クラウド活用の“今”をエグゼクティブに聞く  コニカミノルタ  データと自社技術を生かし、サービス提供者への道を切り拓く

DXに向けて人材のトランスフォーメーションも推進

--IT部門で新しいテクノロジーに取り組んでいくための現場力の向上については、どのように取り組んでいるのですか。

 欧米では、ITサービス企業に投資することで、クラウド分野で高いスキルを持った人財を獲得しています。国内では、教育が必要なので、人財育成にかなり注力しています。これまでの確実性、安定性重視のITスキルを習得するための人財育成だけでなく、IoTビジネス(スピード重視)のITスキルを習得するための人財育成も、少しずつ増やしていく計画です。IT企画部の他に、IoTサービスPF開発統括部を設立するなど、人財のトランスフォーメーションも推進しています。

--プラットフォームとしてのマルチクラウドについてお聞かせください。

 クラウドを1社に集中したくないというのが前提にあります。各社のクラウドも進化しているので、常に比較検討をして、最適なクラウドを選択するようにしています。社内でさまざまなクラウドを活用しているので、IT企画部が窓口になり、調達など一元管理しています。

--IT企画部が、ガバナンスを効かせているということでしょうか。

 IT企画部とIoTサービスPF開発統括部で統制しています。テクノロジーはもちろん、セキュリティや運用など、幅広く管理しています。

--Workplace Hubのような新しい事業では、事業部側も新しい技術の習得など、ITリテラシーの向上が求められると思うのですが、どのように支援しているのですか。

 新しいテクノロジーに関しては、まず社内で実践してから展開するという取り組みを推進しています。社内実践に関しては、日本だけでなく、アジア、欧米も含めてサポートしています。ITリテラシーの面では、外部から人財を採用することも含めて向上に取り組んでいます。

--クラウドを活用した新しいビジネスの展開について、自社をどのように評価しているかお聞かせください。

 いろいろな国のIT事情を見てきましたが、日本に帰って来て、コニカミノルタのITを見てみると、けっこう進んでいる部分もあると感じました。さらなる改善のために外部の専門コンサルタントに社内診断をしてもらいましたが、「改善するポイントがない」という評価で、逆にがっかりしました(笑)。

お客様が何に困り、何を必要としているのかを見極める

--今後、国内の取り組みについては、何が必要だと考えていますか。

 いますぐに紙への印刷がなくなることはありませんが、特に欧州では、国レベルでペーパーレス化の取り組みが進んでいるのも事実です。その意味でも、業界としてトランスフォームしていかなければならないと考えています。

--お客様に向けたコニカミノルタとしてのメッセージの浸透度についてお聞かせください。

 グローバルでITサービス企業に投資している効果の一環として、“コニカミノルタはITサービス企業へと変革している”ということが認知されつつあります。ガートナーが調査した「世界のITサービス企業トップ100社」に選ばれていますし、セキュリティにも注力しているため、「世界のマネージド・セキュリティ・サービス企業トップ100社」にも選ばれています。

 ただし、グローバルでは、まだ“プリンティング分野に強い企業”というイメージが残っています。そこで、デジタルマーケティングを活用して、見込み客を見つけ、サービスをデリバリーしていく過程で、“コニカミノルタはITサービス企業である”というメッセージを、お客様に強く打ち出していきたいと思っています。

--今後クラウド活用を、どのように強化していく計画ですか。

 たとえば、Workplace Hubでは、オンプレミスでデータを収集蓄積して、どのような文書が多いのかといった分析をして、最適なソリューションをクラウドとオンプレのハイブリッドで提案することで、新たな価値を提供するサービスも展開していきます。

 Workplace Hubのマーケットプレイスを通じて、いろいろなお客様とのつながりができたほか、新たなパートナーとの協業も増えています。今後もパートナーとの協業を強化していく計画です。

 コニカミノルタの強みは、Workplace Hubで培った技術やノウハウ、データとして蓄積したお客様の情報であり、技術やデータを生かして、自社がサービス提供者としてパートナーとエコシステムを構築できることです。

 たとえば現在、日本国内で「ケアサポートソリューション」と呼ばれる介護支援のサービスも提供しています。このサービスでは、介護施設にカメラとセンサーを設置して、データを収集し、介護状況をモニタリングすることで、介護現場の人材不足を補うことが期待できます。この介護データを、パートナー企業のビジネスに生かす取り組みも検討しています。

--今後、DXやクラウドの活用により、どのような新しい価値をお客様に提供していこうとお考えですか。

 お客様が何に困っており、どのようなソリューションを必要としているのかを見極めていくことが必要です。このとき、生産性の向上や効率化など。コニカミノルタの働き方改革を推進するためのソリューションはもちろん、お客様の事業を成長させるソリューション、さらにお客様のお客様にとって役に立つソリューション、および新たな価値を提供していきたいと思っています。

--クラウド活用やDXのどこにゴールを定めていますか。

 ゴールはないと思っています。自社の働き方改革についても2012年のオフィスの移転がスタートであり、本社の中でも進化が続いています。クラウドをはじめとするITを活用した働き方改革やDXを継続していくことで、常に進化していくことが重要だと感じています。

--CIOは、“技術の目利き”であるべきだと思うのですが、人工知能(AI)や機械学習(ML)などの最新テクノロジーをどのように社内で活用しようとお考えですか。

 テクノロジーを活用することが目的ではなく、あくまでも自社やお客様、さらにお客様のお客様まで、いかに価値を提供するかが目的です。テクノロジーは、そのための手段でしかありません。事業に貢献するうえで、どのようなテクノロジーを使うべきかという視点が重要だと思っています。

--本日はありがとうございました。

提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
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