「拡張性の高さ」「構築済ですぐに使える」の3つに集約できる。必要なハードウェアはサーバだけであるため設備コストを削減でき、一元管理によって運用の手間やコストの削減が可能だ。また、業務を止めることなく拡張できるため、スモールスタートして事業の進展に応じたITインフラの展開ができる。工場で構成がプリセットされることから、導入も簡単で迅速だ。

 HCIの採用が進む背景には、こうしたメリットが時間や人材などのリソース不足に頭を悩ませる企業のニーズにうまくマッチしたことがある。

日立製作所 サービスプラットフォーム事業本部 IoT・クラウドサービス事業部 プラットフォームソフトウェア本部 プラットフォームサービス部 広瀬 希氏
日立製作所
サービスプラットフォーム事業本部 IoT・クラウドサービス事業部
プラットフォームソフトウェア本部 プラットフォームサービス部
広瀬 希氏

 とはいえ、HCIの採用が進むに連れ、単にHCIを導入しただけでは期待した効果が得られないと感じる状況も見られるようになった。IDCが2018年に「HCI導入前の期待とギャップ」を調査したところ、そのトップ3は「運用管理を一元化できなかった」(31.4%)、「運用管理を効率化できなかった」(27.0%)、「導入時間を短縮できなかった」(26.4%)だったのだ。HCIのメリットを感じつつも、およそ3人に1人が運用に課題を感じているということだ。

 なぜこのようなギャップが生じるのか、どのようにすればギャップをなくすことができるのか。この課題を解消するソリューションとして日立製作所が提供するのが「日立HCIソリューション for VMware vSAN」だ。同社の広瀬希氏はこう話す。

 「トップ3となったギャップそれぞれについて背景や理由を検討し、日立がこれまで運用管理の領域で培ってきたノウハウと知見を解決策に落とし込みました。日立HCIソリューション for VMware vSANを利用することで、HCIが本来持つメリットを最大限に引き出すことができます」(広瀬氏)

カギは「可視化」「自動化」「運用を見据えた設計」にあり

 広瀬氏によると、1つめのギャップである「運用管理を一元化できなかった」を解消するカギは「可視化」にあるという。運用管理者の管理対象は、HCIを含むシステム全体である。そのため、システム全体の状況として、HCIとHCIの上で稼働する業務システムとの関係を俯瞰して把握できることが重要だ。そこで日立では、インフラストラクチャ管理製品「JP1/Operations Analytics」を使って、業務と物理リソースの関連性をリアルタイムに可視化できる仕組みを構築した。これによって、問題箇所(物理リソース)と影響範囲(業務)の関連性を把握しやすくなり、障害対応を迅速化できたり、日々のリソース活用状況を分析して拡張計画を最適化したりすることが可能になる。

 また、2つめの「運用管理を効率化できなかった」が生まれる背景には、仮想化で集約されたIT基盤で管理対象が増えることがあると広瀬氏は指摘する。特にHCIはノード追加が簡単になった分、管理対象が増加しやすい傾向にあり、運用管理の現場は、定常的に発生する日々の作業に追われている。これを解決するのが日々の運用操作の「自動化」だ。具体的には、IT運用自動化製品「JP1/Automatic Operation」で、日々の運用で必要な操作を自動化し、管理者の作業を軽減する。自動化によって処理の高速化や人的ミスの排除ができ、効率的で安定した稼働を実現した。

 「JP1/Operations Analytics」と「JP1/Automatic Operation」はHCIにバンドルして提供されている。

 3つめの「導入時間を短縮できなかった」では、システムの中でHCIを運用することを見据えた設計・導入が必要になる。HCIはそれ単体としては設計・構築が完了しているが、バックアップや電源運用についてはユーザーが検討しなければならない。これを解決するために日立が取り組んだのが、HCIの運用設計においても適切な支援をオプションで提供することだ。例えば、すぐにバックアップ運用を開始できるよう、バックアップソフトをプリセットしたバックアップアプライアンスを提供している。また、無停電電源装置(UPS)を提供することで、突然の停電でも強制終了を回避し安全にシステムを停止できるようにした。他にも、既存システムからの移行や周辺システムの構築などの支援もしている。

 「HCI導入から、HCI運用設計、運用自動化、システム監視まで、HCI環境をトータルでサポートできることが日立HCIソリューション for VMware vSANの大きな特徴です」(広瀬氏)

ファームウェア更新、ESXiアップデート、HCIノード拡張まで自動化

 日立HCIソリューション for VMware vSANは、JP1に対する実績や信頼、日立のサポート体制への評価もあり、すでに国内の数多くの企業で採用されている。そして実際に企業で利用が進む中、今まで見えていなかった課題が見えてきたり、ユーザーからさらなる機能強化を要望として受け取ったりするケースが増えてきたという。

 「近年、特に要望として頂くことが多かったのが運用自動化の強化です。運用自動化の目的は、処理の高速化や運用管理者の工数削減、作業品質の安定化です。これにより業務効率を向上させ、システムの安定稼働を実現します。今回新たに自動化したのが、HCIを構成するハードウェアの更新作業や拡張作業です。実際にお客様からも『HCIノードが増えて、更新作業が大変』『HCIノード拡張の手順が煩雑』といった声を多く聞くようになっていました」(広瀬氏)

 こうしたユーザーからの要望を吸い上げ、ハードウェアとソフトウェアの両面から解決策を提案できることが日立の大きな強みだ。日立では実際にこれらについての機能強化に取り組み、新たに運用自動化の対象をHCI基盤の更新や拡張にまで広げるに至った。広瀬氏はこう話す。

 「今回のエンハンスによって、HCIのメンテナンス作業の自動化が可能になりました。具体的には『ファームウェア更新の自動化』『ハイパーバイザー更新の自動化』『HCIノード拡張の自動化』です。こうした更新・拡張作業は、継続的にHCIを運用していくうえでは避けては通れない作業です。その運用を自動化することで、さらなる業務効率の向上とシステムの安定稼働を実現できるようにしました」(広瀬氏)

「HCI Content Pack」でさらなる効率化と安定稼働を支援する

 ファームウェア更新やハイパーバイザー更新などは、複数の管理ツールで操作が必要であったり、ハードウェアの知見が必要になったりと、複雑で手間のかかるものだった。こうしたユーザーの悩みを解消したのが今回の3つのエンハンスとなる。

 まず、ファームウェア更新の自動化では、ハードウェア遠隔管理の仕組みであるiLO(integrated Lights-Out)と、ハイパーバイザーであるVMware ESXiの管理ツールvCenterの両方で必要になる作業を、JP1/Automatic Operationで自動で処理できるようにした。これにより、機器のファームウェアの更新と、その過程で複数回必要になる機器の再起動、ESXiの再起動が自動化される。vSANクラスタ内のすべてのHCIノードでファームウェアを更新することを考えれば、トータルでは大幅な手順と時間の削減が実現できる。


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 また、ハイパーバイザー更新の自動化では、ESXi上の仮想マシンを別のHCIノードにvMotionで移動させ、ESXiをメンテナンスモードにしたうえで更新を適用し、その後移動した仮想マシンを元に戻す、といった処理を自動実行できる。仮想マシンの移動まで含めて自動化しているため、更新適用を複数のHCIノードにわたって順番に実施でき、業務を止めずに自動でハイパーバイザーの更新が可能になった。


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 HCIノード拡張の自動化は、HCIノードをVMware vSANクラスタに参加させるための各種手順を自動化するものだ。具体的には「VMネットワーク用アダプタの設定」「vSANネットワーク用アダプタの設定」「推奨設定」を操作の最初にまとめて設定し、その後の処理を自動化する。断続的だった操作を一つにまとめることで、管理者が拡張作業にかかわる時間を短縮できる。

 これまでHCIのメンテナンス作業では、作業ごとにそれぞれ専用のツールを利用する必要があった。今回のエンハンスでは、一連の作業をJP1で自動化したことで、日々の運用で使用する管理ツールと同じものを使って、HCIのメンテナンス作業を実施できるようになった。


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 「これらエンハンスは『HCI Content Pack』として標準提供されます。HCI Content Packは、運用に必要なコンテンツの詰め合わせであり、今後も要望の高いものを中心に順次拡張していく予定です」(広瀬氏)

 ユーザーの要望を取り入れながら、進化を続けてきた日立の運用プラットフォーム。さらなる業務効率の向上とシステムの安定稼働に向けて、日立HCIソリューションの進化も続いていく。

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