日本瓦斯 基幹システムをフルクラウド化した「雲の宇宙船」で、デジタルトランスフォーメーションを進める

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企業はクラウドをはじめとするITインフラとどう向き合うべきなのか――。IT活用に長けた先進企業のエグゼクティブに、ITと経営の視点で、自社の考えや取り組みを紹介してもらう本シリーズの3回目は、2011年にシステムのフルクラウド化を実現し、その後成長を加速させている日本瓦斯の柏谷邦彦氏と松田祐毅氏に話を聞いた。

--日本瓦斯(以下、ニチガス)は経済産業省と東京証券取引所が共催する「攻めのIT経営銘柄」に3年連続で選定されるなど、業界では革新的な仕組みをお持ちです。どのような経緯でここまでたどり着いたのでしょうか。

柏谷ニチガスはエネルギー小売業で、もとはLPガスの小売りをしていました。2019年2月末現在のお客様は148万にのぼります。20年以上前、LPガス市場がエネルギー業界では最初に自由化され、競争が始まりました。サービス価格や安全性を強化するためのシステム導入が喫緊の課題として浮上し、システムを強化してきました。

 2011年、トップ(代表取締役社長)の和田眞治をはじめ経営陣が変化の必要性を強く認識し、システムのフルクラウド化を決断。保安と顧客データをリアルタイムで共有できる仕組みを作りあげたのです。

 後に電気や都市ガスも自由化され、新規参入ができる大きな市場が生まれたときに、私たちはLPガスのために作ったこのクラウド上の基幹システムをアップグレードし、電気や都市ガスにも対応できるようにしました。これが「雲の宇宙船」です。関東全域のお客様に電気もガスも提供するようになった今、雲の宇宙船は、お客様に提供するサービスのバックボーンとなっており、私たちの強みとなっています。また、これによって、会社のビジネスをトランスフォームし続けるのに役立っています。

※雲の宇宙船:エネルギー業界のためのクラウドコンピューティングによる物流効率化システム。ニチガスにおいても活用されている。

日本瓦斯株式会社
代表取締役専務
経営企画本部長
柏谷 邦彦氏
日本瓦斯株式会社 代表取締役専務 経営企画本部長 柏谷 邦彦氏

--2011年にフルクラウド化とは、国内ではかなり早いですね。

柏谷根底には、「安全性」ということがありました。ニチガスは、保安も大事な商品であるというのが哲学となっており、検査で間違いがあることは許されません。そこで、GPS付きのスマートフォンを使い、現場で正しい作業手順をしないと次の画面に進めないような仕組みにしています。クラウドでスピーディーに情報共有して、営業や請求の仕組みともつながっています。

 目的がコスト削減だけなら、フルクラウドにしていなかったでしょう。安全に関わることだったので、大胆に動くことができたのだと思います。

--まだフルクラウドの事例もなく、ご苦労もあったのではないですか。

柏谷「セキュリティは大丈夫か?」という異論や摩擦はありました。しかし市場自由化で効率化を迫られ、トライアンドエラーを繰り返しながら、お客様の安全を考えてきた会社です。結果として、クラウド化はメリットが多く、適用範囲の拡大も躊躇なく進められました。

--クラウド選定にあたり、何を重視しましたか。

松田当時も現在も、基本的には適材適所というスタンスです。どの会社のクラウドでもかまいません。システムの性格で判断すればいいと思います。今ならパブリックに出さない使い方もできるので、ベンダーはあまり意識しなくなってきました。

--ITをパートナーに丸投げする企業も多いなか、ニチガスは主体的に推進していますね。どんなポリシーをお持ちなのですか。

松田自分たちで進めていくことがいいのは皆さんお分かりだと思います。問題は優秀な人材をどう集め、育てるかということです。

 一般論ですが、ユーザー企業の情報システム部門は調達係になってしまいがちです。すると人材の価値が下がり、逆に調達のスピードが遅くなることもあります。一方で、システム部門がビジネス要件をきちんとまとめられると、今度は事業部がシステムのことを考えなくなってしまいます。これは組織的な課題です。

日本瓦斯株式会社
エネルギー営業本部
情報通信技術部 部長
松田 祐毅氏
日本瓦斯株式会社 エネルギー営業本部 情報通信技術部 部長 松田 祐毅氏

--まさに経営戦略、事業戦略、IT戦略、三位一体で進めていく必要があるということですね。

柏谷うちも昔から理想形だったわけではありません。IT分野は大手ベンダーがパッケージで提案するものを受けるかどうかを判断するようなやり方が主でした。今までのやり方では時代に対応できないというタイミングで、最先端から基幹系まで知っている松田が入り、IT部門のマインドが変わっていきました。

--マインドチェンジせざるをえなかったのは、市場の自由化が大きかったからですか。

柏谷そうですね。エネルギー業界は競争をあまり好まない保守的な世界なのですが、ニチガスは何度もマインドチェンジをして伸びてきた会社です。消費者に目を向け、時代に対応できるように経営のマインドも変えてきました。ITはここ3~4年、必要な人材を外から採り、力のある若いベンチャーと組むことなどに力を入れています。

提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2019年7月31日
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